詩人:どるとる | [投票][編集] |
僕はいくらでも
積み重ねる
涙を 空に届くくらい
高く 高く 積み木みたいに
それはまるで
いつかの昔誰かが
空に手を伸ばして
神様の怒りを 買った
あのバベルのように
いくつもの思い出を
ひとつ またひとつと
増やしていって
いつの間にか こんなに
忘れられなくなって
やがて 僕のこの手も
空に 届くだろうか
君に 届くだろうか
僕は いくらでも
間違えてしまう
世界から 正しさ以外を
排除したら とてもつまらない
間違いとか正しさとかは
誰か一人が決めるものではないことを
僕らは 知っているから
知らないことがあるほうがいい
いくつもの思い出で
真っ白な 心のキャンバスに
色を 足していく
花が咲いたら いいね
雨も 気持ちいい
僕は笑うけれど
君は笑ってくれるかな
夢うつつのままで
なんとなく
降り立った大地に
僕は花のふりをして
世界の 一端を
染めてみるけど
どうかなあ
どうかなあ
いい線 いってる気がするけど
まだ あと少し
理想には 届かない
いくつもの思い出を
ひとつ またひとつと
増やしていって
いつの間にか こんなに
忘れられなくなって
やがて 僕のこの手も
空に 届くだろうか
君に 届くだろうか
この声は。
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笑っていました 悲しみの中でも
夕焼け空が見下ろす路に影を落として
こんなきれいな景色の中に涙は似合わない
もういいかい まだだよ
誰かの声がした
いつかの僕らも こんなふうに
見えない何かをあてどもなく探した
単純な言葉で
難なく 通じ合って
単調なリズムに
すとんと乗っかって
たとえば
ふいに 目線にちらつく
紫や赤の
あじさいに 心を染められて
やっと夏だと気づくような体たらく
ささやき声で 伝えてよ 愛を
覗き込む思い出のバケツの底に光る
あの 線香花火のほろ苦い余韻
先に落ちたほうが負けだよ
君の声がした
いつかの 僕らはあんなふうに
今をただ精一杯 生きれていたのに
企みのない笑顔で
今を 笑って
まっすぐな 気持ちで
誰かを 思いやって
たとえば
疑うことなんか知らなかったから
裏切られることも
作為的な嘘も
僕らがいた世界には何ひとつなかった
好きだよと 言えば
好きだよと こたえる
そんな 会話には
悪意はみじんもなく
ただ目の前にある
楽しすぎる毎日に
僕らは のめり込んでいた
のめり込んでいただけで
幸せになんて すぐに なれたのにいつから汚れてしまったんだろう
単純な言葉で
難なく 通じ合って
単調なリズムに
すとんと乗っかって
たとえば
ふいに 目線にちらつく
紫や赤の
あじさいに 心を染められて
やっと夏だと気づくような体たらく
ほら 今さら 心のどっかで
僕の線香花火が 落ちる 音がした
それはずっと押し殺していた涙だ
僕のほうが長続きしたのに僕の負けだよ。
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通り過ぎてく 車窓の景色が
風に 流されていくのをただ 眺めていた
どうでもいい 誰かの始まりと終わりを乗せて回る世界
記憶に生った果実のような思い出が
熟して 落ちて ほらもう食べ頃です
歯形を残して 食べかけのままの時間
まだあと少し笑えそうだ
まだあと少し泣けそうさ
余韻を楽しむ時間も与えられない
後味はほのかに痛みだけを伝える
開け放された時間の中では ありふれたことも幸せに見える
一気に飲み干すにはあまりにもこの世界は
惜しくて 尊くて 味わいながら
甘さのあとの苦さ
クセになる その味
まだ もう少し 生きていたいんだ
まだ もう少し 雨に濡れていたいんだ
時計が 何周も
夜と朝を行ったり来たり
何度目の夜でも
朝でも
一度きりの今だ
通り過ぎてく 車窓の景色が
名残惜しむ僕に 手を振っている
記憶に生った果実のような思い出が
熟して 落ちて ほらもう食べ頃です
歯形を残して 食べかけのままの時間
まだあと少し笑えそうだ
まだあと少し泣けそうさ。
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目を覚ました世界が
またもう 一歩
物語の終わりに
手を伸ばした
誰かが 描いた
世界に世界が
折り重なって
積み重なって
同じパレットの中で
ひとつの色に変わる
