詩人:どるとる | [投票][編集] |
夜の海をひたすら
進む舟が一双
乗組員はいない
無人の舟
暗い海は
不安をあらわし
底の見えない
真っ暗な海は
悲しみの度合いを物語る
そのままを
そのままに
ずっと当たり前に
僕らは繰り返す
わがままを
わがままに
おままごとのように
その延長のように
夜の海をひたすら
進む舟に乗って
悲しい涙を海にこぼし
たまった水たまりは
やがて海になり
漕ぎ出す人たちを
未来へはこぶ
その役割を果たす
見えない舟になる
見えない力になる
転覆しそうな思いをひたすら押し戻して押し戻してを繰り返しながら
夜の海を今日も
ひたすら進む舟だよ
何を捕りにゆくわけでもなく
何の目的があるわけでもなく
ただ舟は進むために進むんだ
夜の漁に駆り出るよ
心に膨らんだ
不安や悲しみを逃がしにでも行くように
ただ気晴らしに
ただ気晴らしに。
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よくひとりで思い悩むと 出かけたあの土手沿い
黄昏時を見計らって 自転車走らせるよ
夕日が落ちてく
その頃合いに
僕は空に君の顔を浮かべてみた、君は笑っていた
ただずっとそばにいて
そう言うだけなのに
どうしても
どうしても
言えないのさ
なんでかな
この思いは嘘なんかじゃごまかせないほど
美しすぎる思いだから
僕はあとにも下がれず一歩も前に進めない
ただずっと同じ場所に立ち尽くしたまま
君を思うだけ
初恋という魔法にかかってしまったから
ほんとのことをいえば君を幸せにできる保証なんてできやしないけど
僕はこれだけはいえるよ
世界一誰よりも君のことを愛してるってこと
だからそばにいて
永遠に
何も特別なものなんか要らないよ
君がいて 僕がいて
それなりに暮らしていければそれでかまわない
多少のことには目をつむりながらお人好しの二人が描く
楽しい楽しい日々があればいい
未来に期待はしない
だけれど
ただひとつ願っていいなら 君にそばにいてほしい
それだけは間違えないでほしい
これは運命(さだめ)られた出会いだったと思うから
ほらまた日が昇れば
やっぱり日は沈む
訪れた夜に目をつむって夢を見る
目覚めたあとも何も変わらない世界の中で君だけがまぎれもない幸せのあかしだよ。
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そんなに怒らないで
そんな目しないで
アハハと口をあけて笑っていようよ
怒ったって
疲れるだけです
それならいっそのこと
多少のことには
目をつむり
脳天気なくらい
笑い飛ばせばいいじゃないかそうじゃないか
人間そんなに
完全じゃない
時にはふざけたり
間違えたり
大きく道を踏み外すんだ
考え方ひとつで罪を犯すより
ずっと かわいいものさ
そう思えば争いもなく平和に過ごせる
君の心が丸いなら
笑ってすますくらいの度量を見せてくれ
明日は明日の風が吹く
生きてさえいればどうにかなんとかなるでしょう
根っからの脳天気の君と僕には笑顔という最大の武器があるから
でたらめな地図を広げててくてく歩いてゆこう
雨上がりの青い空にかかった虹が七色のようにいろんな人がいる中で僕たちはきっと変わり者だけどいつでも 忘れない
互いを思いやる気持ち
それさえあれば
幸せでずっといられるはずなんだと今日も沈む夕日にさよなら
手を振る帰り道
涙はうれしさのあかし
渇いたらまた笑えるよ
優しい気持ちで。
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明日また会えるね
そんな余裕があったのはついこの前までだったね
君とはもう会えない
ケンカしたって
しばらくすれば
何事もなかったように
自由に笑いあえるのに
どうして僕は今
ひとりでさみしさも悲しさも切なさも分け合えずにいるのかな?
