詩人:どるとる | [投票][編集] |
名もないまま生まれ
あとから名づけられた僕らは誰もが僕という名前であって僕という人ではない
なんとなく
ただなんとなく
悲しくてもひたすら微笑んで過ごした1日は思ったより悲しかった
そんな1日は静かな夜に抱かれて色も形もない夢を見るのさ
朝になるまで
暗闇に立ちつくして
今 君は僕の背中に手を回し抱きしめているけど
君の手をにぎる僕の手のひらのぬくもりは君にちゃんと伝わってるかな
心配だ
僕たちは生まれたときは何もかもわからなかったんだね
あの空が空だということさえ
あの花が花だということさえ
ひとつひとつ覚えてきたんだ
花は花でもどんな名前だとか
空は空でも時間帯や天気によってその呼び名が変わるとか
名もない花の僕たちの名前に価値があるなら今すぐ名を捨て 生きるでしょう
僕は僕であって僕じゃない だけれどかぎりなく僕だ
僕を証明するものは名前ではなく 見た目ではなく 僕という人間そのものの輝きなんだよ
それを本当はわかってほしいんだ
君にも
伝えたいのは
僕の名前だとか
見た目じゃない
僕そのものの
ブランドなのさ
名もない花は
名をもって
はじめて
なんの花なのかわかる
そんなもの
名前をなくしたら
僕じゃないのかな
そんなわけがない
僕は僕の心に
その証を示す輝きがある
そして今もそれは光ってる
ほら ここに…
指差す先には
心があるのさ。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
悲しみ消えない
喜びも消えない
涙を流すことも
微笑むことも
意味はない
感情に流されて
欲望に煽てられて
鼻を高くしてわがままに誰かを傷つけて
しばらくはこんな宛のない旅が続きそうだよ
光と影の真ん中で
誰の味方もせず
何色にも染まらずに
僕は僕自身を愛しているからと心のカーテンを閉める
ああ
生きることには答えなどない
ただまっすぐ歩くだけさ
間違えなど何ひとつないこの道を
君がくれた道しるべを頼りに歩いてゆく
僕のこの瞳にうつる誰かの後ろ姿
後ろ髪をひかれるような切なさに胸を痛めながらも 君の手をにぎって先を急ぐ
さあ、僕は今から
宛のない旅に出るのさ
あなたとなら
どこまでだって行ける気がするから
悲しみは消えない
痛みも消えないけど
君となら 君となら
歩いて行ける
目的地はいつだって決まってる
明日という名の今日さ
そして隣にはいつも君が微笑む
いつの今日だって幸せも消えないのさ
君に宛てて
今 そんな
手紙でも書こうかな。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
僕以上に愛している君へ今素直な思いを伝えたい
好きな気持ち
コルクが抜けるように勢いよく飛び出す日まで
空はいつも青空
君より僕のこと
愛していた僕は
昔の僕さ
でも今は目が覚めたから君のほうが僕以上に好きになった
君が気づかせてくれた
ありふれた日々の中
君がくれた答
晴れ渡る空の下
口笛吹く僕を
悲しみごと
抱きしめてくれた
君に伝えたいな
君以上
僕未満
その中間で
大切な
君を
今すぐ
抱きしめたいな
優しさだけが取り柄の僕だけど情けなさより見てほしいのはこの愛なのさ
誰もが見向きもしなかった僕のこと
君だけは曇りのないまなざしで見てくれたから
「ありがとう
あいしてる」
とわに変わらないさ
昨日より絆を深めて
明日は今日より愛を深めてしまおう
この約束は破られない守るためだけに交わす約束なのさ
真夜中の疑惑が溶けてゆく。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
土手沿いを歩いているといつのまにか日は傾いて
空はきれいなオレンジ色に染まっていた
何事もなく平和すぎるくらいに今日も終わるんだね
大好きな君は今 何してるのかな
なんとなく気になる
まっすぐ家に帰るのもなんだかつまらないから
ちょっとだけ寄り道して行こうかな
口笛 吹き鳴らして
黄昏 涼しげな風に吹かれ
並木道 樅の影
ほら 街も優しい表情で僕を迎えてくれる
そして今日もこうして終わるのだ
何ひとつ悲しいことなんかなかった
