詩人:どるとる | [投票][編集] |
たくさん悩んで
たくさん迷って
いつか頭の中で
現実よりリアルだったはずの夢の世界は壊れて
ネバーランドなんてなかったことを知って
人は大人になるんだね
歩いた距離や
生きてきた時間なんて問題にもならないね
大切なのはその中で感じた『濃密さ』さ
きっと僕は最初からわかっていた
だけれど いつまでも夢の世界で微睡んでた
ピータパンはどこにもいないんだ
見えていたのは幻だったんだ
悲しくても
そう 割り振ることで強い自分を取り戻すんだよ
現実の世界に帰るようにピータパンの手招きを無視して僕は母親の手をにぎる
壊れていく夢の世界が 少しだけ 恋しかったり懐かしくても
僕は 夢の世界では生きてはいけない
現実がたったひとつのリアルだから
静かに夢のドアを閉めるよ
さよなら
ピータパンに
手を振るんだ
きらめいていた
世界は
地平線よりずっと
はるか彼方。
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木枯らしが吹き荒ぶ
帰り道の黄昏
足跡は家まで
まっすぐに続く
ポケットに両手をつっこんでいる
無防備な僕をどこからでも今なら
消し飛ばせるよ
神様
あなたはまだ僕を生かすというのですか?
夢のようなそうでもないような不思議な夢の中で 夢見てる
かすかな風の音が僕を 包むように吹いている 不安は不思議とまるで無い
真夜中のカーテンを
大きく ひらいたら
そこに見えた景色につぶやこう
僕はまだまだやれる気がする
そんなことふいに思う夜
長話は長々と続く
この夜が明けるまで
朝が街を照らすまで
長話は延々と続く
ワガママもまかり通る夜。
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ふらりと雨が降ってきて
アスファルトを濡らす土曜日に
風邪を牽いた彼女は部屋の中で
お粥を食いながら
僕の話に耳をかたむける
さっき買ってきた
バニラ味のアイスが溶けてしまうまでくだらない話題で笑いあうのさ
大切なものはいつも
こんなにも 肌が触れ合うくらい
近くにあるのにね
打ち明けられない
毎日を生きてる
僕は乙女のような
恥じらいを胸に抱いて
薄紅色に頬 染める
今日も ふたりは微妙な関係だ
君がお粥を食べ終わって少ししたら
雨も上がったようで
君も具合がよくなってきたようでなんだか 今なら言える気がしたよ
なんてね
言いながら
雨に思いを流す土曜日
ふらり雨が心を濡らす
今も乾かない 胸のうち。
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倒れても 転んでも
何度でも その反動で立ち上がる僕はだるま
真っ赤な顔して
おひげを携えた
強面の心は
優しさに満ちあふれてる
夢のような そうでもないような
不思議な夢をまた見た
これは現実なのか
蚊をはたき落として
リンリンと鳴く鈴虫の鳴き声と風鈴の音に情緒感じる夏
7月は美しいものばかり
花火も見に行きたいし
お祭りにも行きたいし
やりたいこと
行きたいとこ
目白押しさ
目をつむると まぶたの裏に青い海と黄色い砂浜が浮かぶ
遠い昔の夏が広がるよ
押し寄せる波が夏を届ける
7月の日記
記したのは
楽しい記憶だけ
花火の燃えカスを水にためたバケツに入れるように 残るのは焦げたような火薬の匂いだけだよ
陽炎が近づいては
遠ざかって揺れる
鼠花火が回る
打ち上げ花火が
天高く舞い上がる
そして夜空に
はじけ散る 大輪の花
ラムネ 片手に
夏を飲み込む7月の夜
日記に書くなら
当然 そんな夏がいい
暑さに参る日々に
やってくる夏休みに
僕は 恋しさを抱く。
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現実と夢の境で
せわしくさまよう日々
何が現実で
何が夢なのか
時々解らなくなる
頭の思考回路が
狂ってしまう
何を基準にして
人を判断するのか
何を基準にして
評価を下すのか
その人の判断で
その人が満足してるならばほかの人がその人の生き方に文句をいうことはできないよ
正解と不正確の境目を行き来する
時々は正しくて
時々は間違ってる
そんな僕の毎日はつまらない
でも満たされてる
どこか充たされてる
そんな日々です
さあ、見えない触れない幻といざ戯れよう
さがしてる答はきっと街の中にも広告の中にも雑誌の中にもあるはずないよ
基準と境目を照らし合わせながら
少しずつ確信に迫ってゆくのさ
そしていつかそれと知る何かが見つかるまでウダウダしていよう
違えながら
誤りながら
少しずつ
自分なりの
答を導き出そう
萎え気味の毎日も
あざやかに変わるのなら
基準と境目を見比べながら
ちょっとずつ本物に近づいてゆこう
そこにある新しい
明日に さわってさわってさわって。
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いつも行くあの公園のベンチ
大きなイチョウの木の下にあるベンチ
おきにいりのベンチ
少し古びたベンチ
いつもここで本を読んだり昼寝したりする
さあ 今日もあのベンチに行こうね
苦しい金曜日の終わり
楽しい土曜日の始まり
何気ない日常に隠れた楽園よ
どんな場所よりもいやされる僕だけのベンチ
今日も行こうね。
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広い広い 海の真ん中あたりで
難破船みたいに漂流している六畳一間
舟のように僕の毎日は迷いの底のさらに底
行き場もなく
はけ口もない
わたしには
もはや何ひとつ心の空白を埋めることはできないよ
僕の後世はなんなのだろう
人間でもほかの動物でもかんけいなくつぶやいてやるんだ
おまえの前世はこんなに情けない男だったんだよと
悪ふざけの延長みたいなどうしょうもない未来の中腹であがきつづける父親の影が視界にうろつく
目障り…
明暗の世界の中
降り止まぬ雨の中
母なる大地を
踏みしめて
我は地をひたすら
歩く 旅人になるのさ
距離は考えない
ただひたすら時間まで 歩き続ける
そんな僕の一生よ
幸せはどこだい?
