詩人:どるとる | [投票][編集] |
ああ 言葉にならない気持ちになったとき
人は深い深い感嘆の溜息を吐くんだね
ああ 本を読み終えた時に似た気持ちさ
何もかもを悟ったような気持ちさ
何かの始まり 或いは終わり
誰かの始まり 或いは終わり
ほら見てごらん路地裏
屋根の上赤く燃える空 もうじき日が落ちる
うれしいときは 素直にうれしいって言いなよ
悲しいときは 嘘をつかずに悲しいって言いなよ
見た目よりずっと脆くてか弱い
君の心はまるでびいどろ すぐにひび割れる
時には優しさに寄りかかり 弱い部分を見せて
傷跡にさわらせて心さらけ出して
ああ 目を閉じるときの闇のようなものさ
一瞬で過ぎるよ 痛みも安らぎも果ては人の命も
ああ 眠りに落ちれば誰もがひとりさ
そこには悲しみも喜びもないのです
物語の始まり もしくは終わり
永遠の始まり たとえば終わり
ほら見てごらん 胸の中 まぶたの裏 ひも解けばすべてがまやかしの類 目に見えぬ幻
寂しいときは素直に寂しいって言いなよ
辛いときはねえ 辛いって誰かに頼りなよ
誰かに愛されてないとすぐに寂しがるくせに
強がってる 君はびいどろ とても崩れ易い
世界にただひとりの人に 世界にただひとつのものを届けるように それは形を成して やがて出来上がる
それが「愛」だよ
見た目よりずっと脆くてか弱い
君の心はまるでびいどろ すぐにひび割れる
時には優しさに寄りかかり 弱い部分を見せて
傷跡にさわらせて心さらけ出して。
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公団団地の陰に隠れて
雨宿りする午後の昼下がり
カタツムリの気分で葉っぱに紛れて
雨粒と一緒にリズム奏でるマーチ
悲しかったり嬉しかったりする
ただそれだけの物語を僕らは
泣いたり笑ったりしながら
生まれてから死ぬまで続ける
ただそれだけの物語の中で僕らは
それぞれの音を奏でるマーチ
つぶれたパン屋のシャッター
ショーウィンドウに映る昨日までの僕ら
何者でもなく何奴でもない 僕らは
ただの音の塊 雨粒に重なる命
寂しがったり 歌を歌ったりして
暮らしてく ただそれだけの生き物
ばかだって呼ばれてもそれでも
ばかはばかなまま生きていくさと
鼻を鳴らして歩いているよ
ただそれだけの物語の中で僕らは
ありふれてるのに素敵な音奏でるマーチ
ほら 雨もいつの間にか上がり
雨宿りしてたカタツムリは
ずんぐり頭を 空の下に出してほら
うれしそうに笑うのさ
さあコロッケ買って家に帰ろうっと。
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光れ光れ 暗闇を切り裂いてその先の未来を照らし出せ
望遠鏡で覗いた世界は何処までも
広く果てしない草原のようだった
蹄を鳴らして 野を駆けるペガサスの
鬣が風に揺れるその様をイメージして
はるかなる明日への扉開こう
光れ光れ おまえ自身が発光体になって その先の未来へ 走って行くんだ
駆け抜ける光の速さで すべてを照らし出す 叶わぬ夢も鼻で笑っていざ進まん
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見えない暗闇を照らすのはなんだ
今よりずっと先なのに道は一本道で
ずっと続いている
地球は丸いから何処までも平行線さ
人はいつも目に見えない何かと向き合って生きているんだ
人はいつも聴こえない何かを聞き取って生きているんだ
それはまるで未来を照らし出すサテライト
悲しみも喜びも見え隠れする痛みも
すべての闇を照らし出す眩いレーザー光線
叶わない夢などないと本当は歌いたかったんだろう
歩き続けて何処まで行くというの
いくつものそれからを繰り返して
扉の先にはまた
扉が続いている 何処までも同じ景色
人はいつも ありもしない不安にさいなまれ生きているんだ
人はいつも 形のない何かを抱きしめて生きているんだ
それはまるで未来を映し出す サテライト
切なさも消えることのない傷跡にも
いつかさよなら出来るのかな ねえサテライト
出来ないことなんて何もないと強がっていたかったのに
未来は希望であふれてるんだって笑っていたかったんだ
気づけばまた深い夜が視界を包み込んで
何も見えないはずの世界に 悲しみは
依然として存在する
それはまるで未来を照らし出すサテライト
