詩人:どるとる | [投票][編集] |
涙は流れて どこへ行くのかな
今日も 夕陽が窓の外で沈んでゆく
涙が流れたら 僕はまた笑えるかな
悲しいことが終わったら心にも雨上がりみたいな虹が架かるかな
言わなくてもわかるくらいありふれた悩みをあえて聞いてほしいと思うのは
それが本当に苦しいからで
僕の心が壊れそうだからで
今僕はとてもさびしくて
強がる気持ちを全部捨てたら
今すぐ誰かに愛やぬくもりを乞うことだろう
涙のゆくえを そのあとを追いかける人がいるなら
おしえてほしい
涙が流れる その意味を 嘘じゃなく 本当に悲しいことを
僕を疑い 僕を責め立てる誰かに伝えてほしいんだ
窓の外に 輝く 月の光が 僕をかすかに照らし出したら すべてはもう白紙になるから
その前にその前に
どうか おしえてほしい
こんなふうに思いを吐き出してるあいだも涙は流れてはどこかに消えてく
行かないで
行かないで
僕を悲しくさせたまま 独りにしないで
独りにしないで
涙を流すその意味や理由をいちばん知っている僕だから
言葉にできないことを代わりに誰かに言ってほしい
この口は悲しみの前じゃなんの役にも立たないただの食べ物を胃にはこぶ穴でしかないから
涙よ 悲しみよ
どこへまた 消えてくの?
悲しみに暮れるばかりの僕を置き去りにしたままで。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
幸せになるために
僕は日々積み重ねる
幸せをつかむため
僕は日々走り続ける
働いて 働いて お金を稼いで
媚び売って媚び売って 信頼 手に入れて
愛想を愛想を振りまいて 安全を 安全を確保して
いつでもいつでもぬるま湯の中に浸かっていたくて 立ち位置に気を遣う
所謂幸福ってそんなものなのかと思う
その中でその中で手に入れるものだと思う
それでもなぜか
本気じゃ笑えない
それでもなぜか
本当はうれしくない
幸せにはほど遠い
偽りの幸福の中で
むなしい笑い声がひびく日々
だけれど 愛想を振りまくことや媚び売ることやめたら きっと不器用な僕はやっていけないよ
幸福になるために
自分犠牲にするなら
他人に媚びを売り
愛想振りまいて
嘘でも 持ち上げて
上機嫌にさせて
それくらい 仕方ない
幸せって意味をはき違えているのは
ずっと昔からわかっていたけど
幸福を得るためには
仕方ない 仕方ない
いつもそればかり
幸せになるために
日々積み重ねる努力
目立たないように
物陰に隠れて
それが幸せになることですか?
それでもなぜか
本気じゃ笑えない
それでもなぜか
本当はうれしくない
幸せにはほど遠い
偽りの幸福の中で
むなしい笑い声がひびく日々
いつか抜け出したい日々です
幸福とは常に開放的なものであるはずだから
いつか僕も太陽の下を歩きたい
本当の幸福を夢に見て 今はただ賢い奴らのうしろで 嘘っぱちの笑顔を 振りまく
偽りの幸福の中で
悲しみに泣くことさえゆるされぬピエロの役を買って出た
観客の拍手と歓声を得るためだけの愛想笑いですべてを笑い話に すり替えて
偽物の幸福論で
己さえ騙し続ける 悲しいばかりの舞台上。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
空間と次元をねじ曲げたように
深いような浅いような眠りから覚めれば
僕はあくびをして
サラダをフォークでつつく
ありふれた朝の景色
今日はどんなことが待ってるのかな
似合わない期待もしていた
そんなさっきまでの出来事も夢のあと
今は静かな夜に身をあずけてる
月の優しい光に照らされてる 夢のあと
こちらから向かわなくても楽なのは
目覚めたら明日にもう着いていること