僕がこの世界で最初に愛した人は
とても優しくて
とても素敵な人さ
僕をこの世界で最初に愛してくれた人は
とてもあたたかくて
とても美しい人さ
それなのにどうして
傷つけてしまったのか
振り向くたびに
胸がきしむ
今更だけどごめんね
ほんとにごめんね
せっかく咲いた花なのに枯らせてしまったのは僕の不注意さ
そうさ僕のせいさ
責められたって仕方ないんだよね
僕がこの世界で最初に愛した人は
とても優しくて
とても素敵な人さ
僕をこの世界で最初に愛してくれた人は
とてもあたたかくて
とても美しい人さ
どんなに名前呼んでも
どんなに君に謝っても
君とはもう会えない
愛していれば
いたほどに
ひん曲がる心
君はそんな
僕の中の闇におそれていた
人を愛すということの重さをどこか勘違いしていた
今ではつくりあげたたくさんの思い出が楽しすぎたために胸に痛いよ。
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座り心地の悪い椅子でも
とにかく座れればそれでいいのです
本物の花じゃなくても
見るだけならばドライフラワーでもすんでしまうような適当な性格です
だから幸せなんて
それなりの大きさなら
多少人より小さくてもかまわないとそう思うのです
こんなに大きな世界なのに行く場所なんて腐るほどあるのに僕の行動範囲はアリのように
狭く小さくそのくせ妄想の国では一国の王様気分です
一歩一歩は無駄に大きくても 人ごみを嫌うそんな性分です
あの日産声あげ
生まれたその日から
僕は渇いた何かを
心に受け継いだのさ
一筋縄ではいかない
わがままな何かを
心に宿したまま
生まれたのです
悪魔と天使の翼を
持った堕天使のような心を持つから
悪いことも
良いことも
やり出せば
どちらも
中途半端に終わる
だから
悪くもなくて
良くもなくて
普通の人です
ただ人の輪に
入るのが
嫌いなだけで
誰かの愚痴を
肴に酒を呑む夜
月はおぼろに
雲は散り散りに
出来合いの短歌を詠めば何か解るかな
渇いた気持ちを
冷めた心に
重ねれば
風もないのに
心のカーテンが
ハタハタと揺れ
自嘲気味に
頭かきむしる
答の見えぬ明日を
抱いたまま
束の間の夢に沈むさみしいばかりの晩餐のあと
座り心地の悪い椅子も
渇いたようなカサカサの花も
すべて慣れてしまえば何よりの幸せになる
部屋の隅でハエとりグモが笑えば
おかしな夢の始まり
窓の外の景色が
ざわざわと騒ぎ出し
太陽が顔がだしたら
さあ 外界への入り口を出口に変えて
光の中へと 光の中へと 我は勇まん。
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回り続ける
憂うつという名前の螺旋感情
妄想の中なら
王様の気分
だけれど
現実では
負け犬もいいところ
憂うつなメリーゴーランド
止まらないメリーゴーランド
ボロボロのメリーゴーランド
いつになればまともに回るだろう
悪循環もいいところ
さび付いたメリーゴーランド
キコキコと音立てて
それでも回るメリーゴーランド
憂うつになるほど
無理矢理に回るメリーゴーランド
止まる気配はない
茶番もいいところ
王子は貧しい
姫君は裕福
はにかみながら
話しかけた
たとえば
二人が愛し合うだけで誓いを結び合えるなら幸せなど有り余るほど降り注ぐのに
僕らは月ほどに遠い関係
罪を承知で交わしたあの口づけが恋しくて。
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何も言えない夜に語る口笛はナイフのように突き刺さる
心に届く不穏なメッセージ 生唾とともに飲み込む夕べ
間違いはナイフで
切り刻んでしまえば
0から始まる
純白のストーリー
最初の一歩が汚れた血に染まらぬように
ひたすら誠実を守るあなたの姿に私は恋する
あなたの言葉は時にナイフのよう
だけれどそれが時に快感にも変わる
