詩人:どるとる | [投票][編集] |
今日も夕日が沈んでく
殺風景な部屋の窓にうつるいつもの景色
あきるくらい見ているはずなのにね
不思議とあきないのは美しいからかな
弱音ばかり吐いているよ
愚痴ばかり言ってたよ
口の減らないやつだと
ののしられていたよ
それでも愛されてたよ
それなりに誰かを愛したよ
くだらないものなんて
何ひとつ無いから
無意味なことも無いから
ここにある1日は
意味のある1日だ
いつもの景色が
いつもより輝いて
見えるその時
大切なものとともに
涙があふれて
そして
夕日が沈むように
僕の中の迷いも
悩みも静かに消えてく
いつもの景色なのに
いつもより綺麗に
見えるのは偶然じゃないんだ
いつも見てる景色の見逃してる美しさに
じっくりと目をはこべば
ほらね空と街の切れ間に静かにのみこまれていく夕日が優しく見える
夕日が愛しく見える
さよならなんて言葉は似合わないね
だから言うよ
また会おう
明日もお元気で
明日もお元気で
笑おう
泣こう
遊ぼう
眠ろう
いろんな今日があるね
人生は悲しくて
でも楽しいね
生きることは難しい
でも素晴らしい
痛みを抱えながらでも生きたいくらいに
こうしていつもの景色とともに
僕の思い出はいくつも遠ざかるけど
思い出の匂いはいつまでも変わらない
だから僕は今日もまっすぐに明日へと歩いていけるんだ
いつもの景色が
やがて僕が死んだあとでも変わらない景色であるように
願いながら
何か思いながら
今日も僕はいつものように
僕は僕で
君は君で
ただここにいただけ
泣いていただけ
笑っていただけ
夕日が沈んでいくようにまたひとつ
僕の中の僕も綺麗に死んだだけ
そしてまた僕は明日
新しい僕に生まれ変わって
今日と同じように
いつものように
この夕日を見てる
いつもの景色の中
いつもとは違う光の中。
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行く宛てをなくした旅人が最後にたどり着いた言葉の国で
僕は詩人になったんだ
名ばかりだけどいくつかの話し相手と出会えたんだ
ぶつかり合うのは
その人を
心から知りたいと思うからだ
僕は君を知りたい
だからすれ違ったりもするんだよ
標準語で話す僕らの日々は
愛も憎しみもまっすぐに人から人へと届く
今日も言葉の国は愛と平和があり
秩序が守られている
だけれど誰かがそれを破ったら壊れてしまうよ
誰かが誰かに
思いを伝えるとき
言葉がなくなったなら
僕らは思いをどう伝えるんだろう?
言葉なんかなくても
あなたが好きだから
言葉以上の真実を形じゃなく見えない思いを伝えるから
受け止めてね
愛してるよ
言葉が死んだ時は
言葉の国は滅びるから
僕はただの詩人だよ
だけれどどんな言葉でも誰も振り向けさせられない
だから
言葉じゃなく
見えない
思いが必要になるんだよ
あなたのことが好き
そんな単純な思いさえ言葉以外で伝えるのは難しいんだね
だけれど僕らは
言葉の国の住人じゃないんだ
だから言葉なんかつかわなくたって思いを伝えあえる
ほらね、だんだん
言いたいことが
わかってきただろう?
つまりはそういうことなんだよ
言葉の国は
今、僕の中から忽然と消える。
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誰かが描いた油絵の中で物語は生き続ける
誰かが描いた水彩画の中で僕らは踊り続ける
口も鼻も目も
でたらめだけど
人のような
人じゃないような
人は笑い
時には泣きます
僕の人生も
でたらめな構図だが
ピカソのタッチを
考えれば
マシなもんだね
天才の考えることは理解できないが
凡才が考えることは考えるまでもないほど単純だ
今日も僕はまっすぐな線の上を微妙にずれて歩いてる
でもマシだろう?
