詩人:どるとる | [投票][編集] |
悲しみひとつ
空から降り出せば
傘を差すまえに
涙がほほを伝う帰り道
いつもは通らない
裏の路地に 赤提灯を見つけて のれんくぐって席に座れば
サラリーマンの憩いの場 おでんの屋台
ちくわぶ ガンモ
ダシのしみた大根
醤油につけこんだ卵
冷えた 焼酎がうまい
はんぺん ゴボウ巻き
厚揚げ 白滝 たまにオヤジのむさ苦しい顔
お客さん もういっぱいいかがですか?
つい飲みすぎた夜
気づけばいい時間
もう帰るわ お勘定すませて いい気分で家に帰れば 酒くさいと嫁さんに言われたけど うるせえと一喝
スーツのまま寝ちまった
大黒柱は思うよりつらいのさ
涙のようなしょっぱい酒あおって
立場なき 居場所なき己のさびしさを唄う
風呂場のひとりコンサート
歌いまするは演歌の十八番
涙酒 唄います
雨上がりの月の夜
スモーク代わりの湯気に包まれて
浪々と僕は唄います
『悲しみは酒といっしょにのみほして さびしさだけが心にしみる 男一匹旅烏 今宵あおるは涙酒』
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悲しくないなんて まるで嘘で 本当はひとりじゃ さびしくてさびしくて 死んでしまいたくなる
いやに冷たい世間の風に吹かれて 人を信じることさえもできなくなってしまった
人を疑ってばかりいても 誰も愛せない
だけど裏切られすぎて 疑心暗鬼の二十代
夢やロマンなんて この世の中には安易に期待しちゃいけないと僕は思うんだよ 若くして捨てた希望送り火のようにため息に見送られて
もういっそ僕がここに生きていることも全て嘘ならば どんなにいいだろうと思った夜 酒は涙の味がした
空に浮かぶ満月が美しすぎた
ハッピーですか?
あなたはハッピーですか?
僕は嘘をついて
頷いた
魔の青春時代。
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特別なことなんて 何もなくてもいいじゃないか ほらね1日晴れていれば とにかく
どこへでも行けるさ
誰とでも遊べるさ
昨日の悲しみだとかまだ引きずってるのなら
過ぎた日のことなんかもう忘れろよと僕は言いたいよ
心のプロペラを回して 新しい明日に飛んで行こう
白い雲と 青い空
その下をゆうゆうと歩く僕らは なんの不満もないわけじゃないけれどいちいち泣いていたって仕方ないって開き直ってるだけなのさ
今は笑うとき
今は楽しいとき
だから笑うんだ
だから遊ぶんだ
遠い昔 空を飛ぶことを夢見た兄弟がいたらしい だけれど僕はもう 君という空を飛んでいるのさ
だから
だから
心のエンジン蒸かして カレンダーの日付飛び越えて 新しい日付に降り立とう
もう何も悩むことも迷うこともないさ
もう楽観的に笑えばいいのさ
何も考えることなんかない 今はただ笑うときさ 楽しいときさ
だから笑うんだ
だから楽しいんだ
君という空は いつも青空ってわけじゃないけどまたそれも生きている人間ならではの天気じゃないか
特別なことなんて 何もなくてもいいじゃないか
ありふれていたってちがう角度から見れば また違った景色に出会えるはずだ
きっと忘れてる大事なことは 当たり前なことなのさ
もう一度回してごらん 忘れそうになっているなら 心のプロペラを回してごらん
きっとあざやかに
思い出せるはずだ
昨日の涙は 忘れられなくても 今日の笑顔で心の見出しを全部塗り替えてしまえ
心のプロペラ 回して
心のプロペラ 回して
心のプロペラ 回して。
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笑顔に隠れたあなたの涙を 垣間見たとき
僕は言葉をなくした
そうだよね人間は 誰も自分にしかわからない悲しみを 背負ってる 安易にわかろうとするのも いけないと思う
全ての人の心に夜明けが来るように
僕はただ願う
いつもいつも
ひとり闘ってる
たくさんの人よ
夜明けの扉を今日も探して 笑える隙があるなら すかさずあなたは嘘だろうとも笑ってしまう
そんな時もあるけど
本当の夜明けは きっと積み重なった嘘の向こう側にあると
あなたは言う
全ての人の心に
夜明けが来るように
あなたの心に
夜明けが来るように
僕はただ願う
夜明けの扉を見つけた あなたはその扉を開いて 今日こそはと笑った。
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真っ赤な夕日が赤々と燃えて 夜になってもまだ遊び足りなかった幼い頃の僕ら
いつの間にか みんなで遊ぶこともなくなって 秘密基地つくった空き地も駐車場になった
