詩人:どるとる | [投票][編集] |
この歳になって
常々思うことは
至って何もないよ
そんなの嘘だけど
わざわざ言うあれはない
頑なに口を閉ざしてた僕だけの迷いは
いつの間にか旅の途中で出会った君に
話すことで少しは癒されている
不思議だね
不思議だね
僕は今
恋をしている
僕は立ちつくす
二十歳という
線の上
今もう少しで
その線をはみ出す
現在地はまだこれからの人生考えたら始まったばかりの旅さ
未来なんてぼやけて見えないけど
いくつかの理想や夢
掲げながら
歩いてゆく
少しずつ
歩いてゆく
秒刻みで日々
死へと近づいてく
毎日の中で
感じる生の脈動
トクトクと僕の中で息づく新しい光
さあ また ここからが新しい旅立ちだ
新しい朝が窓越し見えたら
大きく深呼吸して
よしと決めたら
あの太陽に向かって
歩き出そう
現在地は変わらない
いつだって同じ場所さ
僕はどんな長い距離を歩いてもけっして始まりからは逃れられない
だからいつでもふりだしから歩き出す
旅立ちはいつでも
見慣れてるけど懐かしい この線の上から
少し かすれてる鳥の声を合図に羽ばたくように駆け出してゆこう
明日と呼ばれていた
今日という新世界へ
今 僕がいる
君がいる
現在地 確かめてから。
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何を考えてるの?
明日を考えてるの?
未来を想像するのは悲しくもあるのさ
だから巻き貝みたいにたまにはひねくれるみたいに 流れる時にときには抗うのね
だけど時間は絶対的なものだから
また抗えず もとの時計まわりに僕の中の時計も回りだすのね
ひねくれたままでそれが素直である巻き貝にはなれ続けられない
わがままひとつ
抱えたままでいさせてね 悲しいから
僕の中の時間はとても素直だけどやっぱりたまには堪忍袋も破けることがあるのね
夜も朝も
時の波音
聞きながら
さびしいとき
切ないとき
ふいに泣きたくなるとき僕は誰も思いつかないような突飛な悪戯 考える
僕の中の巻き貝みたいな感情は渦を巻き何度でも僕を変えるから
また明日も僕は抗っているだろう
どうしょうもないような時の流れにひたすら逆らうように
流れるプールを逆に進むように
無謀とも思われるような素直な気持ちを形にするのさ
ねじれた本音は
嘘や愛想なんかじゃ
隠せないほど
美しいから
僕は今も捨てられない 巻き貝みたいに渦巻き 悩み迷える轍。
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ちっちゃなころからこの心に記されてきたたくさんの思い出さえ
いつかうたかたのようにひとつも残らずぜんぶ消えちゃうのかな
自転車に乗れたのは
思えば結構時間がかかりました
それでも父さんは少しも怒らずに優しくゆっくりでいいからと言いました
母さんは僕の頭を終始ナデナデしながら
やっぱり優しく
僕の後ろでいつも
見守っててくれました
人生は自転車の練習のように 何度もつまずきながら 少しずつ生きていくコツだったり歩いてくコツを知っていって
人を変えるのは拳じゃなく やっぱり愛や優しさだったりなんだね
気づいたよ うたかたの時間でも積み重ねる思い出は後々の人生に素晴らしい足跡を残すってこと
だから僕は与えられたこの時間の中で母さんや父さんが僕に優しくしてくれたように僕も誰かに優しくできたら
それは素晴らしいことでしょう
人の命はうたかたです
だから父さんも母さんもいつか僕の目の前からいなくなってしまうけど
うたかただから
僕らは精一杯
きめられた
時間の中で
生きること
楽しめるんだな
ねえ 自転車に乗れたあの日からかぞえて僕は少しは大人ってものに近づけたかな
嘘でもいいから
声だけでいいから
僕にまたあの優しい声でうんとうなずいてよ
自転車には当然もう乗れるけど
乗れないふりしたら
また教えに来てくれるかな
来てくれるわけないよね
でもあなたに会いたい
うたかたに消えた
命ふたつ
タイヤのように
すり減る時間の中を
さまようように
朝が来ればせっせと働いて
夜になればさっさと眠って
そんな日々をどう思うのかな
僕もうたかたに消えたあとでそれはわかることなのかな
ねえ そっちの暮らしはどうだい?
