詩人:あ | [投票][得票][編集] |
そうやって頬を触る
君はベッドからおりたたむようにしていた手を出して、
その手の甲で確かめるみたいに頬を触る。
誰かが言ってた言葉を思い出す。
『女のほっぺたって気持ちいい
男にはない感触だから触りたくなる』
でも君は違う。
君は違うんだ。
何時もそう、何か足りないものを見るような目で
私の存在を確かめるように
そうする事が当たり前じゃないみたいに
用心深くそっと触れる。
この二部屋しかないアパートは、寒くて暗くて空気がしめってる。
でも君にはこの空間がとても似合っていた。
そしてそんな君が大好きだった。
『ちょっと来い』
その言葉に、ん?って顔して見つめ返すと
『お前ちょっとココの中においで』
って君は少しずってベッドの中にスペースを作る。
その言葉の意味合いや、その後の行為などすぐにさっするが
気持ちが追い付かず、ただ空間をぼんやり眺めていると
ふいに君が髪を掴み引っ張る。
3年間きらずに伸ばし続け、6回ブリーチをして薄紫のヘアマネキュアで軽く染めた私の髪は、
ほとんど白に近いブロンドで
こんなに光の少ないこの部屋でも、キラキラとサテンのように輝き
手にまとまり君の方に垂れ下がっている。
指に絡まったその行動が毛の先端から、ビリビリと伝って頭皮を刺激し、私の脳の回路を突き破って
痛い。と言う前に
好き
と言わせる。
すぐさま起き上がり寒さのあまり、室内なのに着っぱなしだったアウターを脱ぎ捨て
君のいるベッドへ潜り込む。
『お前、冷たッ』
君が発したそんな言葉など聞き流して、
服の裾から入ってくる君の手を受け入れる。
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