大人になった今じゃ
もう連絡することもなくなって 連絡先すら 知らなくて
思い出だけがいつまでも この胸の中で夕日みたいに熱く燃えている
わすれものしてきてしまったよ 遠い日のあの空き地に
お金で買えるものじゃないから もう取り戻したくても取り戻せやしないけど
形とか色でたとえられない それは思い出という あざやかな記憶
大人になるたびに薄らいでゆく大切な思い出たちが この心の中から鳥のように飛び立ってゆく その一羽一羽が僕の大事な思い出なのさ
あの日泥んこになって 駆けずり回った空き地は もう今はないけど そこにあった笑顔も思い出のあとも
喧嘩して流した涙も
全てがそこにまだある 見えないけど
真っ赤な夕日が駐車場を照らせば昔の記憶があざやかによみがえるんだ
久しぶりに行った
空き地だった場所は
たくさんの車で
思い出も何もなくなっちゃった気がしたけど こんなふうに目を閉じてみれば
まだあの頃の笑い声や鬼ごっこしてはしゃぐ声が聞こえる
そして僕は思い出にまた別れを告げ
元空き地をあとにする
背中向けたまま
小さくあの頃の僕に手を振った 夕暮れ。
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この街にたくさん
あふれてる人の笑顔
それと同じくらい
あふれてる人の涙
1日中ずっと笑ってもいられないけど
ため息で始まった1日も 日が暮れて さよならする頃になったら 最後は笑えればそれでいい
近所の公園のジャングルジムから 眺めた夕日は真っ赤に染まって いつもながら綺麗だったよ
今日の日にバイバイさよなら
泣いても笑ってもこれでおしまい
今日たくさん泣いたなら
きっと明日はそれと同じだけ笑えばいい
笑えるだろう
泣くことはね カッコ悪くなんかないのさ
泣かないやつのほうがよっぽどカッコ悪いよ
涙は雨と同じなんだ
いつか雨がやむように なにもしなくても待っていればそのうち日が差すように
笑えるんだ
人生なんていいことばかりなわけがないだろう 坂道と同じなんだ 上り坂もありゃ下り坂もあるんだよ
辛いときは 無理せずに 泣きたきゃ泣けばいいんだ
大人だからって無理して笑って悲しみをごまかす必要はない
だからその涙を
笑ってごまかすな
繰り返される日々
果てしないほどの道のり 疲れるなら
泣いていてくれたほうがいいよ
どうして人間はバカになれないんだろう
泣きたいときは遠慮せずに泣けばいいのにね 無理して気をつかったりして笑ったりして そっちのほうがバカみたいだろう
毎日こんなに頑張ってるのにどうして認められないのかな
自分の悪いとこもわかってるけど それでも僕にだっていいとこのひとつやふたつあるはずなんだ
あの公園は今はもう
駐車場になっちまったけど そこから見える景色は今も変わらずに綺麗だよ
沈む夕日に手を振る夕暮れ
今日にさよならをしよう
今日にさよならできたら1日は それでもうああだこうだ言いっこなしさ
何回も言わなくていい さよなら その一言でおしまいさ。
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大人の毎日は 思ってたよりずっとつらいんだ
朝早く 家を出まして 満員電車 に押し込まれる
うるさい上司にはああだこうだ 言われるし
金に汚い社長が 社訓みたいに掲げてるのは独裁者と同じ思想だ
誰にほめられるわけでもないのに
話を合わせたり
話題をふられれば
相づちを打ち
ごまかすように
愛想笑いして
本当バカみたいだな
いつも仕方ないさと思うけど我慢の限界ってものがあるから
僕の導火線に火がつくまえに 理不尽で横暴なやり方を改めよ 社会
それでもどこかできりもなく信じてるのさ
あしたになれば
今日よりはマシな
1日が待ってると。
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あなたの隣の人や
あなたの大切な人
あなたを生み育てた人
あなたをよく知る人
みんなひとつのりぼんで結ばれてる
すれ違っただけでも
顔を見合わせれば
それはそれで十分お知り合い
人は人と何らかのつながりをみんな持っている
赤の他人っていうのは顔も何も全く知らない人のことをいうのさ すれ違って顔を見ただけでも それはお知り合い
そのあと顔を忘れても忘れてるだけでちゃんと関係が結ばれるんだ
顔を知ってる人も
ただのすれ違っただけの人でも
親しい人でも
愛する恋人でも
同じ会社の人でも
男の人でも女の人でも よくわかんない人もみんな自分と関わりのある 人ならば