なんだか大人なのにねみょうにしんみりしちゃうね
全然 たばこも吸いたくならないや
思い出に心奪われ。
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記憶の中の君を追いかけてる学生服姿の僕
遠い昔 見事なまでにふられたはずの君を追いかけてる
僕もあきらめわるいね
幻影みたいな
追憶のあの人
なぜかな
僕の時間
あの日から
止まったまんま
ぜんぜん
進んでやしないよ
もうちょっとしたら
テレビは地デジになるというのに
アナログ愛が抜けないよ
初恋のときめきが抜けないよ
終わらない夢から抜け出せないよ
恋わずらい
わずらったまんま
追憶の人
追いかける
現実ではそんなの忘れてるはずなのに
なぜか夢の中ではいつでも僕は君を追いかけてる
それが本音なのかと気になってしまうね
追憶の人よ
つかまったら最後
夢の中の僕が
不気味に笑うよ
現実の世界が
崩壊するよ
だから頼む
逃げ続けてくれ
そうしてくれることだけがあの初恋を忘れるための唯一の手段だから
追憶の人よ
夢の中までも
僕をさらりと
ふってください
もしも現実と夢が同じ心を夢の中の君にも与えてるなら。
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今僕の目の前で沈んでゆくのはいつかの赤茶けた夕日かな
心を鬼にしてもう泣かないと決めたはずなのにまた泣き虫は僕に涙をよこせといいやがる
ドラマみたいな
現実感ってものがまるでない
作り物としての
産物をひたすら眺めるような
夢のように
幻のように
それはいつか
はじまったよ
夜明けの訪れのように
目を覚ましたときには幼い時の記憶は遠い思い出ほどぼやけて 気づいたらもうひとりで歩けてたよ
そんな理不尽なようで実に合理的な命ってもの授かったとき
僕は何を思ったのか
今では何でも文句もいえるけど きっとあの時は僕は真っ白な気持ちだったよ
純粋すぎて
心が美しすぎて
目覚めない夢の中で
終わりは唐突に訪れる
絶望は希望と同じ穴蔵の中に棲む
そして人の笑顔や涙もひとつの世界の中に集められてる
ああ誰かにはどうでもいいかもしれないけど
この長い長い夢から覚めれば 誰もがきっとそこにはもう存在しない存在だね
繰り返す営みが僕や君を見捨てたらもういられなくなるね
この夢は時に残酷なほど冷徹で
時に喜びに満ちあふれていて
とても理解の及ばない夢だから
この夢が覚めるまで
僕は僕で生きてこう
時にうなされることがあっても数少ない幸せにすがっていつもいつもあいかわらずの僕でいよう
たまに見え隠れする至福の香りに酔いしれながら
夢の終わりを待つこともなくただ繰り返す日々 それはさながら絶えず地面を打ち続けるごうごうとした滝のような夢のごとし
さあ 僕もそんなふうに意気揚々と生きよう。
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忘れたつもりでいる
遠い日の記憶は
忘れたどころか
鮮やかなまでに記憶に焼き付いている
傷跡は何度も
ひらいてしまう
些細な誰かの
言葉にだって
たやすく傷ついて僕の顔から笑顔が消える
まんまるなお月さまが輝くような夜に
とぼとぼと帰り道
自転車のペダルを漕ぐ両足がやたら重くて
家までの道が果てしなく感じるよ
それは気のせいなのかな
そんなはずないさ
心に咲いている
花がたとえば
美しい思い出だとして忘れてしまいたいような悲しい記憶はその美しい思い出よりなぜか鮮明に記憶にこびりついてる
いつまでも色あせずに
何も言えない夜は
完璧な敗北を意味する
白旗を振って
負けを認めても
許してなんか
もらえないのは
ずっと昔から
知ってるんだ
だから 悲しみを記憶の水底に沈めたつもりでいるのさ
気持ちだけはつよいつもりでいるのさ
だけれど本音では
いつも悲しみにさいなまれ 押しつぶされているんだ
声も出ないくらい
苦しいんだ
だけれど 先を急ぐには忘れたふりをして
その場しのぎの愛想で切り抜けるしかないから そうしてるだけ
いつまで 通用するかな
あと少ししたら
壊れてしまうところまで
僕はもう来てるんだ
悲しみを記憶の水底に沈められずにいるよ
沈めたつもりでいる悲しみは何度心の中で沈めても沈めてもしばらくすればまた浮き上がってくる
悲しい記憶は
気づけばまた
何気ないふりして
そこにあるのさ
悲しければ悲しいほど浮き上がってくるのも早く
軽いものほど沈まないけど 悲しみは深ければ深い悲しみほど沈まないんだ
ほらまた 沈めたはずの悲しみが浮かび上がってくる
記憶はまた悪夢のようにもどってくる
