詩人:どるとる | [投票][編集] |
今日あいつが 死んだらしい
友人から聞いた
でもあいつのことはよくわからない
下の名前もわからない
思い出せるのは 少しばかりの記憶
カラスが電線に止まっている
暮れゆく空を眺めていたら
気づけば夜があたりを包み込んで
言い様のない切なさが心を蝕んだ
自殺者は年々減るどころか
増えているらしい
関係ないさと鼻で笑う人の明日も
僕には関係ないのです
通り過ぎてく人の後ろ姿 目で追う
僕らの生きた明日は何十年先で
振り返った時どんなふうに
見えるのかなあ 少しは誇れる
今日を僕らは生きれるかなあ
誰が死のうが 誰が生まれようが
知ったことはないけれど 不器用でも生きていくことで
それはいつか今日という日を思い出すとき
生きていて良かったと思えるひとつのきっかけになる
そう思うことにしたよ
僕らの生きた明日は何十年先で
振り返った時どんなふうに
見えるのかなあ 少しは誇れる
今日を僕らは生きれるかなあ
僕らが生きた今日が誰かの支えになるとしたら
それはちっとも無意味なことじゃない
それは少しも無駄なことじゃない
だから僕は今日を傷つきながら生きる。
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夕暮れは僕らの重たいため息や疲れを
ただ何も言わずに受け止めている
やがて夜が あたりを包み込んだら
僕らも余計なことは言わず帰ろう
さよならとかおやすみとかただ
言うために今日があるなら
それもまたいいかなあ
ただいまとかおかえりとかただ
言い交わすために今日があったのなら
それもまたいいかなあ
そして僕はまた旅支度をしている
明日という今日の日のために
悲しいだけではない日のために
嬉しいだけではない日のために。
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今日という日が 今日という日が
昨日よりも いい日になりますように
昨日よりも 昨日よりもたくさん
笑えるように 楽しいことがありますように
今日という日が 明日という日になって
僕はどこを歩いてるんだかわからない
空を見ても 風に吹かれても皆目わからない
ただ今日は今日 明日は明日と誰かが無理やり決めるだけ
ああ 今日という日は 今日という日は
いつまでも 今日なのに明日になれば
今日は明日になり だけど相変わらず今日のまま
それでも人は今日のことを明日と呼ぶ
そして積み重なった今日という日が
いつの日かあなたの足跡になる
いつの日かあなたの思い出になる。
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ただ 空に浮かぶ 雲を眺めてる
ただ 甘く香る 花を眺めてる
ただ 今を生きる 人を眺めてる
ただ 笑い泣く 様を眺めてる
大切なことはそこにあるものの
向こう側にある 本当の音や景色
見えているだけの世界はまやかし
嘘ではない だがあまりに安上がり
ああ 僕は何を理由に僕なのか
わからないから 僕は僕をいとも容易く見失う
ぐるぐると ぐるぐると 僕の中で いろんな感情が渦を巻きながら どうでもいいものも巻き込んでく
さめざめと さめざめと 降りしきる雨や足音の中 目を凝らせばそこにある光 けして見えやしない光
ただ 繰り返す 命の生き死にを眺めてる
生まれ来る命や 死にゆく命の最期を
「あなたは一体誰ですか?」
その答えすら いつまでもわからないのに
何を理由に あなたはあなただと言うのか
ぐるぐると ぐるぐると 僕の中で いろんな感情が渦を巻きながら どうでもいいものも巻き込んでく
さめざめと さめざめと 降りしきる雨や足音の中 目を凝らせばそこにある光 けして見えやしない光
今日もまた 僕とあなたの中で すれ違いながら どこにも行き着けない旅をしている
渦を巻く感情 答えはどこにもない。
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ただ白い画用紙のようなまっさらな道の上に
どこまでも どこまでも 伸びた道の上に
命の長さだけ線を引く
時々は曲がりくねって
時々はピンとまっすぐに
波打ってみたり止まったり
命は いろんなふうに形を変える
あなたが引いた 線はあなただけの人生を
物語のようにこの世界に残るから
目には見えない線だけどあなたが歩いた道の上に足跡のように残るから
今日もあなたは線を引く
生きていることを確かめるように
生きていることを明らかにするように
誰かがいつか僕の引いた線を人生のちょっとした場面に役立ててくれたならいいなあ
そのための小さな轍をつくる。
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通り過ぎた駅の小さなベンチの下にそれはそっと咲いている
忘れられた思い出のひとつのように 記憶の奥底にしまわれただけ
僕はいくつもの季節を もう何度も越えてきたはずなのに
「変わらない」それだけで 一歩も前には進んでないんだ
僕らはいまだ旅の途中
今という時間は いわば車窓からの眺め
ページをめくるように 刻まれる一分一秒
惜しむ時間もなく 過ぎ去ってゆくだけの時間を 僕らは思い出という押し花にして
けして忘れてしまわないように 心の引き出しに 宝物のようにしまっている
決まった名前なんて多分いらないんじゃないかなあ
雨上がり 水たまりがキラキラ光を反射して 世界を映すよ
のぞき込んだら 君の顔が映る 君は不思議だと笑った
「変わらない」それもまた 幸せになるためのコツです
僕らは いまだ 人間の練習中
笑うことも泣くこともまだ覚えたてなんです
僕の中で あなたの中で ゆらゆらと揺れる
振り子のような 行き交う人の形をした思い出が 風に乗って
明日に向かうあなたを追いかけてくる そしてまたあなたは思い出す いつかの光
往々にして さすらえば 忘れゆくものもあるだろう
だけれど忘れてしまいたくないものは
いつまでも いつまでも あなたの中で 何度も同じ花を咲かせるから
ページをめくるように 刻まれる一分一秒
惜しむ時間もなく 過ぎ去ってゆくだけの時間を 僕らは思い出という押し花にして
けして忘れてしまわないように 心の引き出しに 宝物のようにしまっている
そして、あなたはきのうのように 今日という日を思い出す。
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高いとこから落ちたってグシャッとつぶれたって
また元通り 何度でもやり直しが 出来る
チャンスは 季節ほどにせわしく巡る
粘土で出来た 世界を粘土の兵士が
列をなして ゆく
銃や刃が 粘土なら 血も流れないのになあ
この世はあまりに リアルすぎる
こんなに悲しい思いをするなら血なんか いらない
花を 見て美しいと思う人はいても
それを踏みつぶしたいと思うのは
あまりに 滑稽だろう
だから クレイアニメーションのような
シュールな愛とストイックな世界で
あなたを愛したい
あなたを憎みたい
おかしいかなあ?
