詩人:どるとる | [投票][編集] |
当然なことなんて
何ひとつないよ
この世に生まれ
当然のように
生きている僕らは
当然に生かされているわけじゃなく運命に生かされているんだ
あたりまえなことと思うことすらおこがましい
当然と全てを笑うなら
ここにいることさえ
不思議じゃないか
考えてみよう
当然に生きていても
当然に生まれたわけじゃない
ほら誰もひとつの運命から分かれた運命から生まれた産物だ
勘違いしてるなら
弁えなさい
当然と思う愚かしさを
見直しなさい
心が荒むぞ。
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涙の海に船を出す
まだ夜明けには
遠いどこまでも真っ暗な空の下
僕はチカチカと光る星に見送られ静かに船出する
楽チンな生き方で
いちばんお手頃で手軽な行き方で日々を泳ぎたかったから
大げさなハナシ三途の川も笑ってクロールで渡ってゆくような罰当たりな僕は
その場の空気にむせかえり
人ごみの中から
すり抜けるようにして物陰に逃げる
僕にはあまりに騒がしすぎる場所だから
咲くにはよくても
咲き続けるには苦だった
お日様の真下に
咲く花もあれば
日陰の中にひっそり
咲く花もある
人も同じだ
それぞれ
居やすい
場所があるんだよ
それが僕には暗い夜の海のような孤独だったってだけだ
涙の海に浮かぶ
一双の船は
紛れもなく僕だ
明かりもつけずに
暗闇に溶け込み
どんな表情してても
何もわからない
たとえば
この世界がずっと夜の海のような暗闇ならば良かった
そしたら他人のこわい顔も見なくてもいいから
人の目 人の顔色
うかがわなくてもいいから
そんな気持ちに沈む今に本当の喜びや本当の安息はない
そしてまた僕は
涙の海に船を出す
何度も何度も船を出す
けれどそのたびに持ち帰るのはぬぐいきれなかった涙ひとつだけ
そして夜が明けたならすべての罪も愚かしさもあらわになるのだろう
そしてまた僕はそこに広がる散らかった日常にまた追いかけられるのさ
光なんて行き届かない世界に生まれたかった
僕はまるで日陰に咲く花だね
今、涙が地面に落ちてはじけた
それがなんだか花のように一瞬見えたんだ
ほら、何も残らなくても僕の心にはまぎれもない記憶が残ってる
悲しいこともうれしいことも昨日の夜の切なさも
今、言いたいことは
夜は何も夜にだけおとずれるものじゃない
朝にだって気を抜けばおとずれるものなんだ
つまり心におとずれる夜
ほら、証を教えよう
僕の心は真っ暗。
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切なさも悲しみもひとつの場所に押し込めた
すべての気持ちが混じり合ってるよ
今、夜がおとずれて
僕らを四角い部屋に閉じ込める
たまに猫が鳴いて
たまにくずかごに投げるゴミがくずかごに届かずにくずかごの手前で落ちるみたいに的はいつもはずれてばかり
予想は期待以上のものは生まず決まって最悪な結果を呼ぶ
僕には予想することさえこわかった
ここは巨大な密室 地球という
惑星のとある一軒家
凝縮された生活の匂いに包まれ 僕はいつだって常識に囲まれて
光と影が交差する
さだめの上に生きる
死ぬも生まれるも
生きてゆくも
すべてはこの巨大な密室の中で始まり終わるのだ
広すぎるくらいだけどたまに人ごみの中で息は詰まる
そんなときはすかさず逃げ場を確保する
いっさいの甘えを許さぬとばかりにだんだんうるさくなる世界
『すべての事件は密室にて』
これ以上はノーコメントで
なんてね
ひとり言ってみる
夜は過ぎてく
その気があるなら
きっと明日も
僕は生きてるだろう
でも明日のことだからねわからないけれど
なんてね お粗末ね…
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でたらめとはいわなくても
そんなに本気で生きていた青春じゃない
夢などなかった
理想は燃え尽きた
冷めきった情熱が
灰皿にもみ消したたばこの吸い殻のように煙を立てる
ほら夜明け間近の空に浮かぶ小さな期待すら 喜びのかぎりじゃない
今静かにペダルを漕ぎ出した朝
鳥たちの鳴き声がかすかな始まりの音
はじまりの夜明けに
呼び起こす記憶ひとつ
はじまりの夜明けが
呼び覚ます物語ひとつ
今、僕をむかえにくる。
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だから 僕は詩を書くよ
売り物になんてしようとなんて腹はないよ
好きってだけの単純明快な理由だけで
僕は歌っているんだ
好きな歌を好きな言葉で好きなメロディーつけて楽器も弾けないくせに
勝手にわがままなくらい歌っているんだ
そんなようなことわざがあるのさ
好きこそものの上手なれ
好きなことが何より上手になる早道なんだ
だから僕は歌うんだよ
どんなにけ飛ばされても貶されても
何度も言うのさ
好きだから歌っているんだと
僕の歌よ
僕の歌を待つ人のところへ
優しさや時に切なさを届けたまえ
僕は願ってる
もし誰か僕の歌で笑ったり泣いたりしてくれた人がいるなら
それはどんなものより価値のある笑顔や涙だから
僕は歌い続ける
好きな歌を
好きなように
自分のままに
自由に 自由に