だけれどそれもまた悲しみがつきまとうものさ
それでも朝に飲む
熱いコーヒーは格別
なんてことを思ってるうちに すべては夢のあと
人生はまるで夢のよう
心は風船みたいに宙に浮かんだまま
地面に着かず いつでも
浮かんだままで
大切なこともたまに忘れてしまうよ
明日はどんなことが待ってるのかな
似合う似合わないに関わらずしてみる期待はどんなふうに僕を裏切るのかな
それもまた楽しみのひとつだよ
そんな思考もすべて
やがて 夢のあと
灰皿の中で かすかに燃えている 吸い殻のように わずかな記憶だけが 夢のように
残っているだけだ
いずれはすべて消えるのだ。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
君と僕はどちらが
上とか下とかもなく
同じ立場にいるよ
君が泣いていれば
慰めるのは僕の役目
そして
僕が泣いていれば
励ますのは君の役目
そんなルールなんて
かったるいだけだ
ただ気が向いた時にだけ励ましたり慰めたりすればいい
それなのに君はいつでも僕の表情や仕草を見極めて
ほんの小さな表情のかげりのひとつさえ見落とさないで
この僕を慰めてくれるね
君と僕の方程式には
きっと答などなくて
ただ行き着く答は
いつでも愛なのさ
降り止まない雨も
泣き止まない空も
どちらがわるいとは言い難く 悪者扱いはできないから
僕らも泣いててもどちらが責めるとかできないんだよ
君と僕の方程式には
決まった掟はなくて
心が痛むから慰めたりする わざわざ助けてとは言わない
愛があれば
気持ちは伝わる
手と手を繋がなくても
伝わるぬくもり
束になって
輪になって
列をなして
踊りましょ
回りましょ
ふざけましょ
常識のまわりをくるくるくるくると
君と僕が決めた
暗黙の方程式で
これからも
この世界をこえて
荒波をこえて
僕らなりの答をゆっくり探してゆこう
計算できない答を探して ゆこうぜ。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
暗い暗い孤独の闇に沈む
文句や愚痴ばかりこぼす日々
商店街の小さな灯りが
ここから見える
深海のような暗い世界
夜と呼ばれる時間帯
空には大きな月が輝いて
この街に この僕に
水面上の世界を想像させる
空が僕には岸で
その下が海で
深海のような
暗い暗い
世界で
ほらね何もかもが海中からのぞく水面のようにキラキラと輝いている
それを羨ましそうな眼差しで眺める日々。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
どの目が出るかわからないけど投げるサイコロ
どんな未来が待つかわからないけど進む ジンセイ
いつでもジンセイはスゴロクのようなもの
投げてからする後悔は
投げないでする後悔より
ずっとちっぽけだ
だから投げよう
後悔するなら
投げてからする後悔をしよう
さすればジンセイはバラ色さ。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
特別なものなんて探しても何もなくて
ありふれた出来事だけが見事なまでにずらりと並んだ日々
僕らの暮らしはいたってふつうな毎日
雨の日 晴れの日
繰り返すだけの見方によっちゃつまらない日々
ただ僕らは悲しくって さびしくって
もどかしくって いたたまれなくて
しかたなくて あきらめて あきられて
そして今ここにいる
いろんなことがいろんなふうにあわただしくて猫の手もかりたくなるような日々
でもね 一瞬の日のかげりが太陽の光を遮ったそのとき
涙は人知れずこぼれるんだ
君も同じだろう?