最後くらいは嘘でも笑えばいいじゃないか
もう今日は終わるんだ 悲しみにもさよならしよう
夕暮れ 揺れる街明かり
さよなら さよなら
何度でも手を振って
どこにでもあるありふれた今日を過ごしている僕は
夕暮れの帰り道
ひとり
それなりに幸せだよ
そう感じられる
今がある
何よりの幸せだね
ああ真っ赤な空に光る明日への道しるべ
たどって たどって
やがてたどり着く少し片付いた部屋でまた僕は目覚めるのさ
そして全てがもとの鞘にもどるまで。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
まぶた閉じれば今も思い浮かべられる
あの輝いていた時代
ほら輝かんばかりの笑顔が咲いていた
あの時代はもう戻らない わかってるけど
あまりに懐かしすぎるから涙が溢れてしまう
明日また明日と急かされる
時間は熱いコーヒーが冷めてゆくように刻々と過ぎて行くよ
振り返ってみても
見上げてみても
見えるものは今この瞬間だけ
時代の影が遠くはるかに揺れている
そのさまを見つめている僕は息を荒らげたどり着いた真夜中に溺れないように心に浮き輪つけて
プカプカ 夢の水面に浮かぶよ
明日もまた仕事
先はまだ長いのに
ああもう心は年寄り
雨の心配ばかりしてる
時代の影が薄れて
やがて古くさい僕らは消えてなくなるように路地裏の闇に隠れるんだね
時代は過ぎて
次の時代に化けて
影をそこに残す
悲しみも喜びも
全部混ぜ合わせて
時代から時代へと
移り変わるから
僕らはついて行けずにただただ立ち止まる 流行りから置いていかれて
時代の影のそのまた影に身を寄せている
流れゆく季節の隅に
追いやられて。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
夏の影が揺れている
遠く幼いあの夏が
花火の音とお囃子の音と風鈴の音でよみがえる
陽射しの強い夏の重だるい日々
硝子細工に透かして
見える思い出がまだ真新しく見えるよ
夏の影が揺れている
夢から覚めるように
短い春は終わり
やがて来る 夏を待ち半袖半ズボン 押入から出す
夏の景色に溶け込む
少年は 線香花火のはかなさにはっとする
名残惜しさは不思議な余韻を残して
夏の遠ざかる影に目を奪われ
汗のようなしょっぱい涙が水分を奪う
麦茶 飲み干せば
引いてゆく暑さが
夏の終わりをつれてくる
あっという間さ
何もかも
だからこそ
尊いのさ
かすかに揺れる影が
また 揺れるのかな
今年もまたみんなで庭で花火するのかな
あの時みたいに子供みたいにはしゃぐ僕は見つけられるかな
まだ来ぬ夏の忍び寄る影を待っている僕は少しずつ暑さ増す日々に目を凝らし耳すまし心おだやかにして
やがて澄み渡る青空とセミの呼び声で夏を知る。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
どうでもいいことを
さもどうでもいいように語る
どうでもいいような人生を生きる
根本からどうでもいいような人だ
この先、行き止まりの看板さえ無視して
要らぬ冒険心出して
無謀にも進もうとする僕はわかりきった罠にも落ちる愚か者
どうでもいいような毎日でも
どうでもいいようなことでも
僕にはそれが大切だから
ちり紙のようにゴミ箱に放るようなまねはしないさ
どうでもいいほどに
大切な日々を
人波かき分けて
また生きてる僕は今も愚か者
ざっくばらんなリズムでどうにかこうにかすり抜けて
僕はまたもやどうでもいいような冒険心出して何度でも何度でもわかりきったような罠にかかる愚か者
こんなどうでもいいような僕がうたううたなどもっとどうでもいいね
だけどこれでも一生懸命うたっているんだ
誰のためでもなく
何のためでもなく
理由も意味もないけど
どうでもいいようで
どうでもよくない
大切な大切な唄なんだ
夕暮れの帰り道
残業した帰り道
暇なときも
ハンパなく忙しいときも
この胸に響いてる
他人にはそりゃどうでもいいだろう唄
でも僕には大切な大切な唄なんだ
たった一行の唄
どうでもいい唄
それは 「何があっても投げ出さない。命だけは」
真面目な真面目な
唄なのさ
わかってほしいことはそれだけ
それだけなんだ
そう、そういうこと!
