詩人:どるとる | [投票][編集] |
僕らはパズルのピースを組み上げていくように
日々 人生を完成へと導いてく
脳内の中だけで
行われる処理
要らぬ記憶はすぐさま抹消だ
今夜はなぜか
寝つきがいいから
ご機嫌な目覚めが
待っているだろう
心拍数は落ち着き
穏やかな波を描き
僕ら少しも不安じゃない
密かに脳内の中で
行われる管理
要らぬ記憶はもうどこにも無い
だから
安心しておやすみ
夢の中へ 夢の中へ
沈むようにサヨナラ。
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消去法で消し去ったメモリー
回り続ける季節の中でふと気づけば
やわらかな風の中
なにもない部屋に
寝そべる日曜日
それはまるでくだらないローテーション
春が来て 夏が来て
秋が来て 冬が来て
また 季節は繰り返されるだけ
単純な気持ちを抱えたままで僕は宛もなくさまよう旅人
人間でもなくて
化け物でもなくて
きっと多分 僕の正体はつまらないミジンコみたいな微生物の塊
言い訳と卑屈
きりもなく
並べ立てて
脆い僕の盾は
誰かの拳で貫かれ
刃こぼれした僕の剣は誰かの蹴りひとつでへし折れた
瞑想の彼方で
僕を待ってる
はるかなる明日よ
昨日と今日と明日
過去と現在と未来
三つの空間の中を
ただようクラゲのようにふわふわと歩んでいく
高速の二車線で
渋滞につかまり
身動きのとれない
僕はまるで金縛り
またつまらないローテーションに吸い込まれていく
ドライブスルーのファーストフードで済ます昼飯と会社のくそ不味い弁当のローテーションのように
全ては輪廻するかのように今日も明日も変わりなく
いつもの僕がいつものようにいつもと同じことを繰り返す魔のトライアングル
そしてやがて、
終わる人生
大概人の一生なんて
そんなものです
吐き捨てたら楽だね。
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白黒つけられない
僕の性格は
多分もうなおらない
優柔不断で
はっきりしなくて
油断大敵なのは
重々承知だけど
定まらない気持ち
ブランコのように
常に揺れてる振り子の心
僕の中の良心と悪心が闘ってる
コロセウムのように
互いの言い分ぶつけ合ってきりのない話し合いはつづく
オセロのように
簡単にどちらかに転べたなら簡単なのにね
なぜかできない
できないんだ
白黒つかない
白黒つかない
白黒つかない
今日も
どちらが勝つともなくオセロはつづく
見えない影と
闘う日々。
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いつかここに生まれた命は
とてもちっぽけではかない命だから
やがて定められた時が来れば
風に消える炎のように死んでしまう
人はまるで 一本の木の枝々に生えた葉っぱのように
地面に落ちてしまうまでの時間を生きてる
僕はなんのために
ここに生まれてそして
君はなんのために
今も歩いてるの?
理由なんて無いけど
今日も何かが嬉しくて
何かが悲しいのだろう
そして
明日も何かが嬉しくて
何かが悲しいのだろう
人に出会いそして
人と別れていく
その過程の中で
絶え間ない
感情の揺れ動き
繰り返す
たわいもない連鎖
そしてやがて時が来て
大きな大きな風に
葉っぱは落ちて
僕はそれを近くで見ていて
ただただ悲しいなと涙を流すことしかできないんだ
だからせめて忘れないように忘れないようにいたいから
小さな命の最期の輝きを永遠に閉じ込めて
僕だけは忘れないでいるよ
ひとつの
物語が終わる時
どこかで
ひとつの
物語が始まる
生と死 繰り返す中で僕もいつか彼のように彼女のように死んでいくから
それまで葉っぱとしての時間を精一杯生きたいな
小さな命を精一杯
燃やして 燃やして。
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ひとりぼっち
零時過ぎの真夜中
ふいに存在が消えた
気がしたんだ
とっさに体勢を立て直したのはいいけど
やっぱり足取りはおぼつかないな
何もかもが僕には似合わない気がして
ふいに思ってしまう
死にたいななんてさ
溢れ出る涙を うまく隠せないまま
星の瞬きにさえ目をそらしたよ
心の掃き溜めに捨てたはずの夢が僕に助けてと叫ぶ
何もかも諦めればそれで済んでしまうのに
そっちのほうが絶対楽なのにどうしてだろう
