詩人:どるとる | [投票][編集] |
夜空を駆け抜ける
流れ星に願うのさ
明日こそはどうか輝く日であれ
シャッターチャンスを逃した カメラマンの悔しさに似た
終電に乗り損ねたサラリーマンの虚しさも似た 切なさに焦がされて 眠れない夜
今夜はもう眠らない
何が何でも眠らない
眠らない 眠らない
眠りたくなんかない
そう言う僕の背中は曲がっている
でもそれはきっと素直な僕の本当の言葉
眠らない夜も素敵さ
眠れない夜も素敵さ
背中は曲がっていたって心はしゃんとしているはずだよ
さあ まだ見ぬ明日へ船を漕いでゆく
夜を飛び越える 流れ星の尾を掴んで
そのまま 夜空のかなたへ 夢の出口へ。
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お金にはなんの価値もない
僕らが価値をつけるからただの紙の束も価値を持つ
物に価値があるんじゃない
価値がなければ ダイヤモンドも少し綺麗なだけのただの石ころと同じだよ
僕らは見えないものにさえ価値をつけるのさ
愛や友情やそのほかいろいろものに
価値のはかれないものにさえ価値をつけて 大事そうに抱きしめている
価値あるものを手にしたとき たとえそれが価値のない石ころでも紙の束でも
価値があれば誰もがこぞってそれを欲しがるだろう
札束にたまたま価値をつけた人がいて
ダイヤモンドにたまたま価値をつけた人がいただけで
それは価値あるものになる
だけど価値のないものなのにお金にはかえられないくらい
かけがえのない
価値のある愛がある
価値のある友がいる
価値のある夢がある
価値のある今がある
ダイヤモンドや
札束よりも
価値のある
僕らがいる
戯れに浮かべた笑顔さえ僕には価値のあるものさ
いくらお金を積まれても 買えない価値のあるものさ。
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どこにでもあるようで
ここにしかない夏
抱きしめて
受け止めて
何度でも
切れた鼻緒を
結びなおすように
思い出せば
鳴き出す
蝉しぐれ
あなたと見たあの花火が あの提灯の明かりが 振り向けばきのうのように今も鮮やかに思い出せる
遠いあの夏にまた僕はかえりたいよ
できることならば
子供に戻ってお祭りの屋台に飛びついて
プールで思い切り
遊ぶのもいいね
大人には見えない夏が子供には見える
すこし開けた窓から
吹き込む夏の風
ほほをやさしく撫でるその風が風鈴を鳴らすよ
魔法の呪文のように毎年のようにみんな暑いなってわかってても言葉にしている
そしてきこえる
蝉しぐれ
どこにでもあるようで
いちどしかない夏
あの夏はきっと
かえらない
でもまた夏が今年も
暑さとともに
やってくる
けたたましいくらいに鳴く蝉も短命だから その生涯を嘆くように鳴いている
ああ 振り向けば
微笑んだ君のほほに流れる汗と 気品に満ちたうなじかな
ほらね 夏もいいだろう?狂おしいほどの暑さが 夏を思い出させてくれるよ
そして蝉しぐれが鳴り止むころに
暑さとともに去り行く夏 抜け殻だけを残したまま
風と共に去りぬ。
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あなたの頭の中で描いている幸せのイメージはどんなものですか?
