詩人:どるとる | [投票][編集] |
屋上でいつも
ひとり
昼飯を食う君に
いつしか
恋をしていた
風に吹かれ長い髪からちらりと見えた
白い横顔に惚れたよ
僕はいつでも
君を遠くから
見ていた
アンダーグラウンドから叫びたい
君に好きだよと
今僕は恋をしてる
誰かがどう思うかじゃなく
大切なのは自分がどう思うかだ
他人の評価や見る目など無意味さ
恋はまるでアンダーグラウンドに吹く風のようにつかの間に僕の胸をつらぬく青春の痛み
ほらねまた君の長い髪から白い顔が見えた
あの懐かしき青春は今もこの胸に吹いている
アンダーグラウンドに吹く風のような
とぐろを巻いたようなひねくれた風が。
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お嬢さんお手を
おかしください
こんな僕でいいのならキスなんかもしたいのさ
未来を語り合うより
今を語り合おうね
そして一緒にいるうちに慣れたころはじめて未来を語り合おう
僕はジェントルマン
君にとっての
僕はジェントルマン
全然ダンディーでも
金持ちでもないけど
君を永久に幸せへのエスコートするジェントルマンだから
お嬢さんお手を
どうぞおかしください
そして僕なんかでいいのなら これからの人生をお任せください
君は助手席
舵は僕がとるよ
危うい航海になるだろうけどそれなりにスリルと楽しいことが待つ未来を約束するよ
僕は君のジェントルマン
そして君は僕のお姫さまさ
幸せは願う者にのみ与えられる財産
ほら 目を凝らせば幸せは 手のひらの中に
君のポケットの中に
僕らのすぐそばにあるよ。
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君が僕を肯定するから
僕も君を肯定する
僕が君を肯定するから
君も僕を肯定してくれる
そうやって肯定しあうことを繰り返してゆくから
ふたりは今日も譲り合いの精神で生きていられる
肯定しあうことの意味のそのまた意味を分かち合いながら
肯定しあうことは続いてゆく
そこに肯定すべき
互いがいるかぎり
僕は君を 君は僕を
肯定し続けるんだ。
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いつも いつも
不器用な僕で迷惑ばかりかけてごめんね
君を好きな気持ちは誰よりも大きいつもりで弱音ばかり吐いて強がってばかりでごめんね…誰にともなく僕は呟く
季節は知らぬ間に
僕の目の前をいくつも通り過ぎて片付いた部屋がただ広がってるだけ
僕はいつか消える人
季節からもはみ出して
みんないつか消える人
世界のどこを探しても見つからない
死んでしまったあとでは
言いそびれた言葉が僕の胸にはまだいくつも残ってる
そしてあのふたりで育ててるプランターの花もまだ咲いてないよ
いつだってのんびり生きすぎてる僕らだね
夏ももう少しできっと終わってしまうんだね
恋しくてうっとうしくて
どこか愛らしい季節は冬も秋も夏だって春だって同じだね
愛すべきあの人と
積み重ねてきた思い出と手のひらにもおさまってしまうほどの小さなプライドで
なんとなく今日も
どうにかこうにか
やりきって
沈む夕日に溶ける空
にじんだ青がだんだんとオレンジ色に変わってゆく
そして気づけば月が照らす夜ひとり窓辺で物思いに頬杖ついていろんなことを考えてる
ほらね街路樹は
まだ緑色に茂り
さすがに風もまだ冷たくはならない
一年中カレンダーの中
四つの同じ季節を行ったり来たりするだけでいつか訪れるさよならに構えて
記す日記がなんだかわびしさ募らせるけど
人様はいう
若いのだから…
そうはいっても
いつか来るお別れの時
死から近い遠いはもはや関係ないよ
僕はいつか消える人
季節からもはみ出して
みんないつか消える人
世界のどこを探しても見つからない
死んでしまったあとでは
沢山の涙
沢山の笑顔
少しずつ
少しずつ
無理矢理になる笑顔は大人になった者の悲しい証と自嘲する
日々
嗚呼、春夏秋冬よ
去りゆくその背中に
待ってよって声をかけられたなら僕は何を言うんだろう?
