詩人:どるとる | [投票][編集] |
月も寝静まる真夜中の激情
ぼくはひとりいるはずもないイメージの観客相手にワンマンショー繰り広げ
笑ったり泣いたり
時おり なんだかくだらなくなってあくびして
真夜中は眠いけど
なかなか眠れない
それを紛らすために
はじめたのさ ワンマンショー
涙 流しながら
ぼくはひとりきり
身ぶり手ぶりで
役者みたいに
大げさなアクションしてみせる
涙のワンマンショー
ぼくは今、心持ち幸せさ。
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まぶたをぎゅっと閉じてみても
いつまでもいつまでも眠れやしない
そんな夜はムリに寝ようとしないで
静かにギターを胸に抱え
やさしいうたでもうたおう
なんのために
だれのために
今日までぼくは生きてきたのか
まばゆく輝く夢さえ まともな生きがいさえないままで今までよく生きてきたものだね
子供の時もよくこうして眠れなくって
窓の向こうの闇が晴れて明るくなるまで
夜通し 眺めていた
弟と妹のキャンバスになってる落書きだらけのもとは白かった壁にもたれて
今日も眠れそうにないから寝ないで
明日、仕事でも 関係ないよと
月に照らされても
あたたかみさえ感じなくなったのは
ぼくが優しくなくなったからじゃないさ
ただ少し現実的になっただけ
月よ ゆるしたまえ
ぼくの愚かな思考を
細部にまで行き届いた 精巧な 人生の設計図は 単に幸せになるため 描いたわけじゃないんだ
ただぼくはひとしきり 何かを未来に見ていた
遠いあの星を見ていたように
あの日のぼくには今という未来が輝いて見えていたんだよ
でもたどり着いた未来で 思いもしなかった悲しみに出会い
食い違って
もう修正できない
過ちにも気づいた
ああ 今、叶わなかった夢の弔いをしよう
燃え盛る火はないけど
ああ さよならいうくらいはできるからね
罪と罰を抱いたままで
平凡すぎた現実に
夢など入り込む隙などないことを
ぼくが誰より知ってるのにまだロマンス捨てきれないから
ぼくは たまにね
とんでもなく壮大な夢を見るのさ
『宇宙は果てしなく
大地はかぎりなく
大海は青ざめて』
そんな世界の片隅で
ぼくは何ひとつロマンチックじゃない
ありふれた生活の中にいるのです
関係などあるはずもない
ぼくには夢などつかの間の癒やしや安らぎに過ぎず
けっして 掴みたい
あすではなかったよ
今、それを思い出した。
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にこやかに手を振る
ピエロ
あの笑顔は嘘なのかななんてね
ぼくが昔 サーカス見に行ったとき
ピエロはぼくに笑いかけてくれた
あの笑顔は今のぼくが周りの人たちに浮かべてる 笑顔とよく似た愛想笑い
人を楽しませる為だけならば素晴らしい笑顔
だけれどとてもたいせつな人には向けられない嘘の笑顔
いつの間にかぼくは知らないあいだに作り笑いしかできない悲しいピエロになっていた
鏡を見たら そこにはうれしくもないのに笑うピエロが映ってた
空が泣いているように雨を降らす真夜中
かすかな月明かりの中
鏡に映った自分から目をそらした
あまりにも悲しすぎて
見つめられないから
いつのころからか人に相づちを打ったり
会話を合わせてみたり
することに一生懸命になるうち たいせつなこと忘れていた
自分というものを隠していた
いつの間にか自分の素顔を忘れてしまって
ピエロの仮面 被っていたんだ
こんな仮面 脱いでしまいたいのに
もうぼくは嘘の笑顔振りまきすぎて
愛想笑いするのになれすぎちゃって
もとにもどれずに
今も悲しいクラウン
世の中の観客に
注目 浴びるために
嘘の笑顔 振りまくピエロ
素直に泣いたり笑ったりできたあのころのぼくの笑顔
今になって恋しくなった
世の中の観客に
注目 浴びるたびに
自分の中にある
笑いたくないのに
笑うしかない
この疑問に
涙が思わず流れて
化粧が落ちて
もとのぼくの素顔が露わになった
そして ぼくは野次を飛ばされ
嫌われ者になった
だけれどなんだかやっとほんとうの笑顔やほんとうの涙
取り戻せた気がしてる
そんなぼくは今
ピエロでもクラウンでもなく
ただの人間だ
それだけでなんだか
嬉しくてさ笑っちゃう
今のこの笑顔はほんとうの笑顔
笑いたいときに笑い泣きたいとき泣ける