きれいな愛想笑いが咲き誇る町の中
芸術的な媚びの売りさばき方 それどこで習ったの?おしえて
僕等の暮らしは順風満帆に見えて案外大変で いまだ死にたくなるような荒波には 出会っていない
夢に描いた未来は無謀と考え 進路を変え船は進む 妥当なる地へ
まばたきひとつで
広がる闇に怖じ気づく日々
それが僕等の暮らし
特別なものなんてほらないでしょう
でも、見方によっちゃ 幸せにも見えるでしょ
ありふれた日々の中に見え隠れする幸せにたまにめぐまれる
そんな僕等の暮らし
ブラウン管にうつる天気図には荒れ模様のきざし
それもまた僕等の暮らし
舵をとる心ひとつだ。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
今日のさびしさは
明日までのさびしさ
君と出会ったなら
そんなさびしさも消えるんだ
魔法のように不思議な気持ちの通い合い
行き交う人の数だけ
あり得る 奇跡
僕等は足並みそろえて ふたりで歩くことの難しささえ楽しもうとする 愚かで素敵な恋人なんだ
だから 未来は底抜けに明るくなくては困るよ
なんてことためらいもなくいえる僕等は本当の愚か者だね
今日のさびしさがあるから明日の幸せがある
そう思うから
ビリっけつでも
最後まで走りきる
ランナーに憧れる
とっくの昔に周回遅れでも 僕には君がいればさびしくないから
今日のさびしさは
明日には幸せに変わるのだから
雨上がりに虹を期待するのもわるくはない話だろう。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
麦わら帽子が熱風にあおられて気づく夏
君の手がつかむ線香花火がポタリ落ちて終わる夏
夏のはじめはだんだんと暑さは増していって
そしてしばらくののちだんだんと暑さは引いてゆく
小麦色の夏の青い空の下で稲穂が揺れた朝
僕のもとに届いた
暑中見舞い
玄関を飛び出す
汗をぬぐい
白いスニーカーが
白馬のように地面を駆ける
もう季節は早いもので夏はそこまで来てる
じわりと汗はにじんでは冷めていく
立ち止まればそこに夕暮れ
沿岸で食べるスイカと君とした種飛ばし
そんな思い出も夏の暑さのようにだんだんと淡くなる
狂おしい暑さもなぜか夏が終わるころには 恋しくなる
そんなものさと話す
君と 祭りのお囃子の中へ ちょうちんと出店の並ぶ景色の中へ
そうして解けるように
夏はちぎれ雲のように
目を覚ませば終わる
なければ淋しい幻も直に感じればうっとうしいものなれど
なぜか恋しさと名残惜しさ残す夏
夏はそこまで
もう 来ているよ
目を開ければ
窓の外に広がる
夏の青空と
真っ白な雲
焼けるような暑さ
それが夏だから。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
季節はいつでも
その後ろ姿だけ
見せたまま
理想にあるような
顔はあまり見せないんだよ
手にした未来は
何もかもが納得できるものではないけど
僕にはこのくらいがちょうどいいって思ったらなぜだか
すべてを受け止められたんだ
わずか数十年のあと
人は誰もが死んでいくけど
その前にできることが何かひとつでもあるならばしておきたいんだ
不器用なこの手が描く日々はまるで幼い子供が戯れに描く落書きみたいだ
僕が一生懸命やってきたことを誰かに笑い話にされても僕にはそれが本気だから
季節はまた僕の
想像を覆して
なんの面白味もない変わり映えしない景色をうつすよ
いつか 運命の歯車が動き出して
僕におしまいの時を知らせにきてもね
我、散りゆくとしても
笑いながら
微笑みながら
散っていきたいんだよ
そのために
そのために
今は積み重ねる
夢もやりたいこともなにもないけど
時々笑って
時々には泣く
そんな当たり前な日々を繰り返すだけの毎日を生きることが僕が僕にできる精一杯だとしたらやめてはいけないんだよ
そう思ったら なぜだか心が軽くなった
切なくにじむ
夕暮れ間近の空
7月生まれで暑がりの天の邪鬼
ビルの屋上から見上げる世界
何も悲しくないよと嘘をついて
まばたきのシャッターで切り取られたような 一枚の景色を胸にとどめたよ
きれいなこの景色忘れないように
明日にはこんでゆく
風に吹かれて
決めつけられた
地図を破り捨てて
道なき道を行く
僕になろう
宛はなくても
度胸は無駄にあるから
進め 信じる方角へ
心に備え付けのコンパスが指し示す
空の彼方 はるか彼方
人生はいつでも
決まり事のないゲーム
変わり映えしない毎日ならそこに色をつけるのが僕らの仕事だ
我、散りゆくとしても
やがて訪れるだろうおしまいの時を待たず待つ。