詩人:どるとる | [投票][編集] |
余計なことは何も聞きたくない
いやなものは何も見たくない
無音の明日へそっと消えて行きたい 嵐の中で轟く雷鳴の最後の一撃みたいな
終わりを告げる合図のような靴音を最後の最後に響かせて
そして僕は明日へそっと消えて行きたい
何も聞きたくないと言ったけど愛する誰かさんの声は聞きたいし
何も見たくないと言ったけど愛する誰かさんの瞳は見ていたいし
だから僕は無音へは行けない まだ
命がつづくかぎり
明日がつづくかぎり
生きることを選ぶならば旅人の明日はつづく つづくよ
無音の明日へ行けないならせめて静かな夜だけはお約束していただきたいよ
それだけ手元にあるならばまだ笑える余地はあるから
騒がしい昼と静かな夜に守られてほら僕は幸せ
嗚呼 いつの間にか自分の中で途方もない夢は夢のままに消えた
もとの鞘に戻るようにほら今はもうない夢。
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真面目なのに
真面目なのに
バカって僕のこと
真面目だけど
真面目だけど
バカなのが玉に瑕
ああ 神様は人間に二つの才能は与えない
だから僕は真面目の代わりにバカという短所がある
厄介だよ
真面目なのに
真面目なのに
バカだなんて
バカだなんて。
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片手でも両手でもぬぐえない悲しみを誰もが抱えたまま
いくつもの長い夜を涙流して繰り返していくんだよ、ああ悲しみは今日も人の上に降り注ぐ
世の中の悲しみにまだ触れて数年
それでも僕には十分すぎる年月
何が悲しいのだろう
全て悲しいのだろう
目の前にある悲しみ
その後ろで列をなして順番待ちのように次々と僕を涙させる悲しみたち
僕は悲しみに殴られて心も身体もボロボロ
まるでボロ雑巾のように汚れきっているよ
世の中の隅っこにはじかれて時に誰かを憎んだり僻んだりしてしまうけど多少は許せ
悲しみが悲しいのさ
ほら僕を濡らす
今宵もまた心は雨降り
そんなのあたりまえだなんて簡単にまとめないで
これでも悲しいんだ
ほらまた涙の雨が降り出すから
生まれたという運命を
生まれてしまったという運命のいたずらにもてあそばれている
時々そんなふうに思ってしまうけれど
なぜかな楽しいときは楽しいよ
そのいたずらに感謝してしまうほどに
僕らはまるで雨粒のような存在なのさ
空から落ちて地面にはじけるまでのあいだを生きてるんだ
そしてやがては落ちた滴だからはじけてしまうね
人の上に今日もあたりまえに悲しみは降り注ぐ
大小あるけれど
誰の上にも悲しみが
どんなずるいやり方したって避けられない
悲しみだけは
悲しみだけは
悲しみだけはね
心の中に立てかけられた勇気と根性という傘を我慢という力をつかって開かなくちゃ
悲しみをまともに受けたらひとたまりもない
僕はただそんな空を見上げて無常感に沈むだけなのさ
雨音に少し似た人々の嘆きを聞きながら
僕も悲しみを素直に涙という形であらわす。
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笑って笑って笑って出来ることなら生きていきたい
だけれどそんな夢みたいな希望だけでは生きられない
そんなことわかっているよ
だけれど僕はそんな希望を信じていたい
だってそうしなきゃ生きられない
だから笑って笑って笑って笑って生きるのだ
悲しみ笑い飛ばすように
笑って笑って笑ってバカみたいな自分で行こうよ
構わない 構わない
笑えるならば
そうさ笑って笑って笑って笑って笑い納めまで笑えばいいんだ
きっと悲しみもいつかは呆れてお帰りなさるだろう
笑って笑って笑っている未来はとても楽しいはずなんだ
だから笑って笑って行こう どうせ悲しみは永遠に消えないなら どこへ逃げても逃げきれないなら笑っていくことで心から元気になって行こうじゃないか みんな
悲しみは消えない…
だから涙もやまない
だけれど笑顔をどうか忘れないで
悲しみを偽るためのつくられた笑顔じゃなく悲しみを乗り越えるためのつよい笑顔を手に入れよう
さあ 浮かべよう
つよく笑って笑って笑って笑って行こう
くたばるまで
さあ 笑顔はいつでもすぐそばにあるのさ。
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ほんとうのお母さんじゃないから
お母さんと呼べなくて
ほんとうは呼びたくて
だけれどおもちゃに溢れかえった部屋の押し入れにそっとしまわれたアルバムの中の写真に写るずっと前死んでしまったほんとうのお母さんを忘れられなくて
世界でただひとり
お母さんと呼べる人は死んでしまったお母さんだけだと心を閉ざして
お母さん…
そんな言葉って誰にも優しい響きをもつ言葉のはずなのに
僕には悲しい悲しい言葉になってしまった
お母さん…
今 元気ですか?
