詩人:どるとる | [投票][編集] |
無関心が服を着て
街を我が物顔で歩く
そこで誰かが
転んだって
背中越しにあざ笑うだけの若者
見て見ぬふりが得意な傍観者たち
決まって言うのさ『私には 俺には関係ないね』もはや流行語
なんでも便利なものがひと通りそろった
おまえの住む街
例外があるとすりゃ愛や友情や
優しさや
家族や夢は
どこへ行こうが
いくら金を積もうが
絶対買えないのさ
またほらね 命を投げ出す人の影
新聞広げりゃ今日もばかのひとつ覚えのように
動機なき殺人
いつものことだね
今さら何も思わない
ちょっと考えれば
すぐにわかるのに
優しさもぬくもりも
誰かを気遣うことも
死語になりつつある世界では 当たり前の光景だと誰もが見過ごすことしかできないでしょう
神様なんていやしないこの世界じゃ
誰を頼りにすればいいか もう生まれたときから決まっていて
自分だけが最後の頼みの綱だということ
自分の命を自ら投げ出す人のことを責めることはしないけど
その背中に一言言えるなら あなたの人生はやすいもんだね
神様にいくら供物を捧げても 結局いいも悪いも 人生を築くのは 自分だということを忘れたらその人は生きながら死んでるのと何も変わらないね
神様お願い 僕に生きることの喜びを教えてよ 計算できない
人の心の中にある
単純な思いを まっすぐに見つめることで
人の中にある影を憎み
人の中にある光に気づくんだよ
人を愛せるのも
また人だけれど
一歩間違えれば
自由すぎる僕らは
人を殺められるのも
また人の姿だから
なるべくなら
人を愛していたい
時に誰かのせいにして自分を正当化してる人もまた人で
嘘をつくおまえもまた人だけれど きっと人なんて一言で言っちまえば
人を人として見つめられる目を持ってる
特別でもなんでもない毎日を生きるどこにでもいる人が人だ
あなたは胸を張って自分を人と言えるかい?
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少年はひとり
旅に出ました
ある七月の朝
重たいカバンを背負い自転車で出かけた
行く先や宛てもなく
好奇心だけで始まった旅だ 不安じゃないはずはない
何もない世界に嫌気がさしても どこに逃げようがこの世界は丸いからまた同じ場所に行き着いてしまう
それならば見つけよう
僕だけに見える青空
宿題の 真っ白い画用紙に描く どこまでも青い空と白い雲
上手くは描けなくても 僕だけのたったひと夏の記憶閉じ込めた 一枚の絵
空と大地の境界線すらわからなくなるほど青々とした僕の世界
もう少しペダルを漕いで 生きていこう
投げ出すことなら多分いつだってできると思うから
ダメ元だって
旅に出た少年の日の夏
うだるような暑い陽射しとどこまでも追いかけてくるように
鳴き続ける蝉しぐれ
思い出すよ 夏の冒険
ひと夏の 大冒険
汗とともに暑さが引いてゆくように
夏の幻に魅せられて
気づけばエアコンのきいた部屋に返り咲いたこと 内緒だよ
でもいい絵が描けたんだ
大人になった今
またあんな旅がしたいな
少年の瞳に映った
青い空が画用紙いっぱいに広がるような
そんな夏
画用紙にはおさまりきれないたくさんの思い出がきらめく夏
思い出すよ 夏の冒険
ひと夏だけの 大冒険
ペダルを漕ぐように
果てのない世界を目指した 少年の見た夢
神様がくれた暑い夏。
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今日もたくさんの人の瞳の中に 同じようで違う景色が広がってる
ある人は家族と
ある人は独りで
違うようでも
同じ世界にいる
まだこの世界には
たくさん知らないことがあって
一生わからないこともあるけど だけど
ひとつだけ あなたの瞳に映る僕は決して
どんな明日が来ても
消えることはないよ
君の瞳は何を見つめている?閉じたまぶたの裏にも広がる景色
花や木々や 誰かの笑顔や涙かい?