なにもない空に描くたったひとつのストーリー
小さな 点から
まるっきり
はじめから
創るのさ
それが僕の歌だぜ。
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手荷物は少なめ
だけど何も役に立ちそうなものはない
旅人は長旅に疲れ果てて今にも倒れそう
夜を照らす月の光
優しく輝けば
僕らはもう少し笑えるのだろうか
支えてくれる人も
心配してくれる人も
誰もいない僕には
孤独でいるのがいつの間にかサマになってしまったよ
風に吹かれて
見てるだけで
思わず切なくなってしまう景色に目を奪われて
途中まで描かれた地図を開いてみれば
涙でにじんだ日々の向こうになんの希望もない明日があるのさ
それでも旅人は明日を目指して その足を早める
燃えるようなあかね色をした空を見上げては ため息揺らして
街灯が等間隔に
立ち並ぶ道の端を歩く
『この先、未来』の看板を遠く見てる。
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春を待つつぼみのように
胸の中にずっと秘めてた思いはやっと港を出る
君へと向かってゆく
言葉は僕のうたれ弱い心をふるわすんだ
いつのまにか恋に落ちていた
恋をするために生まれたんじゃないけど
いつのまにか恋に生きていた
そして立ち止まる僕の心に咲いた恋の花
枯らさないように
君と二人で育ててゆく
この花は二人じゃないと育てられないから
ねえ ずっと育ててゆこうね
約束を交わそう
この花の名前は
僕が名づけよう
恋桜と
はじまりの季節
そのドアを
たたくような
新しい風のような
名前だよ
ほら
そのために
咲いたんだから
笑って
迎え入れてあげよう
この悲しくも素晴らしい世界に
天秤で重さを比べずともすべて愛して。
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夜の舞台裏で 誰かが今日も 泣いたり笑ったりしているのだろう
幸せな顔してる人
涙で顔中 ぐしゃぐしゃになってる人
眠すぎて 何も考えられなくなってそれでも起きてる人
ただ睡魔にまかせて夢の中すやすや眠ってる人
様々な人がいる中で
夜も様々な表情で君や僕を見つめてるんだね
その表情が少しでも優しくありますように
願う僕の右足にすり寄る猫は餌をねだってる
シャットアウトした暗いパソコン画面にうつった僕の顔
いつになくマヌケ面さ
今、世界で何が起きてても直接的に関係あるものじゃなければ僕には関係のないこと
夜の窓は鏡のように
僕の姿をうつすから
ほら丸見え 涙まで
唯一の話し相手の猫を抱いてなんとなく少し窓開けて
吹きこむ春の風を感じて静かに目をつむる
そんな景色が幸せだというなら
名誉も地位も何もいらないから
いつまでもこんな景色が消えないように
僕は願おう
あ、今 星が流れた
猫のつぶらな瞳にも星が流れた
夜の舞台裏で誰かが泣いていようが
笑っていようが
いびきをたてて寝ていようが
僕には関係のないことだ
ただ僕は長いような短いようなこの夜の過ごし方をいつも考えるだけだ
そして十二時を告げる時計の音が
シンデレラの魔法を解くように
ほら僕は眠くなって
窓閉めてふとんにもぐりこんだ
ただそれだけの出来事が幸せに思えたならきっと素晴らしいことだろう
そんな夜の背景があることすら知らない昔の僕なら夜なんてただ眠るためだけにあるものだと笑ったろう
でも今なら短い中でもじゅうぶんにいろいろできること見つけられるから
夜を見つめる瞳が養われたから
きっと僕は魔法が解けるまでは好きなことして 笑えるんだ
なんちゃってね
また 寝返りうつ僕だ
今ごろどんな夢 見てるかな
君の夢におじゃましたいな
夢の中まで 君のこと。
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降り注ぐ雨に濡れている心は純真無垢な理由を引っさげ
泣いているよ
逃げ道はいつも用意されてるから
平気な面でつらつらとつららのような細い道を僕は歩くんだ
降り注ぐ雨に泣いている僕らは西高東低の気圧配置に
言葉をなくした
隠れみのはいつも準備してるからね
タップを踏むようにたぷたぷの僕の腹が風を切り走るたびたっぷたっぷと揺れる
『大丈夫、大丈夫』
今ではその言葉は僕には頼りない言葉になったんだろう
誰も信じちゃくれなくなった
裏切ってばかりいるから
おや、雨も泣き止んだかな
それでも僕の雨は泣き止まないままだ
だからまだまだ
悲しくって
大丈夫じゃないんだ
でも本当は悲しいけどいつもなぜかその悲しさを隠すんだ。
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誰を待っていたんだろう
短編映画のような味気なくも素敵なこの街で
君は誰を待っているんだろう
待ち人は美しい人だけど
待ってる僕はなんて汚い奴なんだろう
待ち人来たる
冷たい風まとって
そんな君の胸を僕はあたためられるかな
気の利いた言葉や
気の利いたことは
できそうにないけど
それでもいいなら
僕は君を愛そう
本心をさらけ出して
何も隠さないで
汚い欲望さえ
君を愛すならば
僕は隠さないから
待ち人来たるその時に僕はきっと笑うんだ。