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どるとるの部屋  〜 投稿順表示 〜


[4577] 透き通る
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どんな嘘も全部 透き通るような夜さ
どんな言い訳も全部
透き通るような夜さ

僕は 涙の中 水たまりの中 酸素を探して 海を漂う

魚に聞いても 鳥に話しても わからないものはわからないまま
ただ闇を残すだけ

今日逝ったあの人の最後を 飾るにふさわしい賛美歌 声も透き通る

そしてまた生まれる命が まだ汚れひとつない声も透き通る

僕は手のひらを広げて 汚い自分の手に気づき 振り返り 少し昨日より透き通る

昨日より透き通る。

2012/12/30 (Sun)

[4578] 雨に歌えば
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今日の幕が上がって
僕はドアを開ける

雨に歌えば 生まれる儚いその一粒に込められた大きな意味

新しい朝の向こうに
光溢れるように。

2012/12/31 (Mon)

[4579] ふつうの暮らし
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なんでもない時間さ
ろうそくの火のよう
風が吹けばたちまち
消えてしまうだろう

覚えていたって
忘れなくても
いつかはみんな
たどり着いてしまう
行き止まりのその先に

夕陽がまぶしいのや
朝日がきれいなのも
夜空に流れた星も
全部いつかは

追いかけているものはどこにでもあるふつうの暮らし
部屋の中 瞼の裏
見えない場所に
気付かぬうちに
生まれてる幸せが
君に気づいてもらえるのをいそいそと待っている

くだらない会話を
続けて見えるもの
風向きを変えながら
動き出すジオラマ

笑い飛ばしたって
見ないふりをしたって
やがて降りる駅に
たどり着いてしまう
そしてさよならのドアが静かに開く

泣き笑い 背中合わせで喧嘩したこと 何ひとつ忘れてしまえばいいことなんてないから

見つめていたいものは河原の石のようにちょっとずつ違うそれぞれの暮らし
ドアの外 隣の誰か
夢から覚めたように
君はそっと勤めを果たすように消えたけどまだ面影はいまもここにある

ふつうの暮らしも当たり前って言葉で囲わなきゃ きっと幸せで満ち足りているだろう

だから望むものなんて最初から何もない

ただ側にいてほしい人がもういないってだけで僕はさみしさから逃れられない

なんとなくぼんやりしていると いつの間にか君の匂いがして
さっきまでそこにいたような
そんな気持ちになって 見渡すけどそんなはずはない現実に
涙を流さずにはいられない夜に気づいて
窓越し 映る部屋
うなだれる僕だけが世界に取り残されたような気分になる

それでもつづくよ
ふつうの暮らし

幸せの価値を曖昧にしたまま
次の駅へと時の電車は進む。

2012/12/31 (Mon)

[4580] 引き出しから世界
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引き出しを開ければ
忽ち色んな朝が
色んな夜が
あふれ出す 夢

くだらない会話の
端々にも見える愛
移ろって陰って
素知らぬふりで
僕の機嫌をうかがう

引き出しから 飛び出すように世界が僕に迫ってくる
引き出しから はみ出した小さな世界が僕をのぞき込んでる

弾むような音色に
僕は五感研ぎ澄ます
季節の色は無限色
きれいさ

馬鹿らしいやりとりの中にも確かなロマン
さまよって肖って
何気ない風に
装い僕を試す君

引き出しから 見え隠れする白と赤と緑の季節 春はまだ
引き出しから あらわれてまた引き出しへと消えてく全て

引き出しから 飛び出すように世界が僕に迫ってくる
引き出しから はみ出した小さな世界が僕をのぞき込んでる。

2012/12/31 (Mon)

[4581] 帰り道
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冬の道 帰り道
僕は独り
木々が裸になったみたいだな 冷たい風にふるえてる

木々がなにやら会話しているみたいだな

何を話してるのかな
なんか気になる帰り道

さみしさ連れて歩く
連れ帰るのさ
涙まで。

2012/12/31 (Mon)

[4582] 日陰者
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明日は雨かもしれない
希望は暗い影に隠れてここからじゃよく見えない

忘れ物ばかりだ
なくしてくばかりだ
さよならの音色が
聞こえてくるような
神様の指先ひとつで
全てが変わるような

目の前に用意された難解な計算を紐解いても
まだわからないものはこの世界に腐るほど散らかっている

世界は鏡だから
人を通して
己の悪が見える
そこで微笑む
愛の裏側
つまらない
想像かき立てれば
無限に生まれる
疑いの卵
割れて顔出す
所詮僕らは日陰者
世間の陰に隠れながら光を求めてはいけないのさ

うら寂しい街の静けさに 夜を浮かべてる世界の顔に 争いは消えずつまらない
ニュースの滝に 落ちる命 重ねて見えた現実は値段をつける価値もないさ

ああ 生きてく不思議とか笑える不思議などに 答えはあるのかないのか

とりあえず旅はもうしばらくつづく

骨突き破り 臓物えぐる 物語の傍らで
幸せそうに笑うあなたのその横顔だけは変わらない

ずっと僕を照らしてる

日陰者に残された
最後の光に相違ない。

2012/12/31 (Mon)