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悲しい気持ちは どうして言葉に出来ないのでしょうか
言葉にするだけで 悲しい気持ちが 傷にしみるんだ
うれしい気持ちは どうして言葉にしたがるんだろう
言葉にすればうれしさが倍になって 膨らむ
もっとうれしくなる
同じ涙でも うれしくて流す涙と
悲しくて流す涙とじゃ全然 違うんです
ラララ ラララ 言葉に出来ない気持ちになった時には
無理やり 言葉にせずに 胸の中で
悲しい気持ちやうれしい気持ちが 僕や私の一部になるまで
その喜びにただ笑っていよう
その悲しみにただ泣いていよう
或いは
その悲しみに黙っていよう
その喜びにふるえていよう。
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夜の帳がそっとおりて
静かな街に いつもの重たい闇が
広がってゆく 誰かの声さえ拾わない
チカチカと今にも消えそうな水銀灯と
自販機の明かりの中 君は一人
星さえもない夜空を眺めている
何かが 足りない そんな不安を残したまま
明ける夜は あまりに無防備だ
時々 誰かが 生まれ 消えてく世界の中
誰かのこと 考える余裕もないくらい
あなたを追い詰めるものが何か知りたい
出来ることがなくてもそばにいるだけで
冷えた あなたの手をあたためることぐらいは出来そうで
朝が明ければ 賑やかなものさ 街にまた人があふれて
心にもない嘘をつく 愛想笑いしながら
夜はすべての都合の悪いことを
隠してくれるけど朝はすべての都合の悪いことを照らす
はみ出したままの傷跡 埋めるのはなんだ
目をつぶって逃げたつもりの僕を許すな
ぶらぶらと さまよい流れる 日々に
慣れていた自分に 居場所をくれた
あなたのために 頑張れることの喜びを教えてくれたあなたのために僕は生きたい
そしていつの間にかあなたとこうして笑いあう今が思い出になる
ラララ 待ちわびているよ 夜の片隅で
迎えに来ておくれ まばゆいくらいの 笑顔を たずさえて
時々 誰かが 生まれ 消えてく世界の中
誰かのこと 考える余裕もないくらい
あなたを追い詰めるものが何か知りたい
出来ることがなくてもそばにいるだけで
冷えた あなたの手をあたためることぐらいは出来そうで
そしていつの間にかあなたとこうして笑いあう今が思い出になる
宝物になる。
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ささやかな幸せがひとつだけあればいい
あたたかな陽射しのような さもなくば雨上がりの虹のような
ちっぽけな喜びがくれたうれし涙のような
ひとつひとつの 幸せ 指で数えて
住む場所がある幸せ 家族がいる幸せ
仕事がある幸せ
勉強できる幸せ
そんなたくさんの幸せの中で これ以上何を望み これ以上何を欲しがるのか
そして 何を不服に思うことがあるのか
ささやかな幸せが 気づかないあいだに
僕らを優しく照らしている 朝に飲む一杯の珈琲のような
昨日見た夢のような
くだらなくてありふれた出来事のような
ひとつひとつの 幸せに目を凝らして
ここにある すべての当たり前は 僕らが勝手にそう呼んでるだけで
何ひとつ当たり前なことなんか ないからね
間違わないで
いつの間にか 大切なものは この手のひらから ひとつ残らず
すべり落ちてしまうから その前に
ありがとうや 愛してるなんて 言ってみよう 僕を愛してくれるすべての人に
ささやかな幸せがひとつだけあればいい
あたたかな陽射しのような さもなくば雨上がりの虹のような
ちっぽけな喜びがくれたうれし涙のような
ひとつひとつの 幸せ 指で数えて
あますことなく宝物にしていこう。