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禍々がきたる
(それは唐突に)
白い白い時計兎は逃げ遅れ
(白い白い尾をもった)
まわる世界は万華鏡
(くるくると)
ガラス製の絵本にヒビが入り
(ゆっくり、しかし確実に)
世界は崩れてゆく
(飲み込まれてゆく)
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クマのぬいぐるみを公園に置き去りにする
(あれは爆弾だ)
ベンチに腰掛け俯く可愛いあの子
(けれど安い布とフェルトのカタマリ)
どんよりとしたお空はまだ大丈夫
(湿っぽい空気)
とある月曜の朝
何の変哲のないぬいぐるみは爆弾となった
(でも何の変哲もないぬいぐるみだったので爆発しなかった)
最期に犯人が
その小さな口で小さく微笑う
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その夜
初めて月が蒼く見えた夜
気付いたら歌を歌っていた
(即興の名も無い歌)
伝える筈の想いが歌となってこぼれていった
(この歌は想いの涙)
ぽろぽろとゆっくり歌う
(ただ思い出すようにいつまでも)
やがて
大きな蒼い月にすいこまれたのか
自分だけに意味のある歌は
いつの間にか
静かに去って行った
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何も写さない真っ白な鏡
(かおをそむける)
追い掛けてくる顔無しの処刑人
(とても早くひたひたと)
場所がどうとか名前がどうとか今更聞かれる
(もう終わりかけているのに)
いまだに感想文は空白です
(だって覚えてないもの)
急げ急がすカボチャの馬車に轢かれて死んでしまう
(そんな結末だってあったでしょうに)
さよならお姫様
(でも終わらない)
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重苦しいのはもうヤだから
とても軽薄になろうと思いました
(半笑いが鼻につく)
そんなヤツになってみました
(すると)
世界はとてもとても狭くなりましたが
便利なツクリワライのお陰で
概ね思い通りの人生です
(よかったですね)
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悪いね
僕は優しくはないんだ
(優しいと褒めたら彼は反論する)
僕はただ君の思うように行動してるだけ
(それも優しさじゃない?)
いいや違うんだ
これは僕の傲慢なんだよ
勝手に君の考えてることを想像して
分かった気になってるという、ね
(どうしてそんな事言うの?)
君もそろそろ僕に飽きてきた頃だろう
だから
別れようと思ってね
(・・・あなたは何がしたかったの)
別に何も
強いて言えば生きる理由を間借りしてたのかな
(全部嘘だったのね)
さてね
それは君次第だよ
僕は君の望んだことを手を抜かずに行動しただけだから
(出てって)
うん
そうしよう
そろそろ破綻すると思ってたんだ
(出てって)
ああ
よかった
うんうん
それじゃあ、身体に気をつけて
(彼は笑顔で出て行った。ただの一度も振り返ることなく)
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よくわからない
けども大事な話をした
ゆっくりと丁寧に
一つ一つの言葉に意味をつけてカタチづくる
『わからないこと』
そういうことを話した
わからないけど
でも
わからないからこそ話すべきだった
途切れ途切れで
あやふや
それでも彼は
静かにうなずいてくれて
それがとても嬉しくて
笑顔なのに涙が出た
終わってみれば
本当によくわからない会話だったけど
真夏の雪のように
あたたかく溶けていった
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背の高いビルの屋上で
小さな人形と青いベンチに座る
(一人じゃちょっと寂しいから)
右手を空に向けて
雲をなぞる
(なるべく動物がいいわ)
人形は喋らず
ずっと遠くを見ている
(きっと私には見ることの出来ないところ)
とてもとても
高い場所なのに風は吹かず
私と小さな人形は静かに
透明な時間の中
空を見ています
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だからただ、安心して
逃げる為の場所はありますから
(唯一逃げる理由はありません)
だからただ、だんだんと、遠巻きに
雪化粧は落としていきましょう
(折角なので春へ逃げましょう)
だからただ、静かに、空と、宇宙へ
願いを込めて祈ります
(肝心の星は見えません)
たからただ、キラキラと舞い降りる、綺麗な羽根を
受け止める為に腕を伸ばしましょう
(抱きしめれば)
晴れて愛ある君の抱擁
ずいぶん前から想像していたように優しい結末でした
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よく晴れた日
私は目を瞑って空になり
ただただ広がってゆく自分を眺める
とても遠くに見える人影が
自分だと気づくまで
(たぶん、世界から削り取られる前、私は空でした)
思い出一つで一つの雲になり
子供の青空は曇天
雨も降るかもしれない
(ただただ、懐かしくて)
あらゆる屋根は邪魔だけど
屋根が無ければ人間で居られる自信が無い