詩人:どるとる | [投票][編集] |
扉を開けば そこは知らない世界
あしたのあしたのそのまたあした
まだまだ 夜も明けないうちに僕をときめきさせる
なんて素敵な世界なんだろう
大して何もない 金もない 夢もない
それでも どこかしら希望に満ちてる
そんなあしたのあしたのそのまたあした
時計の針がいつものあの時刻を指し示せば 夜明けが来る
窓の外がもしも雨でも
瞼の裏には僕だけが見える 晴れ渡るあしたがあるから 悲しみなどないようなもの
あしたのあしたのそのまたあしたへと
流れる雲は 細くたなびいて 少し悲しそうに夜には 闇に隠れて 見えないが きっとあの闇の中で泣いていることだろう
そして 全てが全てに別れを告げて 僕の今日が扉を開けた その時にあしたはいつもの顔を出して 笑うのさ
そこにはなんのわけも意味もないけれど
最初からそんなものはいらないね
意味などなくても
僕らはここで
意味の意味を築く
理由などないから
僕らはただありふれた暮らしに身をおき
海や地平を描き
テーブルの上で湯気をたてる
コーヒーやあくびする猫たちに 幸せを見るんです
あしたのあしたのそのまたあしたにまで
期待を寄せる僕らのあしたのあしたのそのまたあしたは誰にもわからない
扉を開けば そこはいつも知らない世界
入り口はあるのに
出口はない
夜と朝があるのに
時間が壁になって
自由に行き来できない
だから僕らはあしたになるまで あしたと呼んでいた今日で あしたやろうとしていたばかばかしいことをやるため あしたへ行く あしたもあしたのためだけに
あしたのあしたはあるんです
あしたもあしたがあるんです。
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僕の居場所は 今日も明日もここだけ ここだけです
箱庭のような ちっぽけな どこまで行ってもおんなじ景色が続く
道なき道を 掘り進む
たったそれだけのファンタジー
ご苦労さまと労われ
小さな労力をつかう代わりに 僕らは小さな金を稼ぐ
箱庭の中の 生態系
箱庭の中の 太陽系
まだまだ世界はさなぎです 蝶になるにはまだまだずっと先
この時間の果てで
この道の向こう側で
新たな 世界へ 重なって 時代が時代へと脱皮すりゃ あなたの頭の中にある 想像も見る間に変わるだろう
ただ、僕は動けない
僕のいていい場所はここだけ ここだけさ
地図なき旅を強いられる
痛みも伴うファンタジー
箱庭の中のファンタジー
神様はいつもご不在さ
救いがあるような
ないような
鳥かごの中のフリーダム
啄む餌には事欠かない
嫌々 生きてる人でさえときめかずにはいられない
もどかしいほどのファンタジーがここに。
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月があんなに丸いのは
今日まで朝を食べてきたからさ
だからごらん あんなにお腹が膨れてる
太陽があんなに丸いのも
今日まで夜を食べてきたからさ
もうこれ以上食べられなくなるまで食べる
どんな悲しみも
どんな喜びも
明日になれば
また忘れて
空っぽの心で
泣いたり笑ったりする
それを幸せと呼べるなら当たり前なんてない そう心から言えるんだ
丸く太ったあの月に
そんな物語を見るのは
毎日がつまらないから
どんなきれいな星空の下でも戦争が起きて
人が死んでいるような毎日に少しでも
光が差し込みますように僕は想像と戯れて遊ぶ
月があんなに丸いのは なぜか知ってるかい? 僕がね教えてあげるよ
笑うことを知らない人に
笑い方を知らない人に
夜の闇の中に ほんの少しでも 明かりが灯るように 花が咲くように。
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僕は見ている 内側から外側の世界を
僕が僕を見ている 心の中から自分を
鏡と鏡 向かい合わせて映る 世界
そこには何ひとつ本当のことなどなくて
全てが嘘 まやかしさ
それでも 僕らはいつもあるひとつの法則に縛られ 生きてる
とある日付 とある時間 とある場所に 生まれた なんの変哲もない命が 紡ぐ物語をただ 最後まで見届ける
机上の上の空論としての 夢やロマンに明け暮れて
擬態する虫のようにたまにはズルく すり抜けて 誰かの悪さをまねてみる
合わせ鏡で見る世界
本当も嘘も何もない
何もないのに全てが
本当みたいに見える
それでも時々 頭の隅を掠める あからさまな嘘がきらめきながら通り過ぎていく
そこにいる僕と
ここにいる僕が
お話しながら
これからの
行く末を懸念する
あちらの世界は見えずとも あちらに行った人たちがいるように そこには確証がなくても見える世界の片隅で見えないものが見え隠れ
合わせ鏡で見た世界
青を緑と緑を青と
呼ぶように 見方は様々 見え方も色々
ひとつに拘らず 縛られず 歩いて行く僕らは本当の中の嘘や嘘の中の本当をあたかも見えているかのように愛してる
君も見ている こちら側からあちら側を
そして少なからず関わってる 他人の痛みや人生に
鏡と鏡 向き合わせるように
心と心 重ね合わせて見える
合わせ鏡で見る世界
合わせ鏡で見た世界
そこには何が映る
そこには本当が映る
本当のことより美しい本当の嘘が見えるんだ。
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僕は ここにいるようでここにはいない
僕は いつかそうなればここにいただけの存在になる
見えているもの
見えないもの
形のあるもの
形のないもの
色のついたもの
触れるもの
触れないもの
愛も思いやりも存在しないのに 僕らは
それを 見ているし抱きしめている
目には見えない何かを 僕は 心の中で思い描く
愛もそこにあると思えばそこに生まれる
希望も見えないのになぜかそこにある
目には見えない色々を 僕は 目の前にして笑い泣いてる
悲しみの中にも安らぎがあるならばそれは目には見えない優しさや思いやりだろう
目には見えないものたちに僕らは 絶え間ない期待を寄せている
肌には触れられないものにさえ僕らは痛みを感じている
それは酷く透明な感情
風が僕のほほを撫でるように そこには確かに 目には見えないものでも 存在している事が わかるんだ
空気を空気と呼ばないで
痛みや気持ちから目をそらさないで
そこにあるはずの見えない感情に 胸をざわめかせ この身を包む 風の中に立ち
そして叫ぶんだ
目には見えないだけで 目の前にそれはあると。
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さっき捨てたはずの
さみしさがまだ残ってる 夕暮れの空 窓の外のぞく
僕はあいかわらず
わがままで身勝手で
だけど自由で
笑えるだろう?
