詩人:どるとる | [投票][編集] |
まだ何も知らない
本当の痛みも悲しみも苦しみも見たことがないのなら幻と変わらない
我が子を抱いたこともない
産声も聞いたこともない少女が
すぐに死にたいと言い命を軽んじれば その命は汚れてしまうよ
処女膜を突き破るのは偽物の愛じゃなくて 血の通った
優しい優しい愛であるように 僕は願うよ ゆっくり君の深淵に足を踏み入れる
僕は血にまみれた
君の大事なところを
醜いなんて思わない
だからそっと呟くよ
「僕の童貞をあげるから君の処女をください」
その決意を誰が笑うことが出来るだろうか
忘れないで その時の痛みが生きてることを確かにする
小説の中の物語
リアルと呼ぶにはあまりにロマンチックできれいすぎるきらめく夢物語
子供の重さを知らない僕は
子供の気持ちも知らないから
愛せない 愛し方も知らない ねえなにが愛なんだろうか
ねえこの汚れた世界では 性行為を 単なる卑猥な行為と勘違いしているやつが多いよ だからだから交わる本当の意味を伝えなくちゃ
僕は君の中で ひとつになる 君と
僕は血にまみれた
君の大事なところを
醜いなんて思わない
だからそっと呟くよ
「僕の童貞をあげるから君の処女をください」
その決意を誰が笑うことが出来るだろうか
忘れないで その時の痛みが生きてることを確かにする
世界の真理ってやつに 少し歩み寄れる
そんな気がする
だから 僕は君に「はじめて」を捧げたんだよ。
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はじめて 君が笑った日
はじめて 君が泣いた日
はじめて 君が歩いた日
写真を撮って 手をつないで
不器用なふたりは
いろんなはじめてを積み重ねていく
たとえば 僕らが 家族ってことを
忘れそうになって
心すれ違うときは
そんなことを思い出そうねと約束したよ
ただ 愛しているということを確かにしたいだけで一緒にいるんだよ
ただ そばにいてくれるだけで 何より安心してしまうよ
油断したそばからまた転んでしまう
そんな僕のこともちゃんと愛してくれる君たちは僕の大切な家族だ
はじめて 喧嘩したあの日
はじめて雨に降られた日
はじめて出かけた日
シートを敷いて お弁当をみんなで食べた
今も覚えているよ
たとえば 君と出会うこともなかったなら
家族になることもなかったんだね
だから小さなことにも感謝だ
ただ 僕が僕らしく
君が君らしくあればそれで いいと思うんだよ
特別なことなんて何もしてくれなくていい そばにいるだけで伝わることもある
家族の共同作業壮大な積み木遊び
崩れたらまたやり直し 何度でもはじめから
君に大切なこと気づかされるたびに自分の駄目さが浮き彫りになる
そんなとき 僕は思うんだよ
そうだ僕はひとりじゃ何も出来やしないんだって
ただ 愛しているということを確かにしたいだけで一緒にいるんだよ
ただ そばにいてくれるだけで 何より安心してしまうよ
油断したそばからまた転んでしまう
そんな僕のこともちゃんと愛してくれる君たちは僕の大切な家族だ
はじめての宝物だ。
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夏の青い空見上げながら 自転車で駆け抜けていく日焼けした少年
ひとつ水たまり よけて 目的もなくひたすら行けるところまで
僕らは 思い出を描くように
心に絵を描いていた
見えない鉛筆で まだ真っ白な画用紙に思い出を描いていく
へたくそな タッチでまだあどけなさ残る
曲がりくねった線がかわいらしいね
描かれた思い出は いつまでも消えないで
瞼閉じればほらこんなにも鮮やかに
心の中にいつでもあの日見上げた青空が広がっているんだ
忘れないで 今 もう二度と
帰れない 夏が 夜空に大輪を咲かせるから
へたくそな タッチでまだあどけなさ残る
曲がりくねった線がかわいらしいね
描かれた思い出は いつまでも消えないで