無謀にも立ち向かおうとする僕は
見えないギターを抱えて
聴こえないメロディを奏でる
僕は名ばかりの
シンガーさ
僕には名前なんて
大それたものはきっとなくて
僕にはプライドなんてきっとなくて
どんなに傷ついても悲しくならないのは
きっとそのせいで
溢れ出る涙はそんな強がりが全部嘘であることの証で
マイネームイズ
僕はただの弱虫だよ
マイネームイズ
僕はただの嘘つきさ
ピエロのように愛想笑いばっか浮かべてるだけのバカかアホだよ
今夜もきっと
唄うだろう
カナリアのようには
美しく唄えないけど
誰かの心に
自分の心に
語りかけてゆく
僕っていうやつの
本性を映し出す
鏡のような
透明な唄を
僕っていうやつの
正体を暴き出す
偽りのない唄を
雲ひとつないさみしい空に浮かべて。
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疲れ果てた帰り道は
ため息さえも生暖かく なぜかコートの襟を立てたまま
ぼんやりと眺めてる
窓の外の景色
流れ去るように
変わり映えしない景色はただ僕の瞳に
電車内の景色とだぶって映る暗闇だけ
僕の顔がとても情けなくて それでもどこかしらでずっと愛しくて
改札を抜け出た時
僕は雨の洗礼をうけて ずぶ濡れ 濡れ鼠
熱い雨に打たれて
寒い 街の中で
人通りの多い表通りから離れたら
一変 人っ子ひとりいない 寂れた道の先で待つ僕の家
重いドアを開けて
ただいまと言っても
誰も返事もしないさ
だって、僕は僕はねさみしいひとり暮らし
もう慣れたけど
慣れたからといって
いつもさみしくないわけじゃないし本音いえばさみしくないわけがないんだ
ああ 泣きたいから
泣くよ
お外では若いおじさんは
愛想ばかり浮かべて
思うように笑ったり泣いたりできないから家に帰ったときやっと素直に泣けるんだ 感情吐き出せるんだ
そんな僕の暮らしは
つづいていく
だれにともなくつぶやいた愚痴とも皮肉とも卑屈ともとれない言葉
ひとりごとがまるで
星のように この部屋に奇妙な輝きを与えてる
さみしいひとり暮らしにはそれくらいしか救いはないのさ
それくらいしか救いはないのさ
現実を見なよ
大概そんな具合さ
暮らしは性懲りもなくつづく
甲斐性のない僕をいやいや乗せたまま
回り続ける地球の片隅で 小さな願いをたくす夜は
きっと眠れないんだろう
だけれどだけれど
何はどうあれ
僕の暮らしは
つづいていく
ひとごとみたく
つづいていく
地獄の三丁目までも
天竺よりも
ラピュタよりも
ずっとずっと
彼方まで。
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今はもう小指さえも
届かないくらい遠い場所へ消えた面影
僕がこの世界で多分誰よりも愛していた人はもう会えない
遅れた分の時間ならば遅れた分だけ急げば間に合うけれど
なくした愛はどんなに急いでも走っても戻らない
ロスした分の寂しさだけが 名前のない駅へと思いを連れ去る
僕はありもしない奇跡を待ちながら
夜空に流れた星に祈るんだ
君にもう一度会いたいのさ
ただそれだけの気持ちなのに
もう二度と叶わない願いさ
ロスした分だけ心は届かない時間を追いかけようとしている
ロスタイムラン
それは幻を
追いかける旅。
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言葉をなくした詩人は声をなくしたカナリアのように
枯れ果てたのどを悲しくふるわせて
救いの声をしぼりだそうと今夜も鳴いている
窓の外には雪が降り積もって
誰かの声が聴こえる
もしも願い事がひとつだけ 叶うとしたら
僕の願い事はひとつだけ それは
また唄いたい 変わらない唄声で
のどを鳴らして
言葉をなくした詩人は詩人じゃないけど
人だから痛みは本物です
胸に突き刺さった
見えない錨を 抜いてくれたのは
出発の合図をくれた君だった
さあ また語っていこう 夜を抜け出して
朝へと飛び立っていこう
その挽カナリアの唄が街中をやさしく包んだ
カナリアはもうここには戻らない
虹色の翼
空の彼方へ
消えていく
だんだん
小さくなって
やがて消える
だけど僕の胸の中にはまだ 忘れ得ぬあの唄声が絶えず聞こえてる
聞く者の心を洗う唄が。
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笑えるかい?