ピカソのタッチよりはさ
あるべき場所に
心はあるんだから。
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何もやることがないのに
眠れない真夜中は
本を読んでる
たいした本じゃないが好きなジャンルだ
文字を読むだけで頭が良くなるような気がするんだ
そのうち眠くなる
だから眠くなるまで読む
真夜中の黙読会
声を出さずに
読むんだ
ジャンルは様々
時にはファンタジー
時にはミステリー
時にはホラー
時にはサイコスリラー
時にはバイオレンス
今夜は何を読もうかな
僕は夜行性の
本の虫
ただでは眠れないよ。
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灯台の光は届かない
誰もいない闇の中
僕はわがままに
歌い続ける
希望の唄
すっかり汚れてしまった憧れをまだ握りしめたまま
夜だろうと
早朝だろうと
歌っている
希望の唄
幸あれ
幸あれ
栄えあれ
栄えあれ
むなしい声が口笛の矛先へと遠ざかってゆく
灯台の光は気休めさ
救いのない世界でただひたすらに
歌い続ける
希望の唄
名ばかりの天使の唄
天は我を見捨てた。
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何も変わらない
1日の中で
泣いたり笑ったりしてるだけで日は暮れて
あっという間に1日が終わる
大したことはできないし大したことをする気もないけど
ただひとつだけ
確かなことがあるんだ
わがままだけど
身勝手だけど
誰よりも
自分を大切にできる
今日も僕は僕だった
独りきりの夜
眠るまえに思ったよ
100%の自信を持って言えるよ
大丈夫、独りでも生きていける
僕の悲しみは僕だけにしかわからないさ
だからこそ、こんなにも強がれる
さあ
大海原へ漕ぎ出そう
船を漕ぐように
意識は遠ざかる
さよなら、さよなら
手を振る布団の中
電気が消えるように
夢に沈む刹那の安らぎ
大丈夫、独りきりでも
大丈夫、わがままでも
明日もまた僕は僕ならば
明日もまた僕でいれば
いくらだって笑えるから
いくらだってやり直せるから
おそれず前に進もう
自分で自分を励まして
無理せず歩いていこう
僕は僕で
変われるわけもないし変わる気もない
そんな僕のままで
生きていけばいい
それでいい
それでいいんだ。
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見失った
灯台の光を
僕は今も探している
忘れ去られた自販機のような
小さな明かりでも
今は欲しいのさ
形式的な挨拶を済まし
帰り道の途中
見つけた花に
ささやかな勇気をもらったよ
ぬぐえないさびしさを
ぬぐえないむなしさを
言い訳に何かを諦めて
数知れず きりもなくチャンスを踏み潰した
それでも構わない
誰かに嫌われても
黒い感情
抱いたまま
僕は生きていくから
時には親をうらみます
時には友をうらみます
時には己をうらみます
誰彼かまわずうらみます
そうやって人のせいにしても
仕方ないからうらむだけうらんだら
いつも疲れ果てて寝ています
こうやって笑っていれば美しい白い花なのに
ひとたび孤独抱いたら人は誰かをうらまないではいられなくなるんだね
悲しいね
それでも僕は今日も
誰かをうらみます
すれ違う人をうらやんでは勝手気ままにうらみます
心にもない
恨み言つぶやいては
滅入っている
僕の歌声は
こんなに
美しいのに
孤独なだけで
明日も見えずにいるよ
見失った
灯台の光は
明日こそは見つかるかな
自信なさげに
笑ってみせた夕暮れ
空は茜色
白い花が揺れてた
帰り道
僕は自分のあまりの汚さに 言葉をなくしたよ
それでもあなたが
恋しい
それでも自分が
愛しい
だからこそ
僕は、迷うんだ
過ちを犯すんだ
自分の美しさを
否定するんだ
綺麗なだけじゃ
わからない
本当の答えを
見出すように
白い花だったけど
汚れてみたんだ
たとえば誰かを
うらんだり
たとえば誰かを
うらやんだり
小さなことだけど
心に悪魔を宿して。
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肌に負った傷よりも
心に負った傷は深く
目に見える傷よりも
目には見えない傷は治らない
薬や消毒で治せる傷じゃなく誰かの言葉や誰かの優しさで治る傷もある
でも、見えない傷は一生心に残る
心についた傷がいちばん深い
肉体的な痛みもつらい
でも精神的な痛みもつらい
見えない傷を負った時
誰もがそれを知るでしょう
心を傷つけられた時
誰もがそれを知るでしょう
見えない傷をつけあって 傷つけあった昨日を思い出せば
どれほど自分がおろかだったか知るでしょう
だからこそ見えない傷をつけることは
それだけ重いことなのです
治らないのではなく
おそらく
治せないのだから
心に負った傷は深い浅いに関わらず
どんな傷も治らない
それは見えない傷だから。