瞼閉じればほらこんなにも鮮やかに
心の中にいつでもあの日見上げた青空が広がっているんだ。
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雨が 降っている街並みはなぜか寂しげで
どこかいつもより暗く 沈んでいる
そんなふうに見える
誰もが急ぎ足で どこへ向かうんだろう
すれ違いざま肩がぶつかってもお互いに振り返りもせずにただ先を急ぐよ
雨降る日には 涙を流すのにちょうどいい
雨が都合のいいすべてを流してくれるから 誰にも見えない涙が 人知れず誰かのほほを伝っても誰も気づかず
いくつもの傷跡の前を 素通りするように過ぎていく
明日は晴れと告げた天気予報はひどい嘘つきだ 今日もあいにく雨だ 傘を忘れた僕は濡れて帰る
何をそんなに急いでいるんだろう
時間ならたっぷりあるのになあ
流されるように 人波に もまれて 行き着いた知らない駅
人いきれの街は 今日も無愛想な顔をして
僕たちのつつましい努力を笑ってる 焦れば焦るほどに僕らは滑稽な道化師だ
せいぜい人に笑われるのがお似合いで
本音を隠したままの心が表情とは裏腹に泣いている
今日も雨はやまない
雨降る日には 涙を流すのにちょうどいい
雨が都合のいいすべてを流してくれるから 誰にも見えない涙が 人知れず誰かのほほを伝っても誰も気づかず
いくつもの傷跡の前を 素通りするように過ぎていく。
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人は見栄っ張り裸の王様です
ありもしない光に 手を伸ばしたがる
この世界はまるでサーカス小屋のようさ
滑稽に 人は汗水流し 意味のない毎日を
繰り返し繰り返す
僕は何かを 偽るように 僕は何かをごまかすように
悲しいときほど笑ってる 道化師なんです
赤いお鼻が 似合うでしょう
くだらないことが得意なんだ
ほらでも なんの役にも立ちゃしません
世界は滑稽だ 滑稽だ 僕らは常に忙しい
時計は止まらない
僕は笑いながら泣いている 器用な道化師だ
的をはずした歌を歌っているよ
神様はいない 天国もない
この世を支配するのは 常識という名の標識
僕は何かを 偽るように 僕は何かをごまかすように
悲しいときほど笑ってる 道化師なんです
世界は滑稽だ 僕らは滑稽だ まったくもって嘆かわしい
未来は揺るがない
僕は たとえようのない大きな波にさらわれる
道化師だ。
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神様はいないのに 誰かが決めたルールに
縛られた世界では 誰もが逆らえない
僕らは心に一様に同じ服を着せて歩いてる
「おざなり」という名の当たり障りのない 生き方を選んでる
変わらないのではなく 変われないだけで
変われない自分が たとえようもなく 恥ずかしいのです
だからまだ今は 人の真似事しか出来ない かわいらしい小猿
絶対なんて無いのに 舞台上に掲げられた
偽物の正義には 誰一人意見出来ない
僕らは 踏み出したその一歩だけですべてを
追い越したくて 焦っているんだ そして気づく穴だらけの心
変わりたい 変われない 果てもなく自問自答はつづく
変わらないのではなく 変われないだけで
変われない自分が たとえようもなく 恥ずかしいのです
だからまだ今は 人の真似事しか出来ない かわいらしい小猿
吊されたバナナをとるのに忙しい。
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僕は自分が無知ということを知っている
だけどそれだけじゃ手持ち無沙汰だよ
だから無知の知を知っているんだよ
だから何もない世界にも花が咲いてる
あなたが言いたいことは多分伝わってる
僕にはわかる なんとなくわかる
目を閉じて 耳をすまして すべての感覚を無意識の中へ突き落として 生まれる静寂と暗闇の世界へ
