詩人:どるとる | [投票][編集] |
猫が鳴く にゃんと鳴く なんとなく鳴く
空に雲が浮かんでる
なんでもない休日の昼下がり ひとりきり空を見上げて へたくそな口笛吹いて 笑ってる
君も泣く いろんなことが君を泣かせるだろう それでも、君は強く強く生きている
えらいよ 大したもんだ
日が暮れる頃には
いつもの玄関のまえ君を待っているよ
人は皆 ただいまを届けるために 帰るんじゃないのかな
おかえりが聞きたくて ただいまを言うんじゃないかな
ドアを開けただけじゃさみしいよ、物足りないよ
だからただいまを届けたくて 今僕は帰ってきたよ
夕飯の匂いやあたたかいお風呂にみんなの笑顔
なんとなくそれだけで悲しいこともどこへやら
ほらねいつの間にか君のほほに涙の川が流れてる
特別な言葉は必要ないね
「ただいま」と「おかえり」それだけで今日は終わるよ。
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もしも僕が大人になるまえにもう一度戻れたら
どんな夢を未来に見るのかな
どんな大人になろうとするのかな
ずっと夢見ていたよ
大人になったらきっともう少し 楽しいことが待っていると思っていたんだ
だけれど大人って思ったより大変で思ったより忙しくて
思ったより疲れるんだね
大事なことを知ったようで
同時に何かが消えてしまったようで
悲しくて切なくて
僕は涙を抑えきれない
大人になったら
もうそんな言葉は言えないね
僕はもう大人だ
あとはただこのままどこまでも続く道をまっすぐ歩いて行くだけだ
なるべく 傷つかないように
なるべく 躓かないように
なるべく 真面目に
生きて行くだけだ。
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ああ 回り続ける地球の片隅 生まれた命が今日も泣きながら笑いながら こわごわ歩いてる
小さな一歩も大きな一歩もそうさ大して変わらない ゆっくりでいいんだよ 急ぐ必要も慌てる理由もない
流れ落ちた涙が心の中に水たまりをつくっても 悲しみはまだまだ尽きることなくこのほほを伝うよ
浮かべた笑顔はもしかしたら嘘っぱちの愛想笑いかもしれないのにそれがまるで当たり前のように優しさをくれる人がいる
あなたのぬくもりや
あなたの思いやりに
応えることができるかな
あなたの優しさや
あなたの気づかいに
値するほどの人になれるかな
あくびもして ため息もついて たくさん嘘もついて たまに誰かを傷つけて
それでも生きてゆかねば
大きく息を吸え
そして吐き出せ
目をひらいて
空を見上げよう
そこに何が見える
そこに何がある?
太陽、青空、雨雲
聞こえるのは
あなたの元気な声
そうさ、誰の頭の上にも雨は降っている
特別でもなければ当たり前でもないものを抱きしめて
今日も回り続ける地球の片隅 生きてる
あなたも生きてる
それでいいんだよ。
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人が人を思うこと
人が人に気にかけること
ただそれだけのことを大切にするだけ
それだけで戦争なんてなくなるのにね
まだまだわからない人たちがいるんだね
人が人を気づかうこと
人が人を労うこと
それだけでこんなに心があたたかくなれるのにまだまだそんな素敵な素敵な気持ちに気づけない人たちがいるんだね
すくすくと育った
こんな小さな子供が
いつしかひとりで歩けるようになって
大人になって
そんな過程の中
人は生きてゆく
ただそれだけのことなのになんて壮大な物語 感じるのだろうね
たくさんの人たちのそれぞれのまぶたの裏で誰かのこと今日も考えてる
ただそれだけが世界の全てならいい
ただそれだけが世界の全てであってほしい
なんてことのない
当たり前な繰り返しが
くだらないようなことの一つ一つが
まぶたの裏で輝いてる
君にもわかるさ
僕にもわかるさ
みんなわかるさ
誰のまぶたの裏にもあるんだよ
特別でもなければ当たり前でもない気持ち
まぶたの裏で輝いてる。
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気づいていないようで気づいてるんだよ実は
見えていないようで本当は見えてるんだよみんな
浮かない顔をしてるあなたやあなたは
独りぼっちのようで案外慕われてるんだよ
わきの下に生えた
いくつもの脇毛のようにほら見えない場所で見えないところで泣いている君が今日もいるように
僕にはなんとなくわかるから 傍にいるんだよ
もしゃもしゃと毛並みを鳴らして いたずらっぽく微笑む君が愛しくてたまらないのは
今すぐ抱きしめたい
脇毛の中に 光る汗のように 憩いたいのさ
だから好きと言わせてね。
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ブランコに乗って
今日も揺れていた
悲しみに 喜びに
移ろっていた 心は
ブランコに乗って
今日も飛ばしていた
靴の代わりに
助走つけて 涙や笑顔を
代わる代わる時は
動き君を運ぶ
一歩ずつ踏み出すたび何かを失って
それでも笑うのさ
それでも泣くのさ
失ったものを
補いながら
それでも生きるのさ
それでも進むのさ