新聞? 文庫本の活字かい?
どこからの眺め?
青い空? 建物の壁? 絵画? 彫刻?
果てしない夢?
憧れの明日?
雨に濡れていた
昨日の自分?
不器用な僕かな?
教えて?…教えて?
何もかも 見透かすようなその謎めいた瞳には何が映ってるの?
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頑張ってるって当たり前でしょうか?
こんなに傷ついて
こんなに悲しくても
笑ってる僕は無意味ですか?
花さえ美しく 咲いていられるのに
醜い僕ら人間はいまだに争いあって まだ気づかない 愚か者
頑張ってる自分をほめよう 誰かの屍の上にできたこの街で
今日もそんなことが嘘のように繰り返される 拙い僕らの会話 どうだっていいはずなのに何でだろう
あなたとまだそのどうだって会話を続けたい
生けとし生けるすべての人は例外なく頑張る人
だからそれに見合った人であれ。
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僕に明日が来なくてもあなたが側にいればいい
たまにやさしく笑いかけてくれるだけでいいさ
あとは無情に過ぎ行く時に身をまかせてゆく
朝が来れば
あくびをして
飯もそこそこに出かける
悲しいことばかりじゃないから一概には言えないんだね
この世界の悪口
生きてるだけで
幸せなのかもしれない
手を伸ばせばすぐに届きそうな星なのに
永遠につかめないような未来に見てる憧れ
届かない遥かな夢
見えない雨にうたれて 独り空を見上げりゃどこまでもつづく空に抱きしめられた僕がいたよ
空を飛ぶ鳥のように自由に生きたいけれど僕には翼はないから
自由に大地を歩く
旅人になろう。
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大人たちの言うことなんて聞く耳も持たないね
本当の自由とはほど遠い日々を生きてる
いくら地図を見つめても 夢なんて簡単には見つからない
行き先だって自分自身がいちいち決めるしかないんだよ
今日も誰かが生まれても僕には関係ない
今日もどこかで誰かが死んでも関係ない
だけど誰かの笑顔や誰かの幸せを壊す権利は誰にもないのさ
べんりなものであふれているこの世界にいま足りないものは
きっとどれだけ科学が進歩しても それだけはずっと変わらないまま 僕らの中にあるのだろう
携帯電話とにらめっこして 独り笑ってる若者の背中越しで僕は泣いている
どうしてこんなに
毎日がうまくいかないんだろうな
路上で一生懸命歌うシンガーよ 僕のこんな気持ちを肩代わりしておくれ
べんりなものであふれているこの世界は
べんりになればなるほど人の心の中の大事な何かがかわりに廃れていく そんな気がするこの頃
今日 あなたに笑いかけた僕の笑顔は嘘だよ
こんな作り笑いにさえ価値があるというならば
いくらだってくれてやるさ
どんなに悲しいことがあっても 地球はまわる
その青さも色あせぬまま 中身から腐ってゆく いつか果実の芯ように僕らの心が先に腐る
理由もなく人は人を傷つけ理由もなく人は人に傷つけられて
べんりなものに囲まれて手間を惜しむ人の心は荒んでるから
何もかもをめんどくさがる
いつか誰かが歩いたこの道に刻まれた足跡さえ 時が過ぎれば跡形もなく消えてしまう 僕が歩いた足跡も同じように消えてしまう僕らは形あるものを残すことはできない
だから僕らは見えない足跡を 残すのさ
無意味な気がすることでさえ続けるからこそ意味がある
だから僕らは毎日毎日 のたうち回って生きるのさ
無意味な気がすることだけど意味などないのかもしれないけど生きるからには繰り返さなきゃならぬ
そんな俺の日常。
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大好きな人の笑顔が僕の隣で咲いている
時に元気なさそうにげんなりするその花
いつの間にか
こんな頼りない
僕の隣で
咲いていた
このまま いつまでも 時代から遅れて
僕らは 二人 寄り添って 揺れる
太陽なんて 見えなくてもいいよ
僕と君なら 二人でいれば大丈夫さ
すぐに三日坊主になるけど そんな僕も愛してくれるならば
一年草だって 百年も二百年もその気になれば 咲いているだろう
一年草よ、その名前を凌駕せよ
一年越してまた一年
気づけば百年、千年
愛よどこまでも。
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男だって 女だって 泣きたいときが必ずある
声をからして それこそ気がすむまで
若者だって年寄りだって 成人したてだって誰もが 泣きたいときがある そんなときには大人も子供も関係ないのさ
涙を流してる人の何が悪いんだ?