ひとつのりぼんで結ばれてる関係
無関係ってことはないさ
関係ないなんてことはないさ
みんながみんな
もしかしたらどこかで顔を合わして 挨拶交わしてるかもしれない
ひとつの町の人だけでも ひとりひとりの顔と名前 一致するなんてないけど
だけれどできるなら
みんなの顔と名前知りたい そして小さくてもいいから何らかのつながりでつながっていたい
挨拶ひとつ交わしただけでも それは立派なお知り合い
名前も顔も知らないあなたをもしかしたら僕が 愛することになるかもしれないしないとはいえない
最初はみんな誰でもみんな知らない人 名前と顔と性格を知ってその人を知っていくんだ
みんながみんな何らかのつながりを誰かと持っている
そして小さくてももしかしたらどこかでこの先つながってゆくかもしれないんだ
人間は多いけど 数えきれないほどじゃないから だから今日も知らない誰かと誰か同士が つながりを持っていてもおかしくない 僕だって君だって例外じゃない
場所や時間を選ばずにつながりは生まれるんだ その人を知らなくても気遣いや優しさを 隠さずに見せられるならそれは素晴らしいつながり
今日もそんなつながりを求めて生きてる。
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偶然 僕が生まれて
偶然 あなたも生まれて
偶然 今日誰かが生まれて
偶然 今日誰かが死んで
偶然 今日はついてなくて
偶然 今日は休みで
偶然 今日は晴れて
偶然 今日は金欠で
偶然 今日はむしゃくしゃしてる
全ての出来事を偶然だと片付けられればこれほど 簡単な事はないのに 偶然ってだけじゃ 成り立たない何かがある
『理由があるから そうなる』僕もわかるけど 僕らが生まれた理由はって学者に聞いてもわかるはずもないだろう
だって僕らは偶然 生まれたから
必然ならば何らかの理由があるはずだけど
偶然としかいえないような 命が 遠い昔から奇跡のような事を起こして始まっていた
地球が誕生したことも科学でこじつければどうでもいえるけど 絶対正確とはいえないはずだ
証拠となる何かがあればべつだけどそれだって偽物ならば疑いは晴れない
だから 面倒だから
偶然に全てをまかせて こじつけて
僕が生まれた事も
誰かが今日死んでしまう事も偶然で片づけてしまう僕がここにいるんだ
偶然じゃきっと片付けられない現実があることは僕もわかるけど
それを言い始めたら
僕はどうして
ここにいるんだ?
僕はどうして
生まれたんだ?
僕の生まれたことの総てをもしも語れるならばえらそうなこともいえるけどそれを知らない僕らには何も言えない
だから偶然に頼って
いつも偶然で片付けて僕らは目の前の悲しみや喜びを なんとか受け止めようとする
でも偶然じゃ片付けられない命がある
きっと僕がここにいるってことがいちばん僕がここにいる証につながってるんだろう
答えをあげるとすれば 今ここに僕や君がいることが僕や君が生まれた意味で
そして今生きてる理由なんだろう
命はそうやって
繰り返される
いろんな見方やいろんな見解があるけど面倒だから僕は偶然で現実にモザイクをかける
それでも隠せない心がある。
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幸せっていうけど どんな気持ちになれば
幸せっていえるんだろう 昔から考えてるとわからない
幸せって ラッキーとは違うもので 簡単に消えてしまうものじゃないようだ
長続きする幸せが欲しいけれど 僕にはあるかなあ そんな幸せ感じられる あしたが
気づかないあいだにこの手の中に生まれていた あたりまえという名前のいちばん尊い幸せ
毎日毎日 朝昼晩と食事がとれて 住む場所や着る物にも困らない今が幸せじゃなくて不幸せなら それは間違えだろう
だから今以上幸せを求めたらきっと欲張りになってしまうから
今の幸せ 普通の幸せ
抱きしめて毎日感謝して 訪れた1日の始まりに手を合わせて朝ご飯を食べて 時には悲しいこともあるけど またすぐに立ち直って 同じような毎日の中で感じてるささやかな幸せが
積み重なって
やがて大きな幸せだと気づくんだろう
一気に手に入れられる幸せなんてつまらない
思い出したよ
遠い昔 小遣い貯めに貯めて買ったラジコン
あんな気持ちなんだね
本当の幸せってさ
気づけなかった僕はもったいない人間だったんだね
でも今気づいたよ
幸せはいつでも
この手の中にあるってこと
だから僕は今 確かに言えるんだ
僕は今最高に幸せだよ
幸せをこの手に握ってるからね
きょとんとする人の群れの中で僕の笑顔は輝いていた
そんなことを感じた1日でした。