詩人:どるとる | [投票][編集] |
耳をふさいだままでも聴こえる音色や
目を閉じても 見える景色があるんだ
ほらね 魔法のようだろう
世界が途端に色づいてく
悲しみも喜びも
愛しさも憎しみも
ひとつの場所へ
消えていくよ
このまま 目の前
横たわる果てのない
暗がりに 僕は
意識を 投げる
さよならの先の物語 予兆するように
はじまりの予感がなんとなくしている
ほらね 形のないものの輪郭をなぞる
君の心が つかんだもの
切なさもさびしさも
ちょっとした痛みも
きっといつかは
片づいてくよ
夜の傍ら そっと
人知れず 目を閉じた
君の その瞳に明日が追いつくまで
悲しみも喜びも
愛しさも憎しみも
ひとつの場所へ
消えていくよ
このまま 目の前
横たわる果てのない
暗がりに 僕は
意識を 投げる。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
僕は見えない いろんなものを見つめてる
僕は聴こえない いろんなものを聴いてる
それはそうだな
たとえば風のようなもので
つかめもしなければふれることさえできないけど 確かにここにあるんだ
ふいにふわっと 生まれた小さなつむじ風
やがて なりを潜める
たまに洗濯物を揺らしたり 頬ずりしたりしながら
与えられた時間の中 絶え間なく明日へ吹いてゆく
僕は わからない 僕である意味さえ
僕は知ることはない このままいつまでも
それはそうだな
たとえば闇のようなものさ
どこからがはじまりでどこまでが終わりなのかさえわからないけど
確かに僕は生きているんだ
ふいにふわっと 舞い上がった小さな綿毛
やがて 旅に出るんだ
泣いたり笑ったり たまに怒ったりしながら
残された 時間の中 可憐に咲いているのさ
ふいにふわっと 生まれた小さなつむじ風
やがて なりを潜める
たまに洗濯物を揺らしたり 頬ずりしたりしながら
与えられた時間の中 絶え間なく明日へ吹いてゆく。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
何かわからないものを指差して
それをそれだと決めるのはなんだろう
目に見えず 聴こえもしないものにさえ
形を与えて さも触れられるかのように嘯く人の心が映すもの
その輪郭をなぞる
君の心が唯一の物差しだよ
ほら 僕にはなんとなくわかるんだ
見えない 聴こえない向こう側の世界
目映いくらいの光
余白を染める あざやかな透明。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
僕の心の余白を埋めるように
継ぎ足された記憶はお粗末な出来さ
とりあえず 笑わなくちゃと思うけど
何をどうすりゃいいかわからなかった
季節に置いていかれていく
僕は一人 寂しさに埋(うず)もれた
そこにあるもの ここにはもうないもの
人も景色も思いも
日々めまぐるしく変わってゆく
いつまでもこのままじゃいられない
だから色褪せ擦り切れていく青
若さなどもう言い訳には出来ない。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
想いのすべてを言葉に出来たなら
もう誰も傷つけなくっていいのに
もう誰も争おうなんて思わないのに
僕らはあまりに 言葉を知らなさすぎる
心が見えないのはきっと
他人には知られたくない本心を隠す為だ
でも心が見えなさすぎて僕らは
時に傷つけあってしまうんだ
どんな 幸せの中にだって
悲しみはあるものだと人は 意地悪くほざく
目と目で お話するように 口は使わずに
互いの言わんとしていることを知るすべがあるなら
僕はもう言葉なんていらない
口に出せない空の喘ぎ この胸の中にひらり落ちて。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
パレットの中、黒はつぶやくんだ
僕は何色にも染まれない色だと
でも白が言うよ 僕と混ざり合えば
灰色になれるよと
そしたら黒は言うんだ
そんなことをすれば君を汚してしまうよ
白は 笑って 言うよ
汚れるなんて言わないでって
君は確かに ほかのどんな色より
暗くて ほかの色と混ざり合っても
明るい色にはなれないけれど
僕となら相性がいい
唯一ほかの色になれるんだ
だからひとりがいいなんて言わないで
ひとつになろう
使い古された絵筆がつぶやくんだ
僕は もうすぐで捨てられてしまうよと
