詩人:どるとる | [投票][編集] |
それはまるでアズライトの光
近寄るものをさらに惹きつける光
それはまるで夢の形
いつか出会ったような懐かしい形
宝石とは名ばかりのちっぽけな小石にも
川底を転がって魚と戯れた記憶を持つ
いくつもの物語を秘めているそれは
宝石にも勝るとも劣らない輝きを放つ
生きているという光。
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木や草花に水を遣るように
見えないものには
愛を注いでやる
枝の一本一本葉の一枚一枚まで
行き渡るように水を遣る
どうか 優しくなるように
どうか 穏やかであるように
肥料の代わりに願いをかけて
陽射しの代わりに眼差しを注いで
手作りの不格好な如雨露片手に愛育む日々。
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辛いこともたまにはありますが
どうにかこうにか日々をつないでいます
どうしようもない何かにいつも
生きることを押しつけられているようさ
歩道橋の上から見えるいつもの街並み
ずっと向こうの空で沈んでく夕日
涙に滲んでぼかし絵のようだ
あなたの声に耳をすますと まるでこの世界には悲しいことなんてないように思えるんだ
あなたの 肌に触れると まるでこの世界には幸せしかないように つかの間の夢にひたれるんだ
今日も悲しいことがあったよ
傷もつくったよ
慰めておくれよ その魔法の声で
包み込んでおくれよ そのぬくもりで
消えてしまいたいと思った今日の僕を
全部嘘にしてしまっておくれよ。
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答えはいつも 淡くにじんで
日々の向こうのさよならを滲ませる
生きたいと思って
死にたいと思って
何度でも 立ち止まる 立ちすくむのに
まだ何かが僕には出来る気がしてさ
悲しみと喜びが 列をなして歩く カーニバル
それは一度きりの出会い つかの間のハピネス
カーニバルは終わらない まだ
やり残した何かを残してる。
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見えざるものと手をつなぐ
見えざるものとぬくもりを分かつ
それだけでいい
見えないものが見えるんだ
聴こえざるものに耳すます
聴こえざるものに心をあずける
不安なことなんて何ひとつないんだ
そこにあるものをただ其れと呼んでしまえば
きっと容易く命など この指の隙間から抜け落ちる
だから不器用な言葉と声で生きているって叫ぶのさ
それはまるで心を編み上げるように 少しずつ形になってゆく
いとしい光 あなたの足元をやさしく照らしている
語らざるものに何かを重ねる
語らざるものに手を伸ばす
それだけでいい
なんとなくここにあるってわかる
愛されざるものに まなざしを配る
愛されざるものの傍に寄り添う
「多分」とか「おそらく」なんて言うよ
そこにあるものの影を指差して 確かなものだなんて
なんの意味もないんだ だって僕ら悲しいほど摩訶不思議
だからわからないすべてをわからないまま抱きしめるよ
いつしかそれは光となってあなたの心に降り注ぐからね
まぶしい光 何故だろう目を開けたままでも平気さ
この手のひらに 生まれる熱は本物
だけどそれだけではあまりにさびしい
だから不器用な言葉と声で生きているって叫ぶのさ
それはまるで心を編み上げるように 少しずつ形になってゆく
いとしい光 あなたの足元をやさしく照らしている
あなたの命の輪郭を静かに縁取っている。
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生きることはいいことか
それともわるいことか
わからないまま僕はとりあえず生きています
死にたいと思うことと
生きたいと思うことは
どこか少し似ている
でもどこが似ているんだろう
追いかけている何かわからないものを
探し続けてる何かわからないものを
ずっと命の後ろ姿を その影を
追いかけている そして追いかけられてる
探し続けてる そして何かを見つけた
だけど何が正解かわからないから
間違いながら 躓きながら 今を生きている
生きることをやめてしまえば
きっとそれで楽にはなれる
だけどそれじゃ前には進めない
生きたいと思えば思うほど
遠ざかる生きることの意味
絶えず僕は問いかける 「どうして僕は生きているんだ」
生きることに形を与えてしまえば
きっと味気ない だから曖昧なんだよ
迷い悩み 苦しんだそのぶんだけ
僕は生きている実感を得ていることに
気がついて なんとなくわかった気がした
僕はいつも命と向き合い生きている
「なんとなく」でもいい
生きる為だけに人は生きているんだ。
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想像は空を飛べる
羽根こそないけれど
イメージするだけで
月へも行ける
ああ クレーターのひとつひとつに
思いを馳せれば ほら 月面を歩く僕の心
目蓋閉じて途端に広がる暗闇の宇宙
「僕はいつでも自由だ」
そう想うだけで心はこの世界の最果てだって飛んでゆける
ああ 星座盤の上に降り積もる想像は
誰かの予想をはるかに超えてゆくんだ
目蓋閉じた時だけに広がる大宇宙
「見えないのに見える不思議」
そんな浪漫を抱えたままの心が見上げた空には大きな月
さあ 今夜も想像の旅に出かけよう。
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店名のないレストランがあった
店先にはただ「さよなら」と書かれてた
僕はコックにすすめられるまま
席に着くと、メニューの中から
失恋という大皿を頼んだ
さよならの味はどう? 少し塩辛い
そんなこと言ってる場合じゃないのに
さよならの味が口いっぱいに広がる
同席したあなたは他人のふりをするんだ
そして僕らは失恋という大皿を
平らげたら もう会話もなく
割り勘で 別々の明日へ向かうのさ。
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涙が止まらなくて
どうしようもない
時にはね
ただ落ち込むだけ
落ち込んだら
また元気なふりで
笑って見せるのさ
明日まであと
どれくらい
どれくらいで
着くだろう
泣いたり笑ったりするそんな
当たり前な毎日を
僕らはただどこまでも繰り返してるだけ
それだけで いつか死んでしまうんだね
そんなことをふと考えて いつの間にか
涙が一直線に心を伝う
その時僕はひときわ
素直になれるんだ。
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悲しみってなんだろう
どこにあるんだろう
どんな形ですか
どんな色合いですか
喜びってなんだろう
どこにあるんだろう
どんな手触り?
目に見えるものですか?
僕らは見えないものと共存している
僕らは見えないものに囲まれ生きてる
僕らは見えないものもあると知ってる
僕らは見えないものの大切さを知ってる
その声に耳をすます
そのさえずりに
心を研ぎ澄ます。