風に吹かれ黄昏て
またブランコに乗って
いくつかの夢を見た
いくつかの愛を抱いた
いくつかの罪を犯した
ブランコに乗って
今日も明日も揺れているんだな
悲しいことも
嬉しいことも
みんなで知ってゆこう
何ひとつおそれることはないさ
夕暮れの公園に
ぽつり置き去りにされたような ブランコのように 鎖に縛られた命だけれど
風にまかせ 今日も揺れるのさ
誰かをその身に 乗せて たまには
ずるくもなるさ たまには苛立ってるさ
それでも 大事な何かは忘れない
大事な人を思い続けるんだ
ブランコのように
揺れながら 揺れながら 僕は生きるよ
あなたを乗せて。
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一生懸命、働いて
一生懸命、汗流して
誰のため なんのためおとなはおとなという役柄を演じてるのだろう
満員電車に乗って
行きたくもない会社と交わりたくもない人と 愛想笑いとお世辞を売りさばいて健闘する日々
朝も昼も夜も切なさ漂うよ 月の光細く窓から差し込む 太陽の下では あんなにおとなになれるのに
夜になるとおとなも泣きたくなるんだな
おとなの中にまだ子供がいるよ
わがままもだだをこねるのも子供のものだけじゃないはずさ
見てごらん 子供のようなおとながあふれている
おとながおとなを指差して おまえはおとならしくないと言うのならそう言うおまえはおとなすぎるよ
なんとなくおとなです
いつの間にかおとなだよ
おとなになんてなりたくなかった
ずっと子供のままでいたかった
おとなという線で仕切られた世界は 息が詰まるんだ
おとなという壁で隔てられた世界は 矛盾であふれている
僕がみていたおとなのあの笑顔は嘘だったのかな。
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ほんの百年ほどの時間の中で
ここまで歩いてきたけれど
空を見上げても
目を閉じてみても
何も見えない
明日が見えない
なにがやりたいのだろう
なにになりたいのだろう
それさえもわからないのに
変われるはずもない
僕の瞳に映る漠然とした日々
手を汚し服を汚し
あとはなにを汚そうか?
繰り返し繰り返し繰り返される毎日が
辛くて悲しくてたまらなく惨めで
寝転がっても
うなだれてみても
何も見えない
明日は見えない
どこへ行きたいのだろう
どこに向かってるのだろう
何もかもわからないまま
大人になっていた
数億人の瞳に映る今日がどんなに苦しくても僕の瞳に映る今日に比べたらずっと
穏やかな気がするよ
繰り返し繰り返し繰り返される毎日は
なんのためにあるのかな疑問だけが積み重なってゆく
あがいてももがいても何も見えない
明日が見えない
後悔が僕を追い抜いていく
歳だけが僕から若さを奪ってゆく
川面を流れる葉っぱのように流れに身をまかせて生きることのできない僕には
明日が見えない。
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ああ今日もお疲れさまでした
皆さんそれぞれ言いたいこともあるでしょうが
まあ今日はもう終わるんだから
過ぎたことは考えず前を向いて歩きましょ
泣いていたのかな
それとも笑っていたのかな
僕や私だけの1日が
人の数だけきっとあるから
悲しいこともあるだろう
だけど涙の影にはそれなりに笑顔もあったろう
僕の1日も君の1日も考えてみたら もう二度とかえらない1日なんだよね
それを考えたらどんなに悲しい日でも過ぎ去るとなんだか切なさは残ります
どこかに何かを置いてきた気がするけど
それが何かはわからない
どこに置いてきたのかもわからない
だけど僕はどこかに何かを置いてきました
窓の外 ふいに見りゃもう月のお出ましか
さよならとつぶやいた 帰り道 別れ際
嘘でもいいから言おう 今日はいい日だったよって
僕の1日も君の1日にしても 無駄な1日など何ひとつないから
悲しいことさえ消えないけれどきっともう少し歩けばまた笑う僕と出会える
切なささえも引きずって 家に帰ってく人たちのその瞳に映る夕焼けは
確かな足跡刻んでく
僕らを照らし まばゆいばかりの橙に染まる今日です
優しさが押し寄せてくる
切なさが押し寄せてくる
引いてゆくのは仕方ない
悲しいけれど今日の僕とはさよならだ
僕の1日がまたひとつ終わる 終わるよ
なんとなく笑ってみた
黄昏包む部屋の中
やがて夜がやって来てあとはただ 夜明けまで夢の中で待ちぼうけ。
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ゆっくりのんびり
歩くのと
せかせかイライラ
歩くのじゃ
話が違う
同じように生きるならゆっくりのんびり生きたいよ
何かに縛られ生きるけど たまには自由に歩きたい
悲しみひとつ手のひらに乗せてみる
思い出すと大したことはなかったと笑う僕がいる 昔話は輝いて 今の僕の愚かさを教える
急いだり慌てたり
急かされたり
めんどくさい世の中だな
それでも歩く
僕は歩く
人生の行き止まりまで歩く
疲れても歩く
飽きても歩く
独りでも歩く
歩く 歩く
歩いて 歩いてゆく
歩いたその一歩一歩が人生だ
通り過ぎたその一つ一つの景色が地図になる。