いつもの帰り道
なのにいつもとは
どこかが違う
月のきれいな
帰り道 泣けてきた
何かが悲しくて
でも何かが
同じ位
嬉しくて
生きることに精一杯
生きるだけで目一杯
あとはただ眠るだけ
どこかが恵まれている
でもどこか
同じ位
損してる
歩くのに精一杯だ
歩くだけで目一杯だ
あとはただ倒れるだけ
ほら見てごらん
幸せが窓の外
のぞいている
ひどくありふれてるけれど そんなものだよ
わかったらさっさと寝ることだ
明日は 笑えるように
明日こそ笑えるように
今日よりあの月がきれいに見えますように。
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夏の陽射しが 照り返す ひまわりの咲く坂道を僕らは上る
8月は一番 傾斜がきつい いきなりの暑さに驚きを隠せない
それでもいつの間にか 肌を伝う汗も消え 過ぎ去った夏を思う
あなたの声がする
あの縁側に風が吹く
全ては夢を見ていたような
全ては僕が見ていた夢のような
夏の陽射しを 浴びながら 咲くあのひまわり 黄色く揺れる
過ぎ去ってしまえばさみしいものだと
小さくこぼすあなたのからだにはまだ汗がにじむ 夏はまだ来たばかり
太陽よりも輝いて
誰の目にも
優しく映る
ひまわりの咲く坂道を上る。
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今日 死んでしまう
人には 見えない
今日しか咲かない
ひまわりがある
ベッドの上で冷たくなって 動かない時計を抱きしめたまま
文句さえ口にしないあなたのひまわりは小さな種を残して
お空へ旅立つ
いつか死んでしまう
人にしか見えない
百年しか咲かない
ひまわりがある
無理に笑ってる
世の中の中の中
探ればいつかは
見つかる そんな
人の中の中の綻び
たった一度の夏さえ
飛び越せない命でも
さなぎから蝶になるように僕の中からあなたの中から 一生ぶんの喜びやときめきがあふれ出すのを感じるよ
いいんだよ 今日しかないときめきでも
いいんだよ 今日しか見えない太陽でも
いいんだよ あなたしか知らない喜びでも
そこにひまわりが咲くのならいいさ。
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ギラギラと輝く
あの太陽が夏を連れてくる 連れてくる
ビーチにたわわな実がなる
もう僕の目は釘づけ
下心だけが ほらねあふれている
ほほを流れる汗
拭えば ああ
それだけでもう
僕の心は夏モード
ほらね あらま 小麦色に焼けついた 肌を のぞかせてるのは魅惑的な天使たちさ
もう たまらないね 踊り出してしまいそうさ サングラス越しに 雲が流れ 青い空が果てなく広がる
隣には 彼女はいない
それでも夏が来れば自然と心踊り出す
そして街ははじけるような夏モード
それだけでもう誰もかれもが夏モード
打ち寄せる波と
砂浜に残る足跡
そして日焼けのあと
暮れゆく空には
誰かの失恋の痛手
夏は少しずつ
勢いを増して
やがて 夢幻のように消える 陽炎に似て儚げ
君のほほを流れる
涙に気づいた時
僕は後ろから抱きしめてしまってたよ
それだけでもう
夏モード
僕らの心
夏モード
踊ろう 騒ごう
泳ごう ラララ
夏モード!
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夜の中に閉じこめられたままの僕は 独り何かを探していた
歩くのもやっとで 希望なんか見えなくて いやなことばかり考えてしまうよ
電気の消えた暗い部屋
窓の外の誰かの笑い声が象る幸せな様を羨みそして憎む日々
アパートの重いドアを開けて 冷たいノブを回して ただいまだけが独り言のように口からこぼれる
お帰りなさいは返らないよ
なにが悲しいわけじゃないけれど それなのに胸の中に 切なさがあふれているんだ
重いドアが後ろで静かに 下界との隙間を断つ 僕はその時 言い知れないむなしさに泣くんだ
ばらばらになった心のかけらを ひとつ残らず拾い集めて またばらばらになるのを知りながら雨の降る悲しみの中へ足を踏み入れる
窓の外に広がる暗い暗い夜を見つめたまま動かないこの瞳は見えなくていいものまでも映すよ
あのドアをそっと開いて 目もあけられないほどの光が僕を包む 朝に出会うまで
重いドアはけっして開くことはなく 物言わない鉄の塊になる
役目を果たすだけさ 僕が開けないかぎり重いドアは重いドアのまま 僕の心と世界の一切を隔てる
まぶたの裏の青い海を 泳いで 夢の岸辺から 現実の沖へ上がるまで 僕は目の前のありもしない幻と楽しそうに戯れるよ
そんな夜は そんな夜は流した涙を 取り戻すため どんな小さな喜びにも笑うんだ
心が身体より先に死なないように。