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どるとるの部屋  〜 投稿順表示 〜


[5860] まばたき
詩人:どるとる [投票][編集]


そして僕は目を閉じて世界を遮る
それで逃げきったつもりだった
だけど僕の閉じた瞼の向こうには
変わらず忙しい世界があるんだろう
知っているよ だからこそわずかでも
世界から距離を置くために
悪あがきのまばたきを繰り返すんだ

暗闇の中に佇んで
見えるはずもない光を探している
重ねていく 時と時
すれ違うような命は死と隣り合わせ
僕はただ、何も知らないふりで 今日を通り過ぎていく

隔てるものなんて本当は何もない
全て僕がつくったイメージだ
見つめる先に 確かにあるものを
それと認識させるものはなんだろう
わからないことがわからないんだ
最初から解けない謎を抱えている
嘘で隠れた世界に もういたくない
夜なんかより 海の底よりずっと暗い
明日を知っている

変わりゆくもの そして変わらないもの
その狭間で呼吸する
僕らには何も知らされていない 無意味の意味があるなら

このまばたきひとつにも意味はあるのだろうか
瞬間、遮られる世界が 次の瞬間にはもう違う世界なら
僕も違う僕だろう

暗闇の中に佇んで
見えるはずもない光を探している
重ねていく 時と時
すれ違うような命は死と隣り合わせ
僕はただ、何も知らないふりで 今日を通り過ぎていく

僕はただ生きる それだけしか出来ない
物語の終わりまで
そして僕はまた何度でも同じ場所に戻る
今日という場所でまた今日を待つのさ。

2014/10/08 (Wed)

[5861] 
詩人:どるとる [投票][編集]


ひとつの大きなテーブルを囲むように
たくさんの命がたくさんの物語を読む

そこにある 朝や夜は
テーブルに並べられた前菜に過ぎない

もう しばらく 生きられそうだから
もう しばらく 泣こう 笑おう 戯れよう

色のない あざやかな陽射しが 僕を射抜けば
朝はすぐそこに
光を光に変えて
無を有に変えて

世界をつくる
何もない 場所に
感情を 組み立てる
嘘が本当になる

そしてまた始まる
いつもどおりの朝。

2014/10/08 (Wed)

[5862] 第六感
詩人:どるとる [投票][編集]


見えないものをつかんだとしたらてざわりは心にのみ届く

透明なそれを あるはずもないそれを
確かにしている 僕らの感覚

第六感が 働けば
ないものもある世界

第六感が 冴え渡れば
見えないものも
聴こえないものも
ある世界 ある世界。

2014/10/08 (Wed)

[5863] 今日はあなたにとってどんな日ですか?
詩人:どるとる [投票][編集]


今日が昨日と何ら変わらないと思うのは
自分の昨日や今日しか知らないから
昨日死んだ人や今日死ぬ人のことを知らなければ 誰も笑っていれるのに
僕の知らない今日を知ってるあなたは
僕の知らない世界を生きている
僕の知らない世界を見つめてる

僕にはわからない 痛みや悲しみが
僕の知らないあなたの世界を濡らしたなら
今日はあなたにとって一番苦しい日だ
今日はあなたにとって一番悲しい日だ

他人と自分が見てる世界を同じだと
思うのは自分の世界しか見えてないから
昨日は当たり前だったはずの世界が 途端に崩れ去った時
僕は僕の知らない今日を知るだろう
でもあなたには僕の見てる世界は見えない
だから誰も 他人の見てる世界には入り込めない

僕には 見えない 僕の見てる世界しか
僕の今日は晴れだけどあなたの今日は晴れですか?
今日はあなたにとってどんな日ですか?
明日はあなたにとってどんな日だろうか

僕の知らない今日を知ってるあなたは
僕の知らない世界を生きている
僕の知らない世界を見つめてる
僕にはわからない 痛みや悲しみが
僕の知らないあなたの世界を濡らしたなら
今日はあなたにとって一番苦しい日だ
今日はあなたにとって一番悲しい日だ

一番忘れられない
思い出深い日になるだろう そう願いたい。

2014/10/08 (Wed)

[5864] 
詩人:どるとる [投票][編集]


僕は目を閉じて
ただ 呼吸を合わせて
吸い込んだ息を吐き出す
世界は遠ざかったり近づいたりする
光のない夜にも
闇を抱いた朝にも
命は懸命に
この世界を駆け抜ける

何もない 今日の日のありふれた当たり前を
見つめていよう 愛すとしよう
精一杯の心で

街は時計をしている
夜明けに待ち合わせて
太陽が昇れば 目を覚ます
繰り返しは繰り返される
出口のない今日も
迷い悩む明日も
傷だらけの体で
全てと向き合っている

ただどこまでも青く果てしない世界は
まるで若さを手放せない僕のよう
不完全な完成形

早足になったり
途中で立ち止まったりする旅は
まだもうしばらく続く
物語の次のページがめくれている

何もない 今日の日のありふれた当たり前を
見つめていよう 愛すとしよう
精一杯の心で。

2014/10/08 (Wed)

[5865] 私は私
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私が私でいる意味はどこにあるのだろう
知っているなら教えてほしいよ
私は私が一番わからない
私は私が一番解せないのです

世界はただ、それをそれとしか教えてくれないから
僕はそれがそれである意味を知りたいのさ

私が私という名前で
ここにいるのはわかる
だけれどなんのために私は私なのか
どうして私は私と私にわからせられるのか
それがいつまでもわからない
それだけがずっとわからない