詩人:どるとる | [投票][編集] |
日曜の夜は憂うつな気分になる
誰もが感じることをわざわざ僕は言うんだ
明日また仕事があける
きっとまた忙しいんだろうなと思う
この不景気になぜそこまで忙しいのと贅沢な疑問さえ僕には本音なのさ
水道の蛇口を閉め忘れたとき
ゴボゴボとひとりでこぼれ続ける水のように
それは無意味な光景なんだよ
無駄に忙しいばかりで
得る報酬はすずめの泪ほど
ああ、窓の縁に手をかけそっと開けたら夜風が吹き込んで
僕の伸びた髪を巻き上げた
週末の夜の切なさ
週末の夜のはかなさ
それを知ってる誰もが切なくはかない
誰ひとりおかしなことを言ってる人はいないんだ
切なくない
はかなくない
そういうやつがおかしいんだ
切なくない夜などない
はかなくない夜などない
でも週末の夜は比べものにならないくらい特別切なくはかない
夜明けがこんなにもおそろしく感じる日はない
日曜日は休みながら恐怖が待ち伏せた月曜への憂うつな通過点
日付が変わり目覚ましが鳴きさけびまぶたを開けたとき
見える光が妙に粘っこい
週末の夜はだいたいそんな感じ
はっとして気づいたその瞬間にはじけるはかないシャボン玉
広がるのはほろ苦い味
週末の夜は…
何度でも何度でも
同じ気持ちになってしまうよ
日曜日は僕の気楽な心さえ 裏返す
ほらね、暗澹たる思いに僅かな喜びが重なりどす黒くなる心の色
笑ったらいいのか
それともだめなのか
わからない
週末の夜。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
ずっと長いあいだ
探し続けている人がいる
その人はどんな顔でどんな声でどんな名前なのかさえ
わからないけれど
ただひとつだけわかってることは僕の運命の人だってこと
部屋の時計がカチカチと1秒ごとにこの世界の時間を刻んでゆくから
僕は歳を重ねやがて大人になる
まだ会えないイメージの運命の人は
きっときれいでとても優しくて美しい心の持ち主なんだろうな
勝手な想像だけで
思わず笑ってしまう
いつか会えるかな
その時はきっと僕の持てる全てで愛したい
いつか会えたなら
僕は今までのさみしさや切なさをその人に聞いてもらうんだ
そしてもうひとりぼっちじゃないよって言ってもらうんだ
生活なんかは貧しくたっていいのさ
ただ出会ったその人が毎日笑えるなら
ありふれた幸せの中
ありふれた毎日をおくり
ありふれた人生の幕を閉じれたら
それだけでいいから
小指に結われた赤い糸が導くだろう明日へ今すぐにでもたどり着きたい
はるかな時間を飛び越えて…
いつか会いたいな
こんな僕のことでも一生懸命になって愛してくれる人に
めぐり会いたいな
僕だけの僕だけのぬくもりを知りたいな
いつか会えたなら
きっときっときっと
幸せにするよって誓いたいな
多分もうひとりよがりな僕は出てこないだろう
涙に濡れ
潤んだ瞳を覆うまぶたを伏せれば
そこにはいつも
理想の未来と
愛しい人が浮かぶ
名前も顔さえ
知らない運命の人
孤独な夜にさよなら告げられる日はいつになるのだろう
いつか会えるかな
その時はきっと僕の持てる全てで愛したい
いつか会えたなら
僕は今までのさみしさや切なさをその人に聞いてもらうんだ
そしてもうひとりぼっちじゃないよって言ってもらうんだ
雨雲が雨を降らし気が済んで去ったころ思う
いつか会えるその時を心待ちにしてるよ
今すぐにでも会いたい気持ち押し殺して。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
心の中にどしゃ降りの雨が降っている
そして降り止まないその雨に僕は濡れていてもう抵抗するのもかったるいから雨が顔にかかってもなんとも思わない
いつもいつでも何してても悲しみがあればそこには涙がある
小さなことさえ雨が降るきっかけになる
とても弱い僕はすぐ何かあるときまって泣いてしまうんだ
雨に濡れ 今日も帰る
電車に揺られ 雨粒でよく見えない窓からの景色を見ている
時々誰かが軽いせき払いをする
雨に濡れている僕の心の置き場を知っているのなら
今すぐ おしえてもらいたいもんだね
少しずつ少しずつ
終点に近づくにつれ
乗客が減ってゆく
席があいたけど座らないのは僕の小さな見栄なんだろう
やがて電車は終点へ着く
改札に立つ 無表情の駅員に切符を渡して
家に向かい歩く
疲れた顔の僕が何気なく見た硝子窓にうつる
説明するまでもないようなあたりまえな夜にたたずむ
僕は夢も見れずに
いつまでもいつまでも起きていた
このまま今日に置き去りにされてしまいそうだな
でもそれはそれでなんか良さそうだな
そんなくだらない思考も意味はないね
それでも暇つぶしはほかに見あたらなかった
そんな雨の夜は
夜明けが眩しくてたまらない
カーテンを開ければ
昨日の雨が嘘みたいに晴れていた
そうだったらいいのにね
引き続く 雨は明日も僕の心に降る
青空などなんの意味もない
僕の心の雨をやませるものは目には見えない喜び
ただまぶしいだけの陽射しをよけて屋根に隠れる僕に届く平凡
現実と夢の境で
無意識と意識の間で
僕はひとり雨に今日も濡れている
それを誰も知らない
だけれど死ぬまで続くよ 雨の夜 晴れた朝
イメージを覆す
ものの見事な裏切りのマジック
今日も僕を濡らす
的外れな天気予報
降るのは雨だけじゃない
悲しみだって降るんだ
心に。