その幸せ感じてる
今なら言える
さよなら嘘つきピエロ。
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世界でただひとりの人に恋いこがれていた季節は不意の風のように
ぼくに吹きつけた
追いかけるその足がつかみたかったものは
君だけだったのに
追いかければ追いかけるほどに遠くなる
君だから
あまりに美しすぎて
近寄れない光
まぶしすぎる光は遠くから見るだけが精一杯と唇を噛んだ
ぼくの口元に
血がにじむ
あの日、ぼくの心に咲いてた恋桜は散ってしまったけど
また咲くといいなって思っているんだ
またあんな気持ちで誰かに恋いしたい
そして 追いかけたい
今度は まぶしすぎても逃げないでいたい
恋桜 咲かせるため
君に 出逢うため
はじまりの季節はある きらめく夢は始まる
愛し合う気持ちのある者の 来訪を待って
そのためのその種を
人々の心の中に散布する。
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てくてく家路を歩く ぼくの切なさや悲しさを知ってか知らずか好き嫌いにかかわらずあたりかまわず照らす月のやさしい光に照らされ
ほんのささいな出来事にいつもなんだか
さりげなく救われてる気がする
やる気なんてさらさらないけど
ただ身の回りの全てがずっといつまでも変わらないであってほしいという願いだけはいつまでも
変わらないままだからぼくは幸せ
帰り道の途中で見つけた小さな花がおしえてくれたのさ
このさびしさや切なさはつよくなるために神様が わざとぼくに与えてる試練なんだよと
いつもの帰り道吹けもしない口笛ぎこちなく吹いて
夕暮れの空 見上げ
いいようのない気持ちに沈む
今まさに落ちてゆく
夕日がぼくの瞳の中ゆらゆら燃えて
ぼくのただの帰り道をいつも 飾ってくれる
つまらないだけで終わるはずの1日さえ
悲しいことがあってしょぼくれた帰り道さえ 忘れさせてくれる
気づけば 夜になってて 月が照らす今にいたる
ほら もうすぐ歩けば ぼくの家だよ
今日もぼくを見守っててくれたのかな
あの月にぺこりおじぎをして
ぼくは静かにドアを開ける
振り返らずに小さく手を振って
さよならの代わりとする
このラプソディ
包まれる 心
湯船に浸かれば
あふれる幸せ
ほらぼくは今日もなんだかんだいって幸せだったよ
はるかなる旅から帰った旅人のように
百年の疲れを癒すため
ぼくは自分におかえりを言って
浮ついた気持ちからもとに戻るのさ
そんな帰り道
夢みるぼくは
今日もひとり
ただ家路を歩くだけ
足跡さえ残らない
道を黄昏ながら
夕日に手を振って
さよなら
バイバイ
目を閉じて
やっと終わるストーリー
夜が明けるまで
しばし おやすみ
終わってよかった
もう少し 起きてたい
そんな気持ちの中で
いつの間にか夢の中だ
ぼくは帰ってきたぞ。
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なんでもないことがいつも大事だったりそうじゃなかったりする毎日の中で
光と影をたえまなく行き交う時計の針が夜を指し示す 今、午後11時
好きでも嫌いでもないあの人は今どんな夢見てるのかな
それともまだ眠っていないのかな
好きでも嫌いでもないのに気になる夜
ぼくの心はしぼんだ風船みたいにさ
夢のゆりかごの上で
ゆらゆら 揺れる
明日になってしまう前に 何か やらねばならないことはないかな
今それを探しながら
でもうまく見つからなくって
睡いのを言い訳に明日に後回し
ムニャムニャ
グースカピー
おやすみと言わないままで眠気に勝てず
ノックダウン
夢のゆりかごの上ですやすや眠る
いつもの夜の光景さ
めずらしくもないこと
恥ずかしいからあまり見ないで。
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昼間から降り続く
雨は明日にやむらしい
そのうち夜のうちに
やむという予報さ
そんなふうに
悲しみなんてつかの間だから
いつまでもしょげてないで立ち上がれ
若者よ
まだ生まれてまもない人より
こんな所でへたばるな
夜は誰もこわい
悲しみは誰にも悲しいもの
だけれどそれから逃げてばかりじゃ何も始まらない
わかってるはず
せつなさのスコールを浴びて