悲しいとき嬉しいとき
人は涙を流してその悲しみや喜びを表現するんじゃないか
その涙を笑う権利なんて誰にあるというのだろう?
人は涙を流せば流すほどに優しくなれるのさ 人の痛みに気づくには 人と同じ痛みを感じてはじめてその人の痛みを知るんだ
あれからいくつもの時が過ぎた
あれからいくつもの季節が過ぎた
あれからいくつもの人と出会い
あれからいくつもの人と別れた
あれからいくつもの景色を見て
あれからいくつもの思い出を抱えた
あれからいくつもの傷を負って
あれからいくつものやさしさに触れた
あれからいくつもの愛を知った
そしてあれから僕も少し大人になった
だけどあれからどれだけ時が過ぎても
けっして変わらない俺の涙 流したぶんだけやさしくなった
道の上に静かに
落ちる花びらのように 歳を重ねて 若さを散らせても やさしさだけが僕をひとでいさせてくれる。
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吊革につかまって
あっちに押され
こっちに押され
人の波に乗る上り列車
なだれ込む人
タバコ臭い車内
よく聞こえない
アナウンス
隣でうるさい
若者のどうでもいい
会話 黙れ黙れ
全国何万人の
サラリーマンたちよ
今日も本当ご苦労様です
朝から大変ご苦労様です
頑張れサラリーマン
不況に負けないで
ネクタイ風になびかせ
奥さんの尻にしかれても 理不尽な社会にもまれても
守るべき
ものがある
愛すべき
人がいる
明日も頑張れサラリーマン!
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お腹がぐーっと鳴ったら お家に帰ろう
お腹がすいたままじゃ喧嘩もろくにできない
誰かと手を繋いで帰ろう 手を繋ぐ人がいないなら ひとりだっていいじゃないか
ほら見てごらん
今空のかなたで夕日が沈むよ
お腹がぐーっと鳴ったらまっすぐ家に帰ろう
寄り道なんかしている暇なんかないのさ
お母さんの作った
カレーライスが僕を待ってる
甘口のカレーライス
早く食べたいな
今日も1日ご苦労様
いろんな出来事があったけど なんにしても今日は終わりだ
お腹がすいたよ
なんだか悲しかった事さえどうでもいいみたいにお腹がすいたら関係ない 関係ない
お腹がすいたら 涙さえも乾いてしまうね
お腹がすいたら まず先に何よりもこのお腹の虫を黙らせることが一番大事になっちまうんだね
お腹がすいたよ
その一言で緊張の糸もほぐれてしまうんだね
だから ギクシャクしたら お腹がすいたよ
そう言おう そしたらきっと思わず笑ってしまうね
お腹がすいたよ
だから帰るんだよ
そして 僕を待ってる人の笑顔に迎えられるため このただいまを届けるんだよ
ただいまとセットで言おうね
優しくなれる
心が綺麗になる
涙なんか
乾いていく
お腹がすいたよ
悲しくても
切なくても
どんなときでも
腹の虫だけは
正直だから
嘘はつかないんだね
だから僕はつい口に出してしまう
お腹すいたよ。