詩人:どるとる | [投票][編集] |
絶えず流れる川の音を心で聴きとりながらぼくらば永遠にもつづきそうな時間を生きる
今日もその音を聴きながら生きてる
いつかやがてその音が聴こえなくなるまでぼくらは時の流れに身をまかせてる
聴こえないはずのその音は耳に届くわけでもないから 具体的な音としては言い表せられないけど
きっとその音は耳にも心地いい音
この川は流れてどこへ続くのかな
行き止まりにたどり着いたらもうそこで何もかも終わっちゃうのかな
川はただ遥へ 遥へと流れてゆく
ここからじゃ明日さえも見えない
見えるのはつねにそばにある今だけだ
ほらイメージだけの未来はやがて崩れ落ちて現実が見えるだろう
そこには思いもよらないこともあるだろう
だけれど生きることはやめないよ
曖昧な答にすがりつくように泣きつくように出口なき迷路の中で右往左往してる
そんなぼくは情けないね
月が照らすその下を
ぼくは歩いて
たどり着いた窓辺に寄りかかり夢うつつ
そして今日も万年床に横たわるよ
流れのある川に今日も好き勝手流され
行き着いた今日でほら 生きている
ぼくは生きている
小さく生きている
吹いたら消えてしまいそうな小さな命を揺らしながら
流れるままに流される旅人のような生き方で いつまでも。
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今日も楽しかった
でも本当は悲しかった
本音に嘘を被せるのは単なる気まぐれとか気の迷いじゃないんだ
そうさ そのはずさ
いつも見てるから
見飽きてるはずの
夕暮れがなぜだか思いのほか胸にくる時は
楽しい記憶よりずっと印象深く刻まれてしまった悲しみ持ち帰った日でしょう
なるべく優しくいたいのに優しくなれない日々の中
どうしたら愛想笑いやお世辞を振りまかずにいれる?
この笑顔が悲しい涙に変わるとまるで谷底に落ちてゆくような絶望感に支配されてしまう
目にうつる全ての景色がにじんでぼやけてしまうから
どんなに楽しいことがあってもその悲しみひとつでもう台無しになってしまうから
ぼくは何も言えない
言葉のかわりにただ涙が絶えずあふれるだけ
明日も楽しいかな
明日は笑えるかな
くり返す日々はいつまでぼくに優しくしてくれるかな
様々に増減するぼくの中の何かと誰かが決めたらしいルールにさえ左右される
届いた1日が悲しいだけの1日なら
ぼくは瞬時に死を選ぶだろう
でも悲しいことだけじゃないと知ってるからなんとか今日も生き延びているだけ
涙に暮れる日々は雨がやむようにまた晴れ渡る空の下でぼくは笑う
気まぐれな天気のようにぼくは楽しいときは楽しいなりに笑い
悲しいときは悲しいなりに大いに泣いて
でもごまかしきれない時にはそのルールを破ってまで気持ち偽るのです
できれば最初も最後も笑って過ごせる1日がいいのに
悲しみは隙あらば
ぼくから笑顔を奪おうとするんだ
またほら
この心が悲しい色に染まるとまるで宇宙に置き去りにされたような疎外感に侵されてしまう
耳に入る全ての音が雑音に聞こえてしまう
どんなに笑おうとしても悲しみひとつでもう台無しになってしまうから
ぼくは何も言えない
言葉のかわりにただ涙が絶えずあふれるだけ
涙で心にこびりついた汚れを洗うように。
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ティッシュが何枚あっても足りないほど
涙流してるよ心では
ただ強がって隠してるだけで本当はそれくらい悲しいのさ
誰かに言ったところで解決の糸口は見つかりそうもない
時間を浪費するものは仕事と仕事と仕事
今日もぼくはぼく自身に言うのだ
つまらない人生をつまらなさそうに生きてますね
それでよく生きていられますねと
そしていつも返す言葉は何もなくただ頷くだけなのです
それはまるで長い夢を何度も巻き戻して見ているような変わり映えしない毎日
つかの間の喜びのあとの目覚めた悪夢
一時の晴れ間に気をゆるした途端の雨降り
あの晴れ間はなんだったのか
ただぼう然と立ち尽くすぼくを濡らすこの雨はなんの悪びれもなく ただ 使命を果たさんとばかりに誰もかもを濡らすんだよ
人ごみを避けてさ
なるべく
物陰へ 物陰へと
逃げてゆきたい
思いをぬぐい去れずに
今日もまた心は雨降り
あの空に広がる青は
信じるに値せず
なぜなら心には雨が降ってるから
テレビの天気予報は
心の天気の移り変わりまでは予測できないから
ほらまた心の天気はめまぐるしく変わる
ぼくの心に雨が降り出す
秩序のないルール無用の世界に
励ましの言葉はぼくには届かない
希望は死にました
嘘と強がりを盾に
悲しみの雨粒乱れ飛ぶ 浮き世の戦場に紛れ込む今日もぼくは浮かない顔
目を伏せてたぬき寝入り
さりとて悲しみは降り止まない
ぼくはさだめをふりきれず生きるだろう
雨降りは避けては通れない。