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窓辺 揺れる花瓶にさした花
夢を見ていたのに
内容までは憶えてない
目覚めた時
そこはもう夜の闇の中
素敵な夕日を見そびれた
目をつむり イメージを膨らませても
そこには 影のような原型のない何かが揺れてるだけ
夕日の背中にせめてさよならと言ってから眠ればよかった
今日の君とはもう会えないんだから
明日の夕日とは違う夕日なんだから
そんなことを言いながら笑ってる僕の目じりにはかすかに光る涙のあとと夜空に光る星屑の輝き
弧を描き流れては落ちてく
さよなら さよなら
さよなら さよなら
弔うように言うよ
明日の僕は何か
変われるのかな
それとも今のまんまかな
何がよくて何がいいのかさえわからないまま
夢に落ちてゆきそうな意識途切れるまえに思うことは
どうせろくなことじゃないけど
おやすみを言うよ
すでにこの場を去った夕日の背中に
枕に沈んで
布団に埋もれ
規則のない
安らかな
夢が広がる
押し寄せる
安眠の中
乱れのない波が
明け方までつづく
いつの間にか
涙はかわいている。
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どうにかこうにか
乗り切った1日に
今日もやってやったと不敵に笑うのさ
精一杯強がっている
たどり着いた真夜中に
なぐさめの種を蒔いたから
明日はきっと雨は降らないだろう
心に深手を負った日は
早めに寝ればいい
振り返ればいつも
そこには過ぎ去りし夢の影 君の影
そして手を振る僕の影
さよなら
また明日ね
振り返ればいつも
長い夢のあと
目覚めたそのあと。
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大切なものほど近くにあるもので
それなのになぜか気づかないもので
そのために僕は見逃したよ
あの人の涙
そのために僕は傷つけたよ
あの人の心
終わりのない夜が
やがてつかの間にやって来て
どこかに君を影ごと
連れ去ってしまう
そんな気がしてるんだ
手を伸ばせば
すぐ近くにいるのに
どうしてだろう
君と僕との距離は
近すぎるあまりはかりしれない距離にもなる
言葉ひとつさえ
言えないまま
時がすべて何もかも変えてくれるのを待つだけ
忍び足で夜明けが近づき 空が明らんでくる頃には
きっと君にこの気持ち伝えられる
そんな確証もない自信に満ちあふれてる僕がいた
たとえば地球の反対側同士に住む人の恋のような
なんだか大げさな恋さ
君は僕からは
近くてでも遠い人に見えるんだよ
なぜか君に触れると花びらのように崩れてしまいそうで
なんだか話しかけることさえこわいんだ
だから僕らは
限りなく
離れていく
離されてゆく
君が磁石のS極なら
僕もまた同じにS極だから
反発しあって
肩を並べることすらできない
遠くから見た
君は美しくて
いつも
輝いているのに僕は安上がりな言葉しか持ち合わせがない
初恋はさながら花びらのようにまぶたの裏側で静かにこぼれ落ちたのでした
純白のストーリー
ひそやかに表紙を閉じた太古からの恋。
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さあ お手を拝借
君とふたり奏でる
不器用なれどハーモニーは詩になる
新しい日々はもうすぐ秋の訪れとともに風にのってやって来る
この街は緑から
黄色に 朱に
変わる 変わる
ほろ苦い
ビターチョコの甘さひかえめの秋へと
秋風かすかに
髪を撫で
そこにふいに
感じるロマン
思い出すよ
8月の終わり
あの胸の痛み
夏の暑さは
まだ続きます
お体大切に
無理はせずに
君もどこかで
笑っていてね
さよならという言葉がまだ胸に残ってるけど僕は悲しくないよ
風が枯れ葉を片付けて
僕らに道をつくってくれる
互いのぬくもりが身に沁みるそんな季節はこれからなのに
ポケットを探っても
気配ひとつないや
ああ
ああ
ああ
精一杯の強がりさ
素敵な日々をありがとう
さようならさようなら。
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悲しくないつもりのつもり
泣いてないつもりのつもり
笑ってるつもりのつもり
満たされてるつもりのつもり
かばってるつもりのつもり
頑張ってるつもりのつもり
愛してるつもりのつもり
生きてるつもりのつもり
僕はいつから
僕になって
僕はいつから
僕じゃなくなるんだろう?
もしずっと僕は僕で
死んだあとも僕なら
僕は誰?
悲しくないつもりでいても
泣いてないつもりでいても
笑ってるつもりでいても
満たされてるつもりでいても
かばってるつもりでいても
頑張ってるつもりでいても
愛してるつもりでいても
生きてるつもりでいても
どこかがだめなんだね
それでも僕は僕だから
なし得るすべてが
僕という人のできる精一杯を見せてるつもりのつもり
保証はできないけど
ほんとうのことだよ
傷跡が痛むから。
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男は女は互いに
引き合い
時には反発しあう
まるで磁石のよう
よけいな知識を
砂鉄のように
集めては
それをひけらかし
調子にも乗る
愛する人は
たとえばS極で
恋する僕は
たとえばN極で
それはきっと運命なのにこの世界には
僕と同じN極が
沢山いるから
君はより素晴らしい
N極に目がいくだろう
僕は君と重なり合う
N極のはずなのに
君が求めるものは
僕にはないらしく
僕そっちのけで
君は目移りしてばかり
磁石みたいに
N極なら
どのS極でも重なり合うことができるのに
意思を持った磁石だから好き嫌いを選べるんだね
そしてまた
僕は風に吹かれ
孤独にひとり
黄昏てる 窓辺
茜色の空見つめ
涙のかけらを零す
烏がのんきに鳴く。