果物 二つに切り裂いたら あふれて止まらない果汁に生唾を飲み込む
闇に食われる月
月食の夜
間違いはナイフで
切り刻んでしまえば
0から始まる
純白のストーリー
最初の一歩が汚れた血に染まらぬように
ひたすら誠実を守るあなたの姿に私は恋する
見えない筆がどこかからおろされ
描かれた世界に私とあなたがいる真実
それはただひとつの救いの道
甘美なる調べ
きこえるその時
私は私でない
私に生まれ変わる
ナイフのような
痩せこけた
心の魔物に
月に吠える獣のように私の中の何かがふいにあなたを殺す。
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夕飯はカップラーメン
不健康な生活が長く続いてる
月はおぼろに
雲は散り散りに
それぞれがそれぞれに適当に生きる
そんな日々が続いてる
幸せの基本形は
ほんとは何もなく
ただそれは
その人が思う形がほんとだから
僕の幸せも僕が幸せだと思うならそれは
間違えなく幸せだね
幸せな人は幸せそうに笑うのでした。
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なんとなく 過ごした1日がほら
なんとなく 終わるよ
いつもの具合に形だけのあいさつを交わしたあとで
同じ間違いを繰り返してしまったのは
僕のせいじゃない
世の中のせいでもない
なんのせいにもしたくない
過ぎ去ったことはいちいち振り返らない
反省も無用
どうせ いつか人なんて死んじまう生き物ならば
後悔なんてしたって
仕方あるまい
夜空に浮かぶ
月に見惚れれば
悲しかったことなんてすぐに泡となり消える
涙も要らない
必要なのは
美しいものを見て
それにときめいたりする美しい心だけ
余計なことを言わなければ
余計なことをやらなければ
たいていの仕事はあっという間に片付くんだから
そんなに完成度のある人生なんて要らない
明日があって
そこにやるべきことと誰かの変わらないぬくもりがあれば
どんなに苦しくたって乗り越えられる
自販機の明かりのようにかすかな光を放つ未来に希望を持っても仕方ないと思うけどそこは持ってしまうのが人だ
だから無謀に願いを捧げようと叶わないとわかってるから
絶望もちょこっとさ
ほらね 帰り道
切なさにもだえて
階段をのぼる足がおぼつかない
幸せのなんたるかを見失ってるこの頃
えらそうな大人たちのふんぞり返る社会という闇世界に一歩足を踏み入れたときから ある不安は慣れてしまえばなんてことはないけど
ただひとつ
慣れないことは
遠い昔からの
変わらない
さみしさだよ
夜空に浮かぶ
月に見惚れれば
悲しかったことなんてすぐに泡となり消える
涙も要らない
必要なのは
美しいものを見て
それにときめいたりする美しい心だけ
でも まぶたの裏に浮かぶ情景は目を閉じても布団かぶってみても消えないな
水面に浮かぶ
月に見惚れれば
自分の影さえなんだかいとおしく見えるんだ
愛想は要らない
今の僕に必要なのはただひとつ
心のつよささ。
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君が笑ってくれたから始まったようなストーリー
たったひとつの微笑みから僕の瞳にうつる世界が鮮やかに見違えた
サイズの合わない靴を履いていたら
靴擦れを起こすような身の丈に合わない
慣れないことはすべきじゃないと心がおしえてる
わかっていながらもかっこつけるように強がるように 自分の限界を是が非でもこえようとする
愛想笑いでも冷めた笑いでもない本当の微笑みをくれた君に僕も微笑み返し
これで貸し借りは無し
でもまた僕は君に永遠の貸しをつくることになるよ
だって君は僕のこれからを見届ける人だから
そして僕は君のこれからを見届ける人だから
ずっとそばにいてね
その微笑みはまるで万能薬のように僕の傷跡に効いてゆく
気づけば悲しみなんかどこへやらだよ。