もので溢れかえったこの世の中に生まれた人は不孝だと大人が言う
自分たちの住む世界を自分たちの手で汚して 平気な顔でポイ捨てもする人がいるんです 地球は泣いているね
まるいまるい地球の片隅に生まれた命が今日もどこかで元気な産声あげて泣いている
汚れた世界にはきっと幸せはないよ
だからこそ僕らが汚したぶんだけ きれいにしてゆくんだよ
まず心をきれいに洗ったら 汚れた世界が見えるよ
人の痛みに気づけるよ
人の悲しみがわかるよ
セピア色の明日が見えるよ
音色のようで音色じゃない不思議なメロディ奏でて奏でて
音符のない楽譜に並んだ僕らの笑顔
さあきれいな世界で
笑おう 笑おう。
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今日もこの世界のどこかで 第一楽章のようなはじまりの産声が高らかに奏でられる
そして今日もどこかで誰かの命が最終楽章の慎ましやかなメロディにしずかに見送られる
僕は何度でもスタート地点に戻って 繰り返すのさ 同じように今日と呼べる明日ともいうべきはじまりの地で きのうのように泣いて笑って くだらないことで苛立ってわがままも言うだろうけど 生きているというメロディは鳴り続ける 少しの乱れもなく 僕の心臓はメロディをきざむよ
花のように 可憐に
水のように しなやかに
風のように 涼やかに
天使のように おだやかに
稲穂のように 凛として
半数もきらぬ人生を
僕は生きていくのです
僕という楽器を不器用に奏でながら
帳尻合わせに疲れたらたまには怒ってみたりもするのはしかたないけど なるべくやさしく穏やかに
生きていこうと思います
はじまりの地で
再び 僕は空を仰ぎ
思う 風の立つ午後に
日陰の中 目をつむる。
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君の顔は今日も泣いたり笑ったり忙しい
表情の固まらない その時の心を映した気持ちによっていろんな顔になる それがなんだかおかしいね
今日の君は泣いていたの?それとも笑っていたのかい?
柏手打って 神様に祈りを捧げても 願いは叶いません
神も仏もいないこの世界で願いを叶えるには並大抵の事じゃない
だから神様に祈るよりまず愛し合おう
泣いたり笑ったり
怒ったりしょげたり
恥ずかしがったり
悔しがったりする
君の顔をいつも
見ていたいのさ
泣き顔も笑い顔も
全部残らず愛すから
僕のそばに死ぬまでいてくれないか?
そして 誰かが塞がなくちゃすきま風が冷たい寂しさっていうこの穴を埋めてくれないかい?
その役割を果たせるのは世界中で多分君だけだから
僕のだめなところを叱ってよ
僕のいいところをほめてよ
頼りないけど世界一
愛してる君になら
涙も隠さずに
見せられるから
頼りない僕を愛してね
僕は歌うよラブソングってほどでもないラブソング。
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彼の時計はもう動かない
短い針も長い針も
もう動かない
教科書で見た
戦争のあの瞬間
とらえたような
一枚の白黒(モノクロ)写真
きっと彼の時計はもう必要ない
だけどこのまま
彼の時刻は進まない
彼の遺した言葉や押し花は きっと見る人の心に悲しみを宿す
でも彼はやさしく笑う 写真の中でやさしく笑う
だから彼は空の上
動かない時計を抱きしめて やさしく笑う
きっと やさしく笑う
動かない時計の中で
止まったままの時の中を 生きる
朝も夜も来ない
幻のような
そんな時の中で
動かない時計は
仕事を辞めて
じっと眠ってる
もう時計は死んだ
彼の命も終わった
だけど彼がいた
この場所に花が咲く
新しい家も建つ
誰かが住む
町は変わり
景色も変わり
時代がいくつも
流れ流行り廃りを繰り返して僕らはデジタル時計のように正確な時の中をせわしく動く秒針のように機敏に生きる
彼の写真は町の公民館に飾られて
彼のいた町は
もう廃れて
動かない時計は
本当に動かなくなった
動かない時計は
永遠に動かなくなった。
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僕らはいつも 同じように 毎日泣いたり 笑ったりしているだけでほらどうでもいい事が幸せだってことにも気づけずに