なみだが代わりに降る夜。
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悲しいことがあっても
止めるか止まるまで続く物語のページをふいに止めたくなっても
生きたい気持ちだけはずっとぼくのそばにある
死にたくなるほどの出来事なんてまだ出会ったことはない
似たような気持ちはあるけど
生きていればこそ
素晴らしい何かがある
ぼくは信じてる
たえまなくあふれつづける涙は心の中で見えないだけで
いつもいつでも
心臓のリズムが止まるまであふれつづけてるんだ
はるか前方の闇を
果てしなく終わりのない夜を
ただ見つめながら
ぼくは夜行性の動物みたいに瞳を涙で光らせながら
行く宛てもない
命の砂時計が落ちきるまで続く時間の旅の中で繰り返す日々
岸に押し戻される
小さな貝殻のように
もどかしい非力さに
ぼくは唇を噛む
止めようと思っても止められるものじゃない
抱いてる悲しみの大きさを物語る涙は明日を ぼやかせる
にじんだ景色とにらめっこ
数々の出来事がまたとない奇跡にさえ思えてしまうよ
立ち止まる ぼくは雨の中 何を探してるんだろう 何も見つかるはずないのに
おかしな 気持ちだ
何もないところから
生まれる何かを探してるって言いたくなる
たとえば何もないところから悲しみや喜びを理由にあふれる涙のように
何もないところから生まれる幸せを探していたんだろう
探してるんだろう
今でも
涙の向こうににじむ
素敵な 眺めを
それは 形としてではなく 触れられない感覚としての 探し物
なくしたはずの
あの日の涙
用なしだったはずの
いくつもの涙。
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風がやんだ夜
静けさに包まれる夜
ぴっちりと閉まった窓をおもむろに開け放して
メガネをはずして
肉眼で眺めてみる夜
遠くに揺れる
星の光
それとかすかな
都会のネオン
この世界の小さな国の
それより小さな町の一角に建つ小さな家の窓からも
じゅうぶん見える素敵な地上の夜
特別なものなんて何もなくていいんだ
ふつうだからこそ素晴らしい夜なんだ
何かと面倒な朝をくぐり抜けて やっとたどり着いたひとりになれる時間だから
好きなことしよう
あまり夜明けまでには時間はそうはないけど
それでも途中まで読んでた本の続きを読む
見たいテレビを見る
ギターを弾いてみる
ゲームをする
やることはあるだろう
やれることがあるだろう
たとえ短く儚い夜でも
涼しげな風は
夜の匂いがする
とても好きな匂い
風がやんだ夜
静けさに包まれる夜
けっして特別じゃないふつうの夜
ああ 素敵な地上の夜
地上からも宇宙を眺めることができる
ほら 星座をひとり探す
あれはシリウス
あっちはベガ
あそこに見えるは金星かな
睡魔なんてそのうちやってくる
今は眠くなくとも
眠くなるまで
眠くなるまで
楽しく 過ごそう
夜も1日のうち
ほら 無駄にしないで楽しく 過ごそう
素敵な 素敵な
地上の 夜を
内側から輝いて
夜の風に抱かれて
星のような
光を見つけましょう
かならずあるはず
目を凝らしてみれば
ほら そこにもあそこにも探し出せばきりもないほどに夜は眠れる宝石の山。
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急ぐひつようはどこにもないから
ゆっくりのんびりの帰り道
終電に間に合ったら
そこからは マイペース
ガラガラの電車内に小さく響く おなじみのアナウンス
お降りの際はお忘れ物のないように…
ドアが開いたら
もたれ掛かっていた
腰を上げ
すっかり 誰もいなくなったホームにひとり 降り立った
そこはまるで月面みたいな 不思議な空間
帰り道にひとり唄う
鼻歌と時々ぼくの隣を走り去る 車の音だけが 聞こえる
そんな帰り道
特別なものなんて何もなく ただありふれた風景だけがあくびが出ちゃうほどそこに当たりまえにある
帰り道ただひとり
前にも後ろにも
人影はなく
まるで 異次元みたい
空を見上げれば
月が あるくらいで
なんだか 急に 切なくなって ため息が出ちまった
柄にもなく
泣けちまった
そんな夜の片隅で
説明するまでもなく ぼくは 迷いのない足どりで ボロアパートのいやに長い錆びた階段を のぼるのさ
ここが最後の山場。