でもね 今まで役に立ってきたじゃないか
気にすることはない
みんな同じ定めさ
最後の仕事は素敵な絵を描きたいな
たとえばきれいな空を 描きたいな
真っ白な画用紙に大きな夕焼け空と
いつもの街並み 誰かの笑顔
幸せな風景画を描けたらいいな
毛羽立って広がった古びた絵筆で
素敵な絵を描こう 心のキャンバスに
人々の暮らしが見えるそんな絵を描こう
いろんな色たちが寄り添って
混ざり合ってひとつの絵の中でずっと生きてゆくんだ
永遠ならここにあるんだ ほら君も
命を宿した 呼吸する色彩
いつか終わる 定めを抱いて生きてる
だからこそその色は鮮やかに世界を染める。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
夜を通り過ぎてゆく
雨はパラッと降って
すぐに降り止んだ
僕はだまされたような顔で佇んでいた
いじわるな春雨にからかわれ
がらんどう 胸の中
風が吹き抜けてゆく
答えは どこにもない
何かを待っている
誰かを待っている
朝じゃない朝を
夜じゃない夜を
愛じゃない愛を
君じゃない人を
僕じゃない人を
夢じゃない夢を
ひたすら待ちぼうけ
誰かが落としたろう
ハンカチ 桜色に染まってあらきれい
僕はすっかり色味をなくして
いくつもの嘘にうずもれて
硝子細工 花簪
景色が移り変わってく
規則性は 皆無です
何を待っているの
誰を待っているの
笑顔じゃない笑顔を
涙じゃない涙を
同じようで違う何かを
光じゃない光を
闇じゃない闇を
明日じゃない明日を
ひたすら 待ちぼうけ。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
夕闇の中に目を凝らしてごらん
何かが見えてくるから
闇に目が慣れたら そこに見えるのは
思い出の向こう側に 揺れてるブランコ
砂場に誰かが つくった砂山と置き去りにされた小さなシャベルとバケツ
目を開いたら もうそこには何もないよ
僕はそんなふうにいくつもの
思い出のそばを通り過ぎてく
もう取り戻せない
もう言葉も交わせない
大切な何かと さよならしながら
生きていくんだと わかったんだよ
あかね色が 空を染め上げたら
帰っておいでって
優しい顔で笑ったあの人を思い出す
でもいつもなぜか帰りたくなかったんだ
楽しすぎて いくら時間があっても遊び足らなくて駄々をこねた
そんな気持ちにももう戻れないことも知っている
僕は そんなふうにたくさんの
場面を積み重ねてきたけど
うまく思い出せない
夕暮れ時、赤く染まるこの手はきっとさよならする為の手だって 想ったんだよ
でもね 本当はそれだけじゃなくって
少しずつ少しずつ 遠くなる思い出が
悲しくないように 忘れられるように
振られるべき手だってことにも気づいた
僕はそんなふうにいくつもの
思い出のそばを通り過ぎてく
もう取り戻せない
もの言葉も交わせない
大切な何かと さよならしながら
生きていくんだと わかったんだよ
だから 今日も夕日の色に赤く染まる
この手で さよならするんだよ
そしてその時流れた涙は 明日の笑顔に変えてゆくんだよ。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
人はいくつもの悲しみと隣り合っている
人はいくつもの喜びと隣り合っている
縁は切れない ずっと死ぬまで
ラララ
地球は回る それぞれの命の速さで
ラララ
地球は回る それぞれの命をのせて
まだ目覚めたばかりの小さな命よ
おまえの瞳に映るのは 耳に聴こえるのは
地球の声 地球の顔
人はいくつもの悲しみと隣り合っている
人はいくつもの喜びと隣り合っている
そんな当たり前を歌にしたよ
ラララ
地球は回る ちゃんと息をするんだよ
ラララ
地球は回る それぞれの命 見つめながら
終わらない物語などないと 知っている
僕らの 痛みまで受け止めて 回る
その回転は すべての命と連動している。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
いくつかの時代が過ぎ
いくつかの季節が流れ
いつしか 終わったもの
いつからか始まったもの
それは ささやかな贈り物 ほら
耳をすましてごらん 聞こえるでしょう
くらしのささやき
青い空のように ただどこまでも素直に
そしてまっすぐに
飛行機雲が途切れたその先にある
まだ見ない未来想像図に広がる世界
君は今 大いなる一歩を踏み出すんだ
そこからすべては変わるよ。