見えている幸せの前を通り過ぎるのさ
こんなふうに普通の毎日を送れる事が幸せだとも知らないで
普通に暮らせる事なんて当たり前っていうような顔しているようじゃ バカだね
感謝までもするような事じゃないけど
欲張った末に迎える結末は映画でもあるように 欲張りな悪党は最後は悲惨な最後を迎えるよ
だから ちょうどいいとこで 普通に泣いて普通に笑っていよう
そこに君がいて
ここに僕がいて
休みの日には
花に水をやって
隙があれば
どっかに出かけて
それなりにバカで
それなりに真面目で
それなりに賢くて
それなりに欲張りで
それなりに愚かな
僕らの毎日はきっと生きているだけで幸せ
人生とは幸せをさがして出る旅というのならばいつまでも満たされることのない欲望を満たすための旅は無意味だよ
ほらあなたの目は節穴さ
幸せならいつでもここにある
気づかないあいだに幸せになってる
気づかないだけで
暮らしてる毎日が
もう幸せなのさ
大事なもののあたたかさや優しさにふれたとき 人は気づくのです 今までの自分の醜さと本当の幸せを見えずにいた愚かさに
幸せならさがさずともいつだってここにあるんだよ
毎日 三食ご飯が食べられて 住む家があってさ 愛すべき人がいるならばもうそれはこの上ない幸せ
ゴールから先はないよ
あとはもう引き返すだけ
あとはもう老いぼれてゆくだけ
幸せをさがしても
満たされるのは
欲望だけ
幸せをさがしているならば 目を閉じてごらんなさい
ほらね あなたを呼ぶ誰かの声がきこえる
ほらね あなたを見守ってる誰かのまなざしがあなたを見つめてる
それが幸せってものさ。
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僕らが見た夏の夢は
泡のように消えた
音もなく静かに地面に落ちた線香花火
祭りの夜に切れた鼻緒を結びなおして
幼い時のようにはしゃいだ記憶が心のアルバムにそっとしまおう
夏の記憶が一つ一つ
よみがえっては消えてゆく
夏のアルバム
表紙ひらけば
いくつもの
記憶が蘇る
そして再び
夏はやってきて
僕らを焦がす太陽光線
うだるような日差しと
蝉しぐれに包まれて
逃げ込んだ日陰で
そっと口づけ交わした秘密の夏の午後
そんな記憶もそっとしまおう
夏のアルバム
表紙を閉じて
僕は振り返る
あの日の
君の横顔と
汗にまみれた
日々を
夏のアルバム
表紙を閉じても
消えない鮮やかな記憶
僕は忘れない
君の優しさ
君の匂い
きっとまた
来年 会えるだろう
微笑んだ君の横顔
とりたての野菜
縁側でやった花火
線香花火 誰が早く
落ちるか競ったよね
くだらないけど
そのくだらなさが
暑さの中に優しさをまぶしてくれる
夏のアルバム
心の奥に
しまうとき
僕は切なくなる
暑さが恋しくて
なぜかちょっとだけ
潤んだ瞳の先
横切る 赤トンボ
揺れるがまの穂
通り抜ける涼やかな風
数字だらけの味気ないカレンダーいっぱいに咲いた朝顔と君の笑顔。
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世の中にあふれる
矛盾に気づいても
ちっぽけな僕には
どうすることもできない
豊かさに慣れすぎた僕らには 最早他人の悲しみや切なさに気づくこともできない
通り過ぎていくだけさ
そこで誰かが転んでも道端に空き缶を棄てるように 簡単さ
無関心丸出しで
無視して通り過ぎるのさ
『僕には 私には全く関係のない事』
自分さえ良ければそれで構わない
他人がどうなろうと自分には関係ない
そんな気持ちで生きている あなたはきっとさびしい人だ
どんなに頭が良くたって 優しい気持ちや他人を思う気持ちを忘れたら 人間なんて腐ったも同じなんだよ
世の中には 平気で誰かの屍を上を歩くような人もいて
優しくてあたたかい人もいるのに
僕の周りにいるのは
前者のような人ばかりいるのさ
時代が進むのはきっと仕方ないけれど
時代がどんなに進もうが人間が忘れちゃいけない事はたくさんあるはずだ
だから目覚めてよ
長い夢から覚めて
自分が今まで
棄ててきた
空き缶を拾いなさい
そして、自分が今まで傷つけてきた人を明日から労りなさい
それが人間だよ。