詩人:どるとる | [投票][編集] |
ある国の工場で働くY氏。この工場がなにを作ってるのかはわからない。位の低い我々はただただ運ばれてくるものを流すだけだ。
ある日、思った。隣の工程はなにをやっているのか、ここから出たことのないYは知りたくなり工場が稼働していない時間を狙って隣の工程へと行ってみる。
すると、たくさんの自分そっくりのロボットが並んでいた。
その途端、暗かった工場に電気がつき、見たこともない白衣を着た人間がやってきてこう言った。
「カンペキなプログラムだ。明らかに自分を人間だと思い込んでいる。ついに完成しました。心を持つロボットの完成です」
その途端、Y氏は目の前が暗くなった。意識がなくなる前に博士は言った。
「死に際も人間らしい。どうやら回路がショートしたようですな。人間でいうところのショックってやつでしょう」
詩人:どるとる | [投票][編集] |
人はなんにでも名前をつける。
人には人の名前、動物には動物の名前があり食べ物には食べ物の名前がある。
子供のエフ氏がただひとつだけ名前がわからないものがあった。
それは我々の生活にはなくてはならないものだと大人は言う。それなのにそれには名前がない。
大人はそれをなんの躊躇もなく使い、あろうことか身につけるという。材質はざらざらしていて伸縮性があり使い方としては肌につける代物らしい。一体なにに使う代物なのか
子供のエフ氏には到底わからない。
ただ大人はこれをある大事な時にだけ使う。そう言うだけであとは頑なにその名を子供たちには伝えないものだ。
きっと素晴らしい使い道があるに違いない。大人は大人になればわかると言っているから大人になるのがエフ氏も楽しみだ。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
他社とのコミュニケーション能力の欠如が問題視されている中、政府はコミュニケーションによる無駄な争いや事件や事故を懸念し、コミュニケーションをとらなくてもコミュニケーションをしたのと同じ気持ちになれる会話できる機械を作った。
思考する機械は売れに売れた。会話する必要がなくなった社会では人との会話はすべて機械を通して行われるので生活のすべては機械中心に行われる。
だがどんなに機械が発達しようと血の通わない機械とする会話はやはり退屈で機械はこちらに都合のいいことばかりを言い、喧嘩などする必要もする要因もなくなったがそれがぎゃくに苛立ちを募らせた。やがて機械は次々に廃棄処分にされ暴動が起こりやがて小さな国はあっという間に滅んだ。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
近未来。死刑ではあまりに甘いという意見が国民の大半から出たため、国は極秘に開発していた輪廻転生機を使って犯罪者を小さな虫や動物に永遠に転生させて生き地獄を与える。つまり何度生まれようが自然の摂理や脅威にさらさせて永遠に生と死を繰り返させる刑を死刑を廃止するかわりに制定した。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
目が見えない人は
目のかわりに
心で 相手を見つめる
耳が聴こえない人も
耳のかわりに
心で 思いを読み取る
心があれば そこにある風のささやきや草花の息づかいに気づくことができる
目や耳を頼らなければいけない理由はどこにもない
わたしはあなたの見つめる景色
わたしはあなたの聴いてる音色
そしてあなたはわたしの中で
わたしというただひとつの世界になる
そんな気がする
足の歩けない人は
足のかわりに
本の中で歩けばいい
手が不自由な人は
手のかわりに
口で絵を描いている
頭働かせて いくら考えてみても 世界は広くて 考えるうちにいやになる
だから心の中で わたしがわたしとお話するんだ
あなたはわたしが見つけた居場所
あなたはわたしの愛する人
いつかわたしはあなたの中に
わたしと同じ気持ちを見つけたよ
それがわたしの
一番好きなわたし
あなたを愛して はじめて自分が好きになれた
あなたに愛されている自分が 愛おしいのは
あなたがわたしを 愛してくれるから
わたしはあなたの見つめる景色
わたしはあなたの聴いてる音色
そしてあなたはわたしの中で
わたしというただひとつの世界になる
そんな気がする。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
ざあざあと 押し寄せる波音遠く
灯台の明かりが 指し示す先には 浮かぶ白い舟
夜の海は ただ闇を抱きしめたまま
誰かの 閉じた瞼の裏の世界のように
じっと朝を待っている。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
喧嘩した日の夜は いつもよりも長く感じるよ
早く明けてくれないかなあ いつまでも眠れない
嘘をついてばかりだ
ごまかしてばかりだ
だから当然の結果だ でもまだ終わるには僕らはあまりに愛を知らなすぎるよ