私が私のために私を殺さずに生かす
今日と同じ景色の明日で
私はまた何度でも私になる
だけどまた何度でも私は私を見失う
他人は自分を映す鏡というけれど 私は他人を映しているのか
私の鏡は ひどく錆びついている

私が私という名前じゃなくても私は私なのにそれじゃ私じゃない
私とあなた そしてあなたと私
人が変われば私が変わる
私がほかの私になれないように

私が私という名前で
ここにいるのはわかる
だけれどなんのために私は私なのか
どうして私は私と私にわからせられるのか
それがいつまでもわからない
それだけがずっとわからない

だから私は私でも
私とはかぎらない。

2014/10/09 (Thu)

[5866] ささやかな抵抗
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長い長い川をたどるように
僕は行くよ 夕暮れも夜明けも
喜びがひとつ この世界に朝日を差して
悲しみがひとつ この世界に死をもたらす
僕は何も言えない
違うな何も言わない
恐れをなしたまま
背中向ける弱虫だ

弱いとこを見せるのが嫌で強者にささやかな抵抗を試みる
傷が 口をひらき そこから流れ出す涙で世界が見えない
川の終わりへ続く道
僕はまたひとつ
ひと時のさよならを奥歯でかみしめた

待ちわびた夜は猫の額のように
長く伸びて 闇を果てまで広げている
痛みが 誰にも等しいものと知っている
でもそれは僕が見てる世界の掟だろう
僕は動けない
違うな動こうとしない
動きたくない それが本音だ

弱いとこを見せるのが嫌で強者にささやかな抵抗を試みる
傷が 口をひらき そこから流れ出す涙で世界が見えない
すべてがすべてに別れを告げる場所
僕はまたひとつ
すれ違うように違う場所へ旅立つ命を見送った

産声に重なるように
遠くで呼吸が止む
ああ本当に大切な人を失ったとき
心は何を見つめるだろう
心は何にすがるんだろう
心は明日を見つけられるんだろうか。

2014/10/10 (Fri)

[5867] 水の器
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形を持たないものに
いくら 水を注いでも
花も咲かない
ただ無意味に注いだ水が こぼれ落ちるだけ

それはまるで水の器に水を注いでいるようなものです。

2014/10/10 (Fri)

[5868] 拝啓、道の上より
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生きていくのは
とても難しいことだ
ただ息をするだけでは生きていることにはならないから
もう 泣き疲れて
気づけば日は落ちて
窓の外では 明かりが通りを照らしてる
何ひとつうまくいかないと思うのは
君だけじゃないよ

不器用だけど 足りないところは
優しさで補えば ほらね傷跡なんか見えないだろう
だめなとこばっかの僕だけど
きっと重ねた失敗が いつの日か僕に強さをくれる
だから、今は悲しみしか見えなくても
どこまでも続くような道を歩いていこう

楽をしようと思ったら苦労しなければ
楽だけしている人なんかいないから 間違えないで
もう 歩き疲れて
たどり着いた家路は
どうしてだろう 家が遠く遠くなるよ
僕には生きてる意味なんかない
そんなこと言わないで

本当にだめそうなときは逃げてもいいよ
だけど命だけは捨てないで 休みながら行こうよ
だめなとこしかないような僕だけど
きっと こんなふうにしてさ誰もが自分の命と向き合ってる
だから せめて悲しいときは泣かせてください
まだまだ道は続くよ 焦らなくてもいい

もし君の涙を 笑う人がいたなら
その人に言ってあげなさい
お前は自分の涙を笑えるか?と
人の涙を笑えるのに自分の涙を笑えないのはおかしな話だろう
他人は私の心を映す鏡なら
あなたの心を映すのは紛れもなく私だろう
醜いところもきれいなところも嘘偽りなく映すよ 僕はそこではじめて人の痛みを知る

不器用だけど 足りないところは
優しさで補えば ほらね傷跡なんか見えないだろう
だめなとこばっかの僕だけど
きっと重ねた失敗が いつの日か僕に強さをくれる
だから、今は悲しみしか見えなくても
どこまでも続くような道を歩いていこう
命を 全うしよう。

2014/10/10 (Fri)

[5869] 
詩人:どるとる [投票][編集]


目に映るのはすべての本当のことかなあ
耳に届くのはすべてやさしい音かなあ
聞きたくもないことや見たくもないすべてを
僕は愛せるかな
僕は抱きしめられるかなあ

ささやくように風に揺れる柳が
さらさらと音立てていつものように
道草をする僕に話しかけている
雪が降るのを待ちわびる君は
不器用なステップで地面に円を描く
美味なる季節を 縁取るように

風がふゅるり 髪を巻き上げる
僕は振り返る 君は遠くを見てる
慌てて何かを取りに戻ってももうないことを知ってる
僕は夕暮れの中 立ち尽くす

瞳の中 染める オレンジ色が
どこまでもきれいで泣きたくなるよ
君の右手が 僕の左手をつかんでいる
十月の空に浮かぶ雲が向かう先は
まだ見ない新しい明日に続いてる
食い散らかした きのうを片付けよう

尺取り虫が 進むような 形 その歩き方
少しずつ体を 前へ前へと蠕動させてゆくように僕も 歩いていけたなら

ささやくように風に揺れる柳が
さらさらと音立てていつものように
道草をする僕に話しかけている
雪が降るのを待ちわびる君は
不器用なステップで地面に円を描く
美味なる季節を 縁取るように
そこにある世界を
嫌いなものごと 平らげるように。

2014/10/12 (Sun)
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