どんな形だい?
どんな色だい?
覚めない夢の中で
たずねては返らぬ答にいらだつしまつ
名づけるなら
どんなタイトルがいい?
また悪ふざけの延長は続くよ
日々エスカレートしながら
エスカレーターのように天へ天へ昇る
溺れそうでも
溺れることはなく
わずかな
苦しみを地味な痛みを伴った生活
それが僕のカルテ
診断はいつも
治らない 夢遊病
鬱 対人恐怖症
極度の人見知り
愛想のかわりにくだらない調和をもらいマッチのように誰もが嘘見え見えの世辞を売り歩く
そんな世界に僕は生まれた
そして今日も 今にも沈みそうな舟に乗り
なぜか いつ沈むかと気が気でないんだよ
ほんとうはまだ生きたいんだ
ただ、目の前のスライドがめまぐるしすぎて 頭が痛いだけ。
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朝7時半目が覚めて
牛乳一杯だけ飲んで
食パンを一枚食べて
ただそれだけでどこか幸せ感じる僕は単細胞
なんとなく出かけた
行き先は決めないで
せっかくの休みも気まぐれな堂々巡り
費やされるよ 無駄な時間が
でもいざ休みになると何をすればいいか
わからなくなるんだよ
素晴らしい 1日だった
そんな見え見えの嘘でごまかせるわけもないけれど
とりあえず言ってみただけだよ
ワンダホー…
ワンダホー…
何度もつぶやいていた
明日も1日に何度もつぶやくのだろうか
だめな自分を
愚かな自分を
諭すかのように
悲しい気持ちを
切ない気持ちを
隠すように
ワンダホー…
ワンダホー…
つぶやく声が今日も夜にこだまする
小さく小さくつぶやく声がむなしい
ため息が数十メートルの高さすらこえて僕の胸の中を悲しみで満たした
それでもつぶやく声
ワンダホー…
心の中にさざ波が
打ち寄せる。
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風に吹かれていた
黄昏時の空は オレンジ色に染まっていた
熱いコーヒーを飲んだときみたいに胸の中で言いようもないような切なさがじわりとひろがる
カラスが二、三羽
大きな羽を広げて視界を横切る
そのとき夕立が肩先を濡らす
なんとなく吹いてみた口笛が奏でるのは聞いたこともないような即興曲
悲しいかい?
切ないかい?
誰かに聞かれても
僕はきっとね何も言えません
風に吹かれて 黄昏ていつもと同じ赤茶けた空の下に佇んで
五時を報せる
アラームが
町中にひびいて
ため息ひとつ
吐き出したそのとき
なぜかあふれた
涙がほほを伝った
涙を流す理由なんて
ありすぎて 困るほどだけどいつも理由はひとつだけ
あの夕暮れのせいさ
涙のわけは
嗚呼いいところで
終わる ドラマみたいに ほらね 今日も未完成のそのまた続き。
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ほんとのこと言わなくてもうまくごまかされても
よく知ってる僕なら君の気持ち 手にとるようにわかるんだ
ずっと友達のまま仲良くいてくださいねって君のかわいい顔に書いてあるんだ
君が優しくすればするほど僕は君を好きになって
離れようとすればするほど 君が恋しくなって結局はいつも君の隣で下手な笑顔で平気なふうを装ってる
この世界でもしも君に出会わなかったら
こんなに素敵な気持ちに気づけなかったね
あとで君じゃない人を好きになっても
君に抱く思いはただひとつの気持ちだから君への恋心はあとにも先にもこれっきりさ
あの日、僕の胸のいちばん奥に咲いたはじめての気持ち まるでそれは花のようにかぐわしき香り放って
僕をとりこにしたよ
僕はもう君以外
好きになどなれない
そう思ったのに
この一途な思いは
一方通行なようで
その先には踏み込めない
どれだけ君が好きでも君は僕じゃない人を見ているようにどこか遠い目をしてる
君が僕にくれるその笑顔は君が好きな人のまえではそれ以上の輝きを持つ笑顔になるんだろう
それならいっそ僕じゃなくその人にだけ浮かべるべき笑顔だと思うのさ
卑屈になる
卑屈になる
僕のわるいくせだね
あの日、僕の胸のいちばん奥に咲いたはじめての気持ち まるでそれは花のようにかぐわしき香り放って
僕をとりこにしたよ
その花の名は
初恋という美しいはずの花
どこか切なげな香り。