[4583] 潜水艦
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深い海 深海にも都市が広がり それぞれの暮らしがある

青い海 魚のように口を開けながら 餌を頬張る人の暮らしが

ここには幸せが
ここには悲しみが
波紋を広げて
やがてたどり着く
岸辺までは

深海何万メートルまでつづくいくつもの人々の記録
DNAが伝える かつての誰かの癖や仕草
短い生涯を閉じても何かまだわかることがある

深海の暮らしは
僕らの今に通じる
何万何億という
重みのある
時の果てに今
僕らはいて
これからも
そんな時の繰り返しがつづいていく

今はまだ世界の旅の途中 だけれど僕らはそんな世界の切れ端さえつかめないほど何も知らない

ただ泳いでいくことにだけ 価値を見いだすように とりあえずできることだけを

何かのためになるようにと
誰かのためになるようにと

小さな一歩に
思いをあずけて

いくつもの
海を渡る

潜水艦からの眺め
それがこの景色

色んな気持ちが
見えてるように浮かぶ

悲しみや喜びさえ血を見るようにリアル

痛みさえ確かに伝わる だから見えないものさえ形を成す。

2012/12/31 (Mon)

[4584] 春を待つ蕾
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小さな蕾の中に
一年ぶんの悲しみが
一年ぶんの喜びが

いつもの道の途中
色んな人の人生が
色んな人の涙や笑顔が

水たまりに映る今日
小さな虹をつくった雨上がりの街
駅の側立てかけられたさび付いた自転車に僕を重ねた
すっかり色あせて
勤めを果たしたような姿に

膨らんだ蕾は 春を待っているのに 僕の瞳には光はないよ
夕暮れ 赤茶けた空に 明日を思い描いても笑顔ひとつ浮かべられないんだ

一輪の花の僕は 降りる駅を知っている だけど降りなかった
白い雪に埋もれたり 雨に濡れてみたけれど答えは見つからなかったんだ

春を待つ蕾は 花を咲かすためにあるのに

僕は咲かした花を枯らしてしまったのさ

知っているんだ僕は
知りすぎているくらいに

それでも きれいにあなたの瞳に映れない

浮かない顔をしたままうなだれているよ

あなたは知っているのか?僕の何を

後ろ向いたまま 萎れたように夜に紛れて

届かない何かを 掴めない何かを
追いかけて たどり着いた明日には

誰も知らない虹が架かる そして朝日が照らした世界には希望はあるだろうか

神様のいない世界では僕らだけが全てで
春を待つ蕾は何もいわずに時に花を咲かさぬまま散る

僕は相変わらず
曖昧な日々を暮らす
昨日と今日を行ったり来たりして たどり着けない明日を探す

動かない時計の中
モノクロの冬の中
泡沫の夢の中

こたつに隠れては
窓の外の世界に
憧れる猫。

2012/12/31 (Mon)

[4585] 夜の最果て
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行きたいな 夜の最果てがあるのなら
悲しみや喜びは夜の最果てへと流れる

暮らしは暮らしの中
折り重なるでもなく
花びらのように
隣り合って並び立つ
ここで賄うさ
終わりも始まりも

夜の最果てへと 船を漕ぎ 目指す
オールは心だよ だから頼りなくて
それでも信じられる勇気がある

夜の最果てへと 翼を広げ 羽ばたく
風を巻き起こすよ 大地が背中を押す
そうだよ疑いようのない愛がある

行きたいな ロマンだけ憧れだけで
悲しみも喜びも越えていけるんだ

さあ 夜明けは今
猫も走り出す
塗り替えてしまえ
つまらない世界も

誰も千の夜を超えて
たどり着くその先の世界

一歩踏み出したら
そこからが新しい世界

夜の最果ては 夜の夜の最果てさ

跨ぐように 飛び越えて たどり着いたその場所で誰もが描くのさ
自分だけの朝。

2012/12/31 (Mon)

[4586] 無限翠i遠
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色んな色がある中で
僕は一体何色だろう
色んな形がある中で
僕は一体どんな形?

色んな音がある中で
僕は一体どんな音
色んな手触りがある中で僕はどんな感触?

この何色でもない思いが奏でるのは景色
必ずしも耳に届く
音色ではない

何色に染まれば
僕は僕だということを思い出せる
わがままに揺れれば
忽ち空が割れて
宇宙が顔を出し
全ての謎が解ける

それでも僕は
無限の中でも
限りを抱きしめてる
だから散りゆく命
だから過ぎ行く時
それでも僕は
永遠を知っている
例え形はなくても
ずっと消えない思い
ずっと腐らない魂

それは言い換えれば
ひとつの賛美歌
君に降る時間

消え去ろうと
燃え尽きようと
永遠の中にある
ただひとつの無限。

2012/12/31 (Mon)
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