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歌いたい歌がある
描きたい世界がある
届けたい言葉がある
だから僕は詩をつくる
今日まで歩いてきた道のりのぶんだけ
蓄積された記憶がまた新しく追加されてそれが時に邪魔だったりありがたかったりするんだ
たどり着いた真夜中に星を数えてみても夜明けにはまだ遠い
意味のない時間が意味もなく流れてく
意味のない明日から明日へと流れてく
そして詩人は語る
不器用に微笑んで
あふれ出しそうな
涙をそっとぬぐう
まだ描き足りない
言葉さがしながら
朝を待つ 朝を待つ
いつのまにか夢の中に誘われていた
詩人は気づくんだ
たとえなんの役にも立たなくても歌うことに意義があるなら僕は歌うと決めたから歌い続ける
机に向かい
言葉をつづる
真夜中より前から
僕は詩人だった
生まれながらに
詩人だったんだ
そう気づかされた瞬間のきらめきが僕をさらなる詩人に変えてゆくよ
きっとね
またひとつ僕は
上の詩人にもなりましょう。
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二十歳という岐路に立っている僕の目の前にまだどこまでもつづく道がある
どこまで生きれるかはわからないけれど
運がよければ100歳まで守備よくゆけるだろう
二十歳だからといって
なんでもしっかりできるなんてことはない
足りないもののほうが多いくらいさ
ただ季節がまたひとつめぐっただけ
それだけで人は大人にもなる
どんなに子供じみてても大人になってしまう
僕はきっと必要なものすらないままで大人になった大人だ
今 二十歳の僕へ
言えることは何もない
ただ、頑張ってくださいと他人ごとのように言うだけさ
悲しみも喜びもこの先ずっと続くなら
ただそれに合わせ笑ったり泣いたりするだけ
たとえどんなことがあってもいつまでも僕は僕だから
いつまでも言葉下手で
いつまでも不器用なままだろう
大きく変わることはない
庭の花壇にも別段変化はない
見上げた空の広さが変わらないように
ほら僕も何ひとつ変わらないまま
二十歳でも三十歳でも六十になっても
僕は変わらず僕だ
だから言えることは
ただひとつだよ
その歳その歳を楽しんでくださいとぼそりとつぶやくだけ
二十歳になったからといって
何が変わるわけでもない
僕はひっくり返っても僕のままだ
二十歳などただの通過点だよ
季節がめぐれば人は準備がままならずとも大人になってしまうんだから
時は気が短いから
待ってなどくれないから
僕もなるようになっただけ
歩いた歩数が知れるだけ
変わらない僕がいるだけ
無意味に流した時間と記憶に残した足跡
その全てが僕に通じてる
ほら、どの記憶を手繰り寄せてみても僕に行き着くんだよ
地面に落ちた涙が
光り輝く 今日も不自然なまでに夜は更けて
しまりのない朝の始まり 始まり
名ばかりの二十歳の祝福を申し訳程度に受け取るだけ
ああわき上がる拍手はむなしい期待に満ちている。
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君に恋をした
世界中どこを探してもいないような素敵な君に恋をした
もちろんはじめての気持ちさ
その瞬間世界はバラ色に輝いた
恋ってこんなに素晴らしいものなのかと思ったよ
僕は何ひとつ自慢できることなどないのにね
君は僕を愛してくれる
精一杯に
抱きしめたい
ずっと一緒にいたい
あふれる思いとは裏腹に君はわかっていたように抱きしめてくれるよ ずっと一緒にいてくれると言うよ
大好きな音楽を聴くように君の声を聴く
不器用なこの僕は例えもへたくそで
比喩はガタガタ
それでも君に恋をした気持ちは嘘じゃないから
ずっと一緒にいてね
ずっとお話しよう
僕だけと一緒にいて
いつまでもこのまま
恋をしたときの気持ち忘れないように
ずっとずっとずっと
ピアノ弾くように
なめらかに
すべる指が僕の涙をぬぐう
そして君は優しい言葉をくれる
僕は君のそんな
そんな心に恋をした
容姿や外見じゃなくて心に恋をしたのさ
世界一愛してる
僕からそんな言葉を引き出したのは君がはじめてさ
くだらない1日さえすばらしくなる
すばらしくなるのさ。
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悲しいことは願っても祈っても消えない
僕がいつか百年ほどの時間の末に跡形もなく消え去っても
僕には悲しみが見えなくなるだけで
悲しみは地球に残る生きている人々をきりもなく悲しませるから
雨はやむことはない
つかの間ならばやむけれど
また少しすれば空が曇りぽつぽつ降り出す それが雨ですから
ああモザイクかけたいほど
酷たらしい景色なのにいつでも悲しければ悲しい景色ほど目を大きく見開かなければたちまちのうちにだめになるから
