詩人:どるとる | [投票][編集] |
誰かを好きになる気持ち一人抱えたまま
言葉に出来ない
あなたを遠くからただ見ているだけで
胸を膨らませていた
通学路すみれの花が いつもの道路脇に
咲いていたけれど
この恋はまるであのすみれの花のよう
密やかでもちゃんと
そこに咲いているんだ
いつか言えるといいな
そしてこの気持ち届けばいいな
「ずっとあなたが好きでした」
君に勇気を出して告白した日
覚えているかな 今はもう遠い日のこと
春の陽射しの中で二人はいつの間にか
寄り添って 同じ時間を生きていた
時々喧嘩して 時々すれ違うね
だけどすぐにまた寂しくなってお互いに謝りあって仲直り
不器用だけど いつでもあなたの幸せを
僕はいちばんに考えているよ
だけど難しいね 誰かを愛することは
だから、遠回りでも僕なりに 君を好きでいるよ
あの日、道端に咲いていたすみれの花を
帰り道一人 見た時に思い出したんだよ
あの日の胸のときめき はじめての恋
ささやかでもちゃんと
確かにそこに咲いてるんだ
目には見えない幸せの花
時折吹く風に揺れてる
「今もあなたが好きだよ」
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誰かを思う気持ちだったり誰かを気遣う気持ちは
ありふれているかい?でも大切な気持ちだろう
これだけたくさんの人がいるのにねえ
時に目の前で傷ついている人に
差し伸べる手を 持っているのに
僕らはどうして 素通り出来てしまうんだろう
人の心のあたたかさを知っている
知れば知るほどこんなにも
人が好きになるのに
どうして、見たくないずるさまで
見えてくるんだろう
目は反らせない
それもまた人だから
すべて分かり合えなくても
すべてを愛せなくても
憎めない 僕もまたあなた同様に悪に走る人だから
毎日のように 誰かが誰かを殺めたなんて
目を塞ぎたくなるようなニュースが尽きることなく流れる
どれだけたくさんの人がいても
そこに心がなければ意味はない
傷つく人を労る気持ち
悲しむ人を慈しむ気持ち 持っているだけじゃ手持ち無沙汰さ
人に傷つけられたこともある
人に蔑まれ 貶められた事もある
それでもきりもなく人と向き合い
人の優しさに包まれて 人が嫌いになった自分を恥じるまでに 人が好きになる
人の心は裏表 けして誰も完全に悪者にもなれず かといって正義も貫き通せない
それでも僕はそんな人が好きだ
悪い心の中にも ちゃんと温かな血が通っているから
人に抱きしめられた時の
あのぬくもりだけは嘘じゃない
ほら簡単なことじゃないか
人の弱さにつけ込んで ただそれを非難するだけなら容易い
でも、その弱さを指差す姿はそれより弱く浅ましい
すべて分かり合えなくても
すべてを愛せなくても
憎めない 僕もまたあなた同様に悪に走る人だから
人の心は裏表 けして誰も完全に悪者にもなれず かといって正義も貫き通せない
それでも僕はそんな人が好きだ
心はちゃんと 誰かの痛みを受け取って
温かな涙を流すから。
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心は知っている
本当の強さを
そして弱さを
心は見えている
本当の愛や優しさが
そして、悪を
本当の正しさを
そこにある 出来合いの正義を指差して
それがこの世の掟というのなら
願わくば 誰も傷つかず 傷つけぬように
胸の中にしまい込んだ深層心理に潜む
人の心の有り様を紐解くことで見える光
僕らは知っている
それは簡単なこと
人に愛されているように
人を愛せばいい
ただそれだけ
人に 思われているように
人を思えばいい
ただそれだけ。
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愛を知らない人に愛を教えるにはどうすればいい
愛されたことがない人に
愛が何かを伝えるにはどうすればいい
わからない わからない事ばかりさ
愛をつたえて そっと胸をふくらませる
素直な気持ち
ありがとうが 花を咲かせたら
もう言葉はいらないよ
もうわかるね
それが愛だ。
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病床に横たわる
病人はとうに
三十を越え
いい歳をして妻の看病をうける
食べたいものは?
欲しいものは?
いつもは見えない
妻の優しさが見える
いいよ、何もしなくて ただそこにいて
ずっと 僕を好きでいてください
それだけで 風邪なんてすぐに 治るんだ
それだけで幸せになんて すぐになれるんだ。
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ああ どうして
食べたくなるのか
甘いもの
誘惑には 勝てない
うまいもので
溢れかえった
この世界
あれも食べたい
でも太る
あれも食べたい
気づきゃ
腹は出て
まるで狸のお腹
拝啓、べつ腹さん
なぜあなたは
すぐにお腹がすくの。
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誰かさんの流す涙や
空を染める青
そこにある
規則正しい時間と
いつか忘れた
笑い方
猫が鳴くように
ただあるがまま
どこまでだって
ありふれていたいだけ
僕を 包む 一面の青に すべてをあずけて
夜や朝の中に眠る小さな幸せのかけらを
あますことなく 拾い集めて それを僕らは大切に抱きしめるんだ。
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「なんとなく」
「それとなく」
そんな言葉が好きなのは
言い切らず 言い尽くさず
曖昧で いれるから
猫はただ 人語を喋れぬその口で
ただみゃあと 何事かを 呟くだけ
見えない絵本の表紙を開いたら
言葉を 星屑みたいにばらまいて
殺風景なこの部屋に明かりの代わりにともそうよ
ねえ 口下手な夜もたまには
つぶやくこともあるんだな
寂しいよとか悲しいよとか
僕の口をかりてしゃべり出す
おかしなこともあるものと 鈍感な猫は餌にまっしぐら
新しい物語の冒頭にたどり着いたら
そこから始まる朝なのさ 夜明けは近い
目覚める街を 追いかけろ。