色とりどりのストーリー
分岐して軌道を外れても
また 同じ道で落ち合い
ここからまた始まってゆく
めくったページの先を
目で追っていくのが
今は精一杯だけれど
あらすじを探す旅
誰かの決めた
ルールの中じゃ
うまく笑えない
嘘もつけない
未来を染めるのは
君の指先だけだ
発展途上のストーリー
道を外れて枠からはみ出して
誰も知らない物語のページを捲ろう
いろんな色で染まってく世界
ひとつの色ではおさまらない
たくさんの色で染められた世界には
あなたなしではつまらない
どんな色も欠けてはならない
だから正しさなんてまやかしだと笑え
色とりどりのストーリー
分岐して軌道を外れても
また 同じ道で落ち合い
ここからまた始まってゆく
そして
また明けてゆく空
何色でもない
カラフルワールド。
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見上げた 誰かの瞳がとらえた
どこまでも続く果てのない夜空
悲しみは しばらく置き去り
あとは簡単 笑い出すタイミングを
逃さないように見計らって
跡形もなく消えていく一日の寂しさと
そうやって少しずつ
積み重なってく
思い出と
何気ない誰かの優しさが
ちょうどいい具合に
混ざり合って
ほら なんでもないひと時を彩ってる
神様の視点で見つめた世界には
多分他人事だからつまらない
ちゃんと雨に濡れる体があって
感情に左右される心が 高鳴って
生きてるって わかるんだ
降りかかる悲しみを受け流す傘はないけど
同じ痛みを分かち合える
誰かが そばにいれば
ありふれた思いと
あいまって
この恋の行方を風が明日にはこんでく
ふいに おとずれた
その時
恥じらいを隠せずに
君の顔さえ見れない
それでもなんて
今日はいい日なんだろう
明日に追い風が 吹いている
跡形もなく消えていく一日の寂しさと
そうやって少しずつ
積み重なってく
思い出と
何気ない誰かの優しさが
ちょうどいい具合に
混ざり合って
ほら なんでもないひと時を彩ってる
ほら ありきたりな毎日も特別に変わる
変わってゆく。
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目を閉じて 耳をふさいだ世界には
ただ 暗闇と無音が世界の仕切りをなくす
用意された 体と心を傷つけながら歩いていく
この世にあるすべてのありとあらゆる対をなすもの
僕の影は 行き場をなくしてしまうよ
誰かが 僕の存在を否定してしまったら
その日、僕は誰よりも愛さなくちゃ
いけないはずの自分自身を嫌った
繰り返される夜と朝の真ん中で
行ったり来たりする意識と無意識
振り子のリズムに合わせて呼吸する命
始まりと終わりがすれ違う世界で
今日も僕らを かたどる静と動の波。
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日が傾きかけた空が電車の窓から見える
片道切符を握りしめた僕はあくびをしてる
メトロノームのように 行ったり来たりするだけの
変化のない毎日の中を往復してる
飛び抜けていいニュースもない
せいぜい気にするのは 明日の天気予報くらいで
近頃僕は 何をするにも 身が入らずに
ぼんやりしてて 心ここにあらずです
少しばかり飽き飽きしてるストーリー
移り変わる景色過ぎてく窓に 映る日々
ありふれた 映画のありふれたワンシーンに
重ねてる なんでもない日常の上書き
やりたいこともこれと言ってないし
行きたい場所も欲しい物もない
正直人生に宛もない
暇つぶしの作り話もない
ため息つくたび思う 僕は何のために生きてるんだろう
今日と明日 そしてまた明日
ただ繰り返すだけのデイバイデイ
途中で投げ出してもいいくらいのストーリー
昨夜、読んだつまらない小説のよう
見つかりそうもない生きる理由や意味を
絡まった紐をほどくみたいにして
なんとかごまかしながら言い繕ってきた
それは いつまで続くかな
わからないけど今日も生きてる
近頃僕は 何をするにも 身が入らずに
ぼんやりしてて 心ここにあらずです
少しばかり飽き飽きしてるストーリー
移り変わる景色過ぎてく窓に 映る日々
今日が明日に明日が今日になっただけ
それだけで 何も変わらない 僕らの日々。
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目を閉じた瞼の裏に広