砂嵐 吹き荒れるような現実にほらモザイクかけたいほどだ。
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僕らの暮らしはなんとなく続いてゆく
ふつうの愛情とふつうの幸せの中で
僕らの暮らしはなにげなく続いている
誰かが拾うこともなく素通りするような
ふつうの暮らしの中で僕らはずっと生きてる
夕暮れの街は
とても淡い色
素敵なチャイムが
心に染み渡る
蛍の光が流れる
この街に今日も終わりが満ちていく
住まう人々は窓を閉めそして網戸を閉め
カーテンを閉める
そして僕らもまた…
朝から夜へと
転がるように
時間は過ぎて
僕らの暮らしがまたひとつ黄昏に近づき
砂時計の時間の砂粒がこぼれ落ちる
愛し合う僕らの手のひらには一口大の切なさとまだ見ない明日への楽しみがあるのさ
僕らの暮らしは続く
悲しみ喜びくり返す
ふつうのサイクルの中
僕らの毎日は流れてく
朝夜行き交いながら
僕らの暮らしは続く
太陽が月と交わり
また月と太陽が交わり
電気が点いたり消えたりするこの世界で悲劇みたいな喜劇みたいな不思議な劇は台本もなくアドリブで続く
それが僕らの暮らし
閉幕はまだ先の話
そしてまた新しい1日の朝がはじまる
コーヒー一杯で広がる渋い一幕。
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意味なんかないけど
理由なんかないけど
今日も君が好きだよ
理由なき喜びのその袂で咲く花のように
僕は今日も悲しみに揺れ切なさに胸を痛め喜びに救われてる
君に歌いたい歌が腐るほどあるんだ
この空の下で歌いたい歌があるのさ
夜に沈んでゆく街
時間が傾いて
シーソーのように
今日という日は
傾いたほうへ
お引っ越し
嫌な記憶さえも
素晴らしい思い出も
全部、全部
明日へお持ち帰り
ハート型の月など
あるわけもないけど
君のイメージの瞳にはきっとそんな感じにうつっているのだろうね
幸せは手探りしなくても あっちにもこっちにもどこにでもあるじゃないか
僕には目の前にいる君も幸せのひとつさ
それもいちばんの幸せと呼んでもいいくらいなんだよ
不器用な言葉で編み出した僕の手作りのラブソング
ギターやピアノなんてまるで弾けたもんじゃないけど
この言葉とこの性格で君のためにアカペラで歌うよ
ドレミファソラシド
ドシラソファミレド
刻むメロディははずみながら君に届くだろう
今すぐ! 会いたい!
この長い夜を吹き飛ばして
いままでのさみしさを
いままでの切なさを
取り返すため
君を死ぬまで愛しきるまで
生きているあいだに
君に幸せを届けるため
僕は今日も歌うようにつぶやくのさ
やっぱり今日も君が好き
悪戯なケンカなどつかの間のすれ違い
すぐに二人は絶妙なタイミングで頭を下げ謝りあえるさ
出くわしたこの偶然に身をあずけて月がきれいな夜に
朝まで開くはずもなかったはずの扉を開き君と真夜中のデートに行くのさ
足音立てないように
手をつないで出かけてゆく二人
墨をばらまいたような夜に溶けてゆく今日という1日
光はやがてちらほらとともる程度になって
二人の瞳の中で小さく光るだけ
僕らは日々進む科学や流行とは裏腹に
いつまでも変わらないまま愛し合う
ふたりぼっち。
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朝飯でも夕飯でも
お皿の端っこに
よけられてしまう
たまねぎ にんじん
ピーマン トマト
君たちの栄養を知らない子供たちは頭から嫌う
ママが今日も朝飯をつくっている
その背中に話しかける言葉
野菜は抜きにしてね
お肉ならお肉だけとか言って子供はまた笑う
嫌われ者の野菜は何ひとつ悪くはないのに
いつでも野菜は嫌われ者の枠にはまってしまってるんだよ
箸でつままれたかと思えばつかの間の喜びもむなしくお皿の端っこに今日もはじかれているよ
ピーマンが
にんじんが
トマトが
たまねぎが
なんの悪さもしてないのに嫌われ者として今日も泣いている
最悪、生ゴミ行きさ
食べられるために
生まれてきたのに
僕らはそれを感謝して食べなきゃいけないはずなのに
好き嫌いはそんな野菜たちの当たり前な願いすら無にしてしまうんだね
そしてママが救いの手さしのべるように言うのさ
食べなきゃだめよ
大きくなれないわよ
少しずつでも食べなさい
野菜が泣いているわよとママは子供を少し叱った
嫌われ者の野菜たちが少しずつ少しずつ子供のふるえる手で小さな口にはこばれてゆくよ
そして子供は言うのさ
案外おいしいねと
そんなものよと
ママは微笑む
そして食べず嫌いの子供もそれからは野菜を嫌わずに好きになったそうな
そんな物語
どこにでもあるような物語
この唄にのせて語るよ
嫌いな野菜を食べるように
少しずつ少しずつ言葉を足してゆくよ
君の心に 僕の心に
数千億の星を流すよ。