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evansの部屋


[1] 春の空
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毎朝乗っている
通勤電車やバスの中で
窓の外を見ていると
昨日の朝と何かが違うなぁ
そんな瞬間が誰にでもある

2月下旬のとある月曜日
1週間の始まり

地下鉄の階段を上がり
温暖な陽気のなか
いつもの朝がはじまって
いつものように人々が
それぞれのオフィスへと
消えてゆく

そして、いつものように
私も築地本願寺方面に歩く
首都高速銀座インターを
左に望みながら橋を渡る
築40余年の石造りの
風変わりな建物の中に入る

いつもと変わらぬ重圧な空間
変わらぬ空気
先の見えない上層部からの話

窓から射し込んでくる
春の光・空の色・空に浮かぶ雲の流れ
明らかに季節の変化を伝えていた春の空

密閉されたコンクリート空間の内と外
その対照的な明暗を私はまだ気づかずにいた

何事もないように午前の時が過ぎ
いつものよう昼食の買出しに向かう

アジア料理の屋台から職場に戻る途中
ふと汐留方面の空を見上げ 驚く
それはとても2月とは思えない夏のような空

ゲシュタルトの地のごとく
広がる青空
そして図のごとき
我がグループ各社の上だけに
集中する暗雲
図地反転図形を見るかのごとく
私の意識はそれに集中した

「春一番」という季節
度々吹き荒れる強い風が
冬のあいだ地面に積もった
チリやホコリを空気中に
まいあげていく

それは権力への媚び諂いという
畜生の人間への
そしてその集団という
国土世間への
自然界からの警告であるかのように…

2004/05/11 (Tue)

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