悲しみの花が返り咲き 涙が心の臟をしっとりと濡らす。
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僕が詩人になった日のことを思い出していた
言葉を紡げば誰もが詩人になれること
疑ってばかりいたけど
詩人になった今なら
すべて笑い話にできる
僕は詩人です
名前は誰も知らないけど
言葉を今日も紡いでいるよ
コーヒーを飲みながら
ミルクとコーヒー
混ぜ合わせるように
苦すぎても
甘すぎても
だめだから
その配慮が大切さ
詩人も楽じゃないね
さあ言葉は僕を強くしてくれる魔法だから
きっと明日も僕はどうしようもないくらい詩人なんだよ
だから今日も
生まれ変わるよ
新しい僕になるよ
詩人になった日は
いつも訪れるのさ
僕はいつも
生まれたての
詩人なんだから
風まかせに舵をとる舟のような。
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押しては引いてく
波はまるで
昇っては沈んでく
お日様のよう
時間は流れ流れて
やがて
僕に終わりを
告げに来るけど
僕は強くありつづけたい
ただ強くありつづけたい
風は南西に向かい吹き
僕の意識は遠い空の彼方まで飛んだ
さあ 波にまかせ
どこまで行こうか
宛てはない
行きたい場所もない
でも明日という世界の中だけでゆるされた自由
それは不自由という自由
箱庭に閉じこめられた小鳥たち
今日も優雅なまでに空を飛ぶ
だけどその翼には多大なる悲しみが見え隠れ
そんな気持ちで今日も飛行する。
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人生の目次を開いて
それだけで諦めて
もう僕の人生は終わったんだとか夢のないことばかり言ってしまうぜ
あとから あとから
悲しくなってゆく
あとから あとから
切なくなってゆくよ
PS 僕は死にました
ねえだとか声かけないで 見えないものだと思ってどうぞ無視してください
こんな僕なんて
いないほうがいいから
影法師 揺れる夕暮れ
橙の空に浮かぶ綿雲
疲れ知らずの蝉はいつまでも鳴き続けて
こっちからはミンミンと
あっちではジリジリと鳴いている
たまに道端 死んでる
蝉の短い命のように
夏の暑さは少しずつ消えてゆくよ
まだまだ暑い日は続くけどもう少しすれば夏も氷のように溶けるね
そして夢はさながら夢のように 星屑になって消えた
努力や頑張りなんて
何ひとつ 僕にはできなかった
泣いても 泣いても
とまらないなみだ
泣いても 泣いても
充たされない心
持て余したまま
僕はふいに時の途中に
ただ舞い散る
枯れ葉になりたくなる
だけどまだ本当は生きたくもあります
PS 昨日よりは 今日はなぜか生きたい気持ちのほうが勝ってるよ
帰り道
小石 蹴飛ばして
昔話を語るみたいに
遠い日の夢を思い出せば なみだの群があわただしく僕の瞳から押し寄せてくる
PS 僕は死にました
だから だから
みょうに明るい声なんかかけないでね
ぎゃくにそれが僕の心をつぶすときもあるから
付け足すようだけど
これが一番の理由なんだ。
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さよならも言わずに
さよならも言われずに
ただ日が暮れて
ただ夜がやって来た
窓から見える
横断歩道の信号が青に変わっても通る車どころか人影さえ見えない夜さ
なんだか切なさあふれる夜さ
世界にひとり
ただひとり
僕だけ置き去りにされたような気持ちで
僕は広く果てしない宇宙のような闇の中で
話し方さえ忘れていた
太陽が沈んでいけば
月が輝く
夜が来るように
それは繰り返されることなんだろう
だけど僕がいつも思うこともわかる気がしないだろうか?
この悲しさ
言葉になんかならないから 何が悲しいとか言えないけど
言葉さえこえた悲しみがあるとしたなら
それもわかる気がしないかい?
街の灯は今日もただそばにいるだけで
無愛想な顔して
揺れているだけ
君のせいじゃないし
君のせいにしようとも思わないけど
街の灯よ 聞いてくれ
僕は今 とても悲しいんだぜ
言葉なんてもはや役にも立たないくらい悲しみは膨れ上がったんだ
ほらね はるかな
時間の そのあとに
そして明日もさよならの交わされない
さよならの時が来て
夜はいつの間にか
知らんふりしてここに来て いつもの悲しみを置いてゆくのさ
そしてね
街の灯はあいかわらず
優しいけれど
どこかつめたい
ぬくもりを
心にともすよ
瞳の中で揺れるよ
それはたとえるなら
自販機で買う
缶コーヒーみたいな味の出来すぎたブレンド
そんなものさ
わかるかい?