詩人:どるとる | [投票][編集] |
花火をやろう 夢の後始末のように
バケツの中に 泳ぐ金魚たち
縁側で食べた西瓜
そっちのほうが大きいなんて
言い合ったりして
夏に見た夢 今は遠くて 陽炎のように胸の中 揺れるだけ
あの日の気持ち まだ言えずにいる
だけど、鼻緒切れるように
きっとつかの間の戸惑いさ
会いに行くよ 会いに行くよ あの日の僕で
会いに行くよ 会いに行くよ あの日の君へ。
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長い長い 坂道を上りはじめた僕らは
夏の暑さにすっかりまいってしまって
汗をかきながら あぜ道を 駆けていた
少年の頃の記憶をたぐり寄せていた
畳の部屋 ごろんと横になり
遠ざかる意識の中で 蝉しぐれが
雨のように 鼓膜に降り注いだ
僕らは 何かをずっと探しているんだよ
青い空に 置いてきた大事な思い出
それは 夕暮れのようなきれいな宝物
写真やビデオじゃ 収めきれない
澄んだ瞳にだけ映る夏の横顔
なんとなく書き始めた日記帳は
三日と持たず やめてしまった
押し入れの中で見つけた絵日記の中には
沢山の思い出が あふれていたんだ
太陽の輪郭を 指でなぞったら
見えているものなんてごく僅かで
本当は心に映る景色こそ大切だと知った
瞼の裏の田園風景を自転車で駆け抜けて
追いかけても追いつけない夏の影を
陽炎の彼方に見ていたよ 今も
滑走路、助走をつけて飛び出した少年
あの頃夢中で追いかけてた夏の探し物
僕らは 何かをずっと探しているんだよ
青い空に 置いてきた大事な思い出
それは 夕暮れのようなきれいな宝物
写真やビデオじゃ 収めきれない
澄んだ瞳にだけ映る夏の横顔。
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窓の外に広がる 青い空と白い雲
誰かが落とした汗に映る 思い出
蝉しぐれ 遠くなったり 近づいたり
回る扇風機 庭の畑に咲く ひまわりの花
特別なことなんて何ひとつなくていい
ただ おぼろげな記憶をつなぎ合わせて
たったひと夏の思い出を刻み込むんだ
夢を見ているような そのさなかのような
夏が 長い長い坂道を駆け上がる
少年が 追いかけるものは かぶと虫でもアイスクリームでもなく
きらめくような でもありふれている
そんな夏の影
ああ窓に映るのは いつか忘れた
かき氷の味 それに似た甘い 思い出
縁日 屋台を回って 浴衣姿の君と手をつないではしゃいだ
ただ、あの手のぬくもりがあればいい
視界によぎってはすぐに消えてしまう
思い出せそうで思い出せないあの景色
背中に伝う汗も 日焼けの痛みさえも
何故だろうか 懐かしいのに 何もかもが遠すぎて 風鈴の音のよう つかの間の幻
一生に一度だけ見える見えない光
それは 夏の影
気づけば眠ってしまったんだ
目覚めたときに僕は何かを手にしてたよ
その気持ちが教えてくれた 大切なものはいつでも胸のなかにあること
何処にでもあるようでここにしかない夏
ただ おぼろげな記憶をつなぎ合わせて
たったひと夏の思い出を刻み込むんだ
夢を見ているような そのさなかのような
夏が 長い長い坂道を駆け上がる
少年が 追いかけるものは かぶと虫でもアイスクリームでもなく
きらめくような でもありふれている
そんな夏の影。
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どうして 言葉に出来ないんだろう
いつの間にか 生まれたこの気持ちに
素直に向き合えないんだろうか
せっかく灯った明かりを消さないように
手のひらで包んでみても 不意の風に
たやすく消えてしまえる恋なら 最初からしないよ
言葉に出来ない思いはただ
蕾のように 胸の中 固く閉じたまま
花開くその時を待っている
その先に待つ物語
涙に濡れぬように
諦めという言葉できれいな思い出に変えて
僕は途中まで読んだ本の表紙を閉じるように
恋に背中を向けていた
夏の暑さに シャツを濡らして
長い坂道を 一人上りはじめた
膨らんだ気持ちたずさえて
自信が持てずに まどろみに逃げた
午後の陽射しは 意識を曖昧にする
でも こうして目を閉じればあなたの笑顔が浮かぶ
初恋という夢の中で
探し続けたよ 僕の居場所
あなたも僕のことを好きになってくれるように
星に願った夜
一度は諦めた恋を取り戻したくて
引き返したよ 君は受け取ってくれるだろうか
こんな僕の気持ち
「ずっとあなたが好きだったんだ」
嘘のない 素直な気持ちを 今君に 届けたい。
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夕暮れ 帰り道
歩道橋の下をくぐったら
いつものように 公園に寄り道
さっきまで誰かが乗っていたのかな
ブランコが寂しそうに 風に 揺れている
なんとなく どことなく 切なくなるんだ
近づいてくる夕闇がなぜか恐くって
背を向けて走っても気づけばすぐに
走る僕に夕闇が追いついて空の果てまで
墨色に 染めてしまうんだ