ようこそ新世界は ここだよ 君も空っぽになって
その中にある 見えない光に 手を伸ばせ
君はすべてを知らないことに気づいた
ならば嘘をついていた自分を恥じろ
そして隙あらば 僕は君を責めるだろう
だけどその時の僕の顔はゆがんでる
神様は許してくれるだろうか わからないことが答だと
空を飛ぶことも海を泳ぐことも出来ないけれど 大地を一歩ずつ歩ける足がある ほらその足で羽ばたけ
さらば 古ぼけた地図は破り捨てて あくびひとつして
「何も知らない」そのわけを悟れ
いっそ何もかも逆さまにして考えてみるのさ
地球儀は回る ただひたすら
夜と朝を繰り返す この世界を無慈悲と嘆けば 途端にすべてが涙で滲む
ならばせめて 下手くそでも最後まで悪あがき
目を閉じて 耳をすまして すべての感覚を無意識の中へ突き落として 生まれる静寂と暗闇の世界へ
ようこそ新世界は ここだよ 君も空っぽになって
その中にある 見えない光に 手を伸ばせ
その先に待つ新世界へ。
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ああ 空っぽだ
僕の中には何もない
色のない塗り絵のようだ
夜が過ぎてく 朝が過ぎてく
時ばかりが 積み重なっていく
届かない星を目の前にしている
僕らにはそれを眺める望遠鏡さえない
僕は何も知らない
笑うこともぎこちない泣くことも 滑稽で
まだ 完璧には程遠い
何かが 汚くて 何度も手を洗ったけれど
若さという邪魔な贔屓目からは逃れられない
何か大事なものを取り損ねた気がする
責任のない僕は君には青く見えるのか
ならば僕は心から童貞です。
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ねえ ただひとつの命が消えたら
もう同じ波は 押し寄せないのです
ねえ もうひとたび 命が押し寄せても
それは同じ命とは呼べないのです
苦し紛れについた嘘のように
千年越しのはじめましてのように
懐かしくも新しい 風が君を運んでゆく
死んでいった時の歌声があるとしたら
それは 胸の中にひびくこの心臓の音さ
さよなら もう出会えない旅から旅へ繰り返すように
夜は朝になり世界に
ただひとつのあなただけの夜明けが来る
その夜明けははじまりでもあり終わりでもあること
忘れないで すれ違う命の不思議
大切な誰かの声が世界中から消えていく
そんな悲しい朝が来ないように願うから
せめて最後は 痛みのない安らかな顔で
誰かが寂しくないように空よ晴れ渡れ
世界よ 平和であれ。
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僕らには行き先などないのさ
僕らには予定などないのさ
長いトンネルをしばらく潜ってる
何故だろう いつまで経っても
抜け出せないよ
誰もが買うことを許されている切符には
どこどこまでなんて書かれてないからね
最初から 生きる意味なんて悲しいほどに
無かったんだねえ
だから多少のことには目をつむり
雑踏の中へ 僕はまた逃げるように消える
今日もまた 終電がない
僕らには心なんて あるようで無い
鳥かごの中で飼われてるから
息をするようにさわぐ夜の闇が
何故だろう いつもよりやさしくて
ふと死にたくなる
たとえば 空を飛べる羽根があるなら
僕はこんな世界なんか捨てられるのに
何もかも 嘘ならば今日など無くていい 光など邪魔なんだ
それでもこの心は朝を欲してやまない
静寂の中を 埋めるにぎわいが命を沸かす
今日もまた 愛に飢えている
光にも見えたんだ
あの日 出会った
小さな優しさが
僕に生きる喜びを
はじめて教えてくれたのにその優しさにはもうふれられない
最初から 生きる意味なんて悲しいほどに
無かったんだねえ
だから多少のことには目をつむり
雑踏の中へ 僕はまた逃げるように消える
今日もまた 終電がない
僕が乗るための
終電はない
気づけばいつも過去が走り去ったあとなんだ。