悲しくても
いきなり無理な注文さ
笑えたかい?
まだだよ
演技で泣くのは難しいけど笑うのも難しい
愛想笑いという名前のふざけたスマイルを浮かべてる僕はまるでおかしなピエロ
この世界はまるで
サーカス小屋のように僕らを縛り付けるよ
どこかおかしなルールで
正しさをいつまでも謳いながらも
どこかおかしな
世界さ
人の中にある闇が
そうさせてるのかな
だとしたら
僕に笑顔を無理やり
強要する見えない
聴こえない人の声は
幻だけど
決まりじゃないのに
泣きたいとき
泣けなくて
笑いたいとき
笑えなくて
素直な気持ち
隠してしまって
素直に正直に
笑えない
泣けない
ピエロそのままさ
お客さんのような
社会のお偉いさんに
拍手と賛同を得るため今日も僕は僕を押し殺して
「僕よりも誰か」
「自分より他人」
そんなルールの中をいやいや笑いながら歩いてる
でもね わかってほしいな そろそろ
顔では笑っていても
心では泣いていることを
あたりまえな話さ
人のために
自分が泣いて
それなのに
表情ねじ曲げて
笑ってるなんて
悲しすぎるじゃないか
ピエロのなみだは今日もピエロ自身が笑顔でもみ消してる
でもねわかってほしいのは だからさ
お客さんのような
社会のお偉いさんに
拍手と賛同を得るため今日も僕は僕を押し殺して
「僕よりも誰か」
「自分より他人」
そんなルールの中をいやいや笑いながら歩いてる
顔では喜んでても
心では悲しんでるんだ
ピエロは泣かない
だけれど残念なことに僕は人間だ
だから泣かせてよ…
あなた達も人なら…。
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言葉は嘘つきさ
どんな真実も
簡単にねじ曲げられる
態度で示しても
疑われる世界
愛されるすべをなくし
愛するすべをなくした
この世界では
嘘こそが真なのか
なぜ、そんなに
頑なに良い人をつらぬくの?
誰かが言った
そんな一言
良い人になんかなりたくない
ただ僕は嘘が嫌いなだけなんだ
だから良い人みたいに思われてるんだよ
僕なんか良い人じゃない
僕なんか愛される資格もないし
人を愛する資格もない
愚か者さ
まかり通ってしまえばそれは嘘ではなく
真実よりも真実味を帯びた真実以上の真意なんだ
ロマンス散りばめりゃ きれいごとばかり
こぼしちまうけど
僕はやっぱり
嘘は嫌いだ
だから嘘つきも嫌いだ
もう一度だけ言うが
僕は良い人なんかじゃない
嘘以外なら
どんなわるいこともしてきたし
これからもするつもりだ
罪さえ隠さないよ
逃げも隠れもしない
でも嘘をつけない分だけ 何かを失うだろう
嘘のない愛も
嘘のない夢も
有り得ない世界で
嘘をつかずに
どこまで
本当の気持ちを
唄っていけるかな
詩人たちの本音が
錆びていくその時
正直者は嘘つきになり嘘つきはさらに嘘つきになる
巧妙な嘘で真実さえ
隠してしまう
黒いビロードのように正直者は深く傷つくだろう
正直者の唄も
嘘つきにかかれば
嘘の愛がまかり通り
嘘の世界が築かれる
でも僕は正直者だから醜さも本音も隠せない
嘘つきよりも嘘つきさ
正直者のはずなのに
正直者でいようとすればするほど嘘臭くなっていく僕の唄
疑わしくなる僕の言葉
正直な心だけでは
見えない真実があるならば嘘だって十分真実なのだろうか
今もって解らないことなんだ。