悲しみも喜びも見え隠れする痛みも
すべての闇を照らし出す眩いレーザー光線
叶わない夢などないと本当は歌いたかったんだろう
未来はいつでもきれいなはずのものだって信じてもわるくはないだろう
たとえば未来が暗いなら僕らが光になって暗い未来を照らせばいい。
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夕刻の田畑に
うねる稲穂
風の手のひらが
撫でている
優しくなくてもいい
恵まれてなくてもいい
ただ健やかに
生まれてきてください
ただ穏やかな
人になってください
広い広い海を泳いで
母のお腹から
生まれてくる
小さな小さな
命の産声が
今この世界を
揺らしました
今この胸を
揺らしました。
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愛していると言うことは簡単だけれど
愛することは簡単にはいきません
抱きしめた時に伝わるぬくもりだけが
信じられる唯一の愛と知るのです
優しくするだけなら簡単さ容易い
でもそれだけでは愛は伝わりません
言葉にしてもなんだか信じられない
信じられるのは変わらない眼差し
言葉だけではどうしても足りない
愛なら その燃える手で抱きしめて
君は宝物だと 耳元でささやくんだ
大事なことは目に見えないこのぬくもりが
言葉の代わりに君を愛してくれる
ああ 君は愛されてるよって気づいてほしくて
ああ 僕は愛してるんだって気がつきたくて
目に見えない ましてや聞こえもしない
愛ならその手に通うぬくもりで
愛していることをまっすぐに伝えるよ
この世界でただひとりの人のため
僕はここにいるよって強く抱きしめる
痛みと引き換えに授かった命なら尚更
愛されることってこういうことだって
おしえてあげたくて
ただあなたの唯一になりたくて。
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ありがとうって言われたら
なんだかうれしくて
言葉に出来ない思いが胸を駆け巡る
愛してるって言われたら
なんだか恥ずかしくて
胸の真ん中がいやに燃えるように熱くなる
命の産声が ほら
聞こえるかい?
夜を渡って風にのって運ばれる明日へ
きらめく光の粒
キラキラ 輝く
生まれたんだね
生きているんだね
そんな当たり前が
今はたまらなく
うれしくて。
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やさしく流れる
五時のチャイム
誰かの手を振る
影が見えます
空の遠くまで
橙に染めている
あの夕暮れよ
今日僕が抱いた
邪な心まで
その色で染めてください
取り残されたように
独りぼっち 暮れゆく空を眺めている
寂しくないなんて真っ赤な嘘なんだ
今日も 置き去りにされたように ただ独り 自分の影とにらめっこしてる
悲しくないなんて真っ赤な嘘なんだ。
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夏草 揺れる
まぶしい陽射しの
中に見ていた
逃げ水は幻
きっと何もかも
過ぎ去れば幻だよ
誰かが言うのを僕は聞こえないふりした
回り続ける夏の日々
ただアスファルトに照り返す光
万華鏡映し出したような あの夏に置いてきた忘れ物ひとつ
この胸に空蝉のように残ってる
風鈴 揺れる
窓の外上がる花火
闇の中に咲いた
大輪の花
きっと美しいもの程 記憶からひとつずつ消えて行ってしまう
そんなこと信じない
何かを追いかけていたような 何かに追いかけられていたような
そんな毎日の中に 刻まれた日焼けの痕が残した痛みに似た
二度とは消えないさよならが残ってる
蝉しぐれの雨が鼓膜を濡らす
やがていつの間にか知らず知らず
遠ざかるその音色に
耳をすますことを忘れて僕ら
また何か大切なものをなくした
回り続ける夏の日々
ただアスファルトに照り返す光
万華鏡映し出したような あの夏に置いてきた忘れ物ひとつ
この胸に空蝉のように残ってる。
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くすぶったままの
残り火 痛みに酷似した安らぎ
この耳を濡らすのは 音の雨
この瞳を染めるのは 無限の色彩
ああ 言葉は何かを置いてゆく
余韻のように刻まれる 消えない傷跡
それは生きる証。