新しいママはとても優しくしてくれます
あなた以上にもしかしたら
でも優しすぎて 僕にはね
いつか 覚えてるんだ
僕がお父さんに叱られて泣きじゃくってた時
あなたはそっとそのあたたかい胸で抱きしめてくれた事
何も言葉はなかったけどそれだけが嬉しかった
今はもうあなたはいないけどあなたを忘れやしないよ
季節は幾度となくあなたが死んでからもめぐり街も建物も何もかもが変わってゆくけれど
あなたと過ごした記憶は忘れないよ忘れないよ
忘れたくないんだよ
いつまでも鮮やかなまま
優しいだけじゃない
優しい厳しさを教えてくれたのはお母さん
あなただけ
でも僕は知ったよ
僕だけが苦しんでいるだけじゃないってことを
あなたの遺影の前で静かに涙する父の姿を僕は見たから
やっぱりお父さんの中でもあなたは生きていたんだね
ほんとうのお母さんは世界でただひとりあなただけだけど
今 僕は僕の目の前にあるこの現実を見つめるように僕に優しく笑いかけるこの人をお母さんと呼びます
あなたほどには…
そんなのあたりまえなことだね
だけれど僕にはもう
お母さんと呼べない毎日じゃ悲しいから
ごめんね 天国のお母さん
僕はあなたの代わりなんかいないけど
目の前で僕に微笑むこの人を守るよ守るよ
あなたを守れなかった僕だから今度は僕が死ぬまで。
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解き放たれて手にした生まれたての光
今 目の前に再び描きながら僕はこの世界に生まれたことを幸せに思うから
どうかそれに見合う喜びよ降り注げ
僕の頭の上に果てしなく広がる空の彼方から
走り出した瞬間の疾走感を忘れないで
そうさ そのままそのスピードからだんだんと自分の世界を広げてゆくんだよ
闇を裏切って闇から抜け出した黒い光
僕は今はもう光に目がなれてしまった
都会のビル群もアリのように人々が密集したこの街にも馴れさせられてしまったよ
失われたものがあるなら同情や優しさやぬくもりやその他いろいろ
たくさんあるけど僕なんかが口にしたところで何が変わるわけじゃないし
黒い翼をはためかせながらも心はいつでも真っ白な
堕天使は今日も夜空にきらめく星の美しさに涙を流す
黒い肌に流れる白い涙
今日も明日も堕天使の心で行くんだ
僕は善でも悪でもない旅人になるよ
行ったり来たりの日々
時には罪だって犯すかもしれない
それでも堕天使は今日も明日も忘れない
感謝と罪を犯したことへの申し訳なさ
きっと堕天使は誰より人間になりたいのさ
ただその形が不器用だから誰かを時に傷つけてしまうだけ
だけれど僕は決めたんだ
明日もずっとずっと先の未来でも今のまま生きていくと
堕天使の翼はためかせながら夜の街、銀色のビルをスライダーみたいに滑降する
黒い光 今 胸に感じてる
時々自分が自分じゃなくなるよ
だけれど忘れないよ
デビルマンみたいに
悪を裏切り正義へと生まれ変わった
そんな生き方は僕にはできない
永遠に悪と善をさまようかもしれない
だけれど僕は誓うよ
それでもきっと僕は僕でしかない
それなら僕以上にはならないと
だから僕はきっと悪以外は傷つけない
堕天使の心
今 光った
黒じゃなく
白く白く
今 光った
堕天使の 堕天使の心。
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どこまでも真っ青で透き通った鏡みたいな空に映った
ひとりぼっちの孤独な自分の影と抱える悲しみの大きさを物語る涙
空は心以上に人の心の内を見透かす
ほらまた空は僕の悲しみを見事にかすかなその色合いだけで当ててみせた
水たまりひとつさえ飛び越せない僕には
お似合いの未来だね
見渡しても美しさのかけらひとつ転がってないよ
そして今日も僕は空に問いかけてみる
ねえ 今僕が生きているのは正解なのかそれとも間違いなのかを
それでも空は何もこたえずただお得意のいつものすまし顔でごまかしたまま
どこまでも真っ青なあの空のように
僕の心もただ真っ青く染まっているよ
笑っているのかな
泣いているのかな
西高東低の気圧配置
天気はいつも変わりやすい空の顔
僕はただ眺めながら明日の天気 自分なりに占ってみるのさ
明日はきっと大降りの涙が降るでしょう
一日中 やみません
長い長い時間の果てに何を求めているのかな
ただ安らぎだけを求めているのかな
空の顔をうかがいながら僕はちょっと微笑んでちょっとだけ皮肉って
夢の中へ今夜も直行
郵便屋さんより早く僕は夢の夢の夢のそのまた夢の中へ
意識ごと直行さ
ただ明日も同じような一日であることを望むばかり
なんて平和な願いなんだ
でも切実な願いだ
ああ どこまでも
どこまででも真っ青な空に飛行機雲がきれいな直線を描いてやがて消えた
「命はいつか生まれ
いつかは消える」
そんなまとまりのない言葉で終わる一日もいいね
あんなふうにきれいに死ねたらいいね
とてもとても素晴らしい一日
今日は多分きれいな星空が見れるだろう
なんてね僕は笑う
ひとりぼっちの部屋
ひとりぼっちで会話
投げても投げても戻らないコミュニケーション
夜空に消えてゆく
立ち上る煙のように
夢の中まで夢で満たして僕は空に鼻歌おくるのさ。
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晴れた空に
肌寒い風が吹く
街路樹の木々も
もう丸裸
道は葉っぱで埋め尽くされた
ハナウタ混じりの散歩道
ふゅるりらら
僕も聴いたことのない唄だ
いつもみたいに
元気では乗り越えられない壁
今目の前にして
どうしようかと
悩んでいる
悩んでいる
その途中なのさ
ハナウタ混じりの散歩道
いつもなら楽しいはずなのに今はああ悲しい
一歩一歩が苦しいよ
絶望の谷底へといざなわれてるようで。