今日も夕暮れ
ありきたりの景色の中に そっとぬくもり探して
人恋しくなってしまったよ
さっきまでつないでた手が熱い
いつまでもいつまででも
僕はあなたと二人 終わらない夕暮れの中
優しい優しい色に包まれながら歩いていたい そう思いながら 今日も帰路に着く
なんとなく どことなく 切なくなるんだ
近づいてくる夕闇がなぜか恐くって
背を向けて走っても気づけばすぐに
走る僕に夕闇が追いついて空の果てまで
墨色に 染めてしまうんだ
さよならの向こう側 また明日ねって言う君が遠ざかるのを
僕はいつまでも見ていた
そして今日も。
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トコトコとお鍋が
煮立ったら
夕飯の時間です
さあお皿を並べてね
夜の横顔はとても
優しいママの顔
ほら闇に恐れずに
目を開けてごらん
どんな悲しみも
どんな痛みも
優しく包み込んであげるから
明日も また
笑っていてほしい
当たり前のように生きていく日々
願うのはただそばにいて。それだけでいい
幸せは人のそばにある 意外と近くにあるんだよ
さあ家族がそろったら夕飯を食べよう
いただきます。
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ふいに回り出す誰かの物語
それはまるで何かの映画のように
当たり障りのない暮らしを映して
特にタイトルは決められてない
時折 画面が滲むのは 雨に似た涙が降ったから
うれしいような 悲しいようなこの世界は
誰の目論見で 今日も続いているんだろう
時折この穏やかさが恐く思うのは
当たり前がいつか当たり前じゃなくなる
そんな気がするから
証明の落とされた部屋 いくつもの席が並ぶ
その一つ一つの席は一人にひとつずつ用意されているんだ
自分という映画を自分が観るような
泣いたり 笑ったり
全く出来損ないのシネマ
でも誰も自分の人生にヤジを飛ばしたりはしない
ただ、誰も食い入るように画面を見つめて 時に涙を浮かべたり ほくそ笑んだりするだけ
そしてやがて、気づけば席を外す人が見受けられて
二度とここには戻ることはなかった
僕もいつかこの映画の終わりが来たら
席を外すのだろうか
なんてことを思いながら今日も自分という映画を見てる
僕は登場人物でもあり 映画を回す監督でもあり
時に脇役にもなる
だけど、自分の人生の中では誰もが主役なんだよ
ほら、いくつもの夜が 朝が
繰り返されては映画は絶え間なく
僕らの日々を映し出す
そして誰かの
物語がひとつ終われば
べつの誰かの
物語がどこかで始まる
そして回り出す誰かの物語。
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失ってしまったよ
大切な何かを
でも何をなくしたか
うまく思い出せない
さよならが
待っている街並み
ほらね 夜は優しく心を包む
人の思いの側には
かならず 誰かの
ぬくもりが明かりのように灯ってる
悲しみの側には
かならず 誰かの
優しさが 君の帰りを待っている
だから帰っておいで
いつでもいいよ
あなたの涙を受け止めてくれる街明かり
ほら、傷跡にじかに触れるように 少しもためらわない心で
あなたを包み込みたい
「ただいま」言う
そんなあなたをさよならが待っている
強がらない素直な君を さよならが待っている
いいんだよ、涙を見せにおいで。
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時の欠片が
砂時計のような世界に降る
一秒の中にある
確かな永遠を
僕は見つめてる
もう誰ひとり 傷つかず 傷つけなくてもいいように
つかの間、刹那の時を 駆け抜ける命
幾多の夜を 朝を越え たどり着く場所
それはそれは美しいのだろう
行こう 光の袂まで千里を走る風となり。
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誰かの声がする
いたるところから
誰かを呼ぶ声が
呼ぶ声がするんだ
ただありふれたその声に僕は今日も
振り返る
そして君を見つける
鼓膜に寄り添うその声の先にいる君の笑顔が
まるで太陽のように僕に降り注いで
この世界をばら色に塗り替えてく
大切なのは ごく当たり前な気持ち
どこにでもあるようでここにしかないもの
君が誰かのこと思うのは 誰にでも身構えぬ自分でいるため
そんな君が好き
五感を 呼び覚まし
閉じた目の暗闇に
いつでも僕の大好きな君を描くよ
あしたも変わらず愛は 続いてゆくのです
何ひとつ出来なくてもいい
ただずっとそばにいて
大事な人を寂しがらせるのは一番の悪だ
悲しみを受け流す傘がないなら 僕がその役目を果たそう
鼓膜に寄り添うその声の先にいる君の笑顔が
まるで太陽のように僕に降り注いで
この世界をばら色に塗り替えてく
五感を 呼び覚まし
閉じた目の暗闇に
いつでも僕の大好きな君を描くよ
あしたも変わらず愛は 続いてゆくのです
あしたも変わらず二人は二人のままです。