歩き出したばかりの旅だから
君のなんでもないの言葉は必ず何かがある時の合図だから 聞き返すよ何度でも君が素直になるまで
それが僕に残された役目だと思うから
愛はとても面倒なもので寄り添ってるだけじゃわからないこともたくさんあるんだ
言い訳ばかりの僕と
意地っ張りな君は
どこか少し似てるね だから気が合うのかな 僕らはこれからいくらでも思い出を増やせるよ
時間ならくれてやるほどある
愛してるなんてなくてもなんとなく 愛されてるってわかるのはもう心が通じ合っているから 僕が素直に謝れば
いつもの優しい君がほらそこにいる
人は愛する人の笑顔のためにきっと 辛いことも頑張っているんだろう
僕にもわかるよ 愛する人が僕にもいるから
僕も頑張れるかなあ
頼りないし 情けないけど とりあえずやってみるよ
君のなんでもないの言葉は必ず何かがある時の合図だから 聞き返すよ何度でも君が素直になるまで
愛する人に任された仕事だと思うから。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
この街に生きる人々の一人一人を僕は知らないし
君も僕を知らないだろう
どんなに声を張り上げたって意味はない
だからそっと静かに波が寄せては引いてゆく音を 聞いていよう
振り返るその背中に
映るいくつもの思い出が いくつもの物語を抱きしめてる
ああ 生きているんだ まるで息を吸って吐き出すみたいに 明日もあさっても
あなたの背中は何も変わらないままそこにあるのね
思い出ばかりにとらわれていたら明日を生きられないからね
そろそろ前を向いて歩きなさい
人は前に向かって歩く生き物だって誰かが言っていたよ
鏡のように映してる
あなたと私が見てる世界 それはいつもすれ違う
ああ それでもいいんだ 座ったり立ち上がったりするように繰り返しなさい
いつの間にかあなたの背中は思い出を背負ってるのね
ふと目を閉じて考える
どれだけの人がこの世界に生きているのか
そしてどれだけの人が明日を望むのか
ただ僕は誰かの背中を見つめたまま
そこに映る 影や光に気付いたよ
僕の好きな人の背中は泣いていた
振り返るその背中に
映るいくつもの思い出が いくつもの物語を抱きしめてる
ああ 生きているんだ まるで息を吸って吐き出すみたいに 明日もあさっても
あなたの背中は何も変わらないままそこにあるのね
たまには疲れたその背中を後ろから 抱きしめてあげなさい。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
雨は何を濡らすために降るのかな
たとえば僕に何が出来るかなあ
泣くばかりの君に傘がひとつあれば
なければあなたの手を差し出せば
寂しさくらいは紛れそうで
目には見えない雨が降るこの世界ではかわりにぬくもりや優しさが傘になる
愛に紛らせて
欲をかかないで
汚い僕の手は洗わないまま
これが僕だとさらけ出してしまえ
憎まれ口はそのくらいにしてやれ
明日雨だとしても僕が太陽になろう
足元くらいは照らせそうで
痛みを共有出来ないこの世界ではかわりに知ったかぶりが愛になりすましてる
汚い言葉でも
愛は叫べるのに
目には見えない雨が降るこの世界ではかわりにぬくもりや優しさが傘になる
愛に紛らせて
欲をかかないで
「傷ひとつない愛」そんなものを愛とは呼ばないで。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
強がったって 何も出来ないくせして
どうして 意地を張り強がってしまうのか
涙を流すことを弱さをさらけ出すことだと 勘違いした人が
いい加減なことを言いふらす
涙を流すことを弱さだというのなら
涙を流せないあなたのほうが弱い人だと思うよ
自分に素直になれないから 心に素直になることがどうしていけないことなのか
僕にはわからない
心に嘘をついて悲しくないふりして
無理やり笑うくらいなら 僕は存分に泣きたいよ
愛想笑いが似合う人より涙の似合う人になりたい
君にも心配してくれる人がいるだろう
優しさって 押し付けるものじゃないよ
さりとてもらって困るものじゃないけれど 見返り求めるならそれはもう愛じゃない
きれいごとだけでは片付かないことがある
腹のうちをさぐりあったり疑いあったりするような世の中だから 思い合うゆとりさえ持てないんだね
それは思うより悲しいことさ
本当の気持ちを偽って 生きているうちに いつの間にか笑い方さえ忘れてしまう
僕の心はどこに行ってしまったんだろう
世知辛い世の中の風は冷たくて 優しさを求めれば求めるほど
かわりに知るのは 人の醜さや汚さです
それでも忘れたくないよ誰かを信じること
僕らはその大切さを痛いほど知ってるから
心に嘘をついて悲しくないふりして
無理やり笑うくらいなら 僕は存分に泣きたいよ
愛想笑いが似合う人より涙の似合う人になりたい
その涙は きっと明日の笑顔に変わる
雨上がりの虹みたいに その笑顔は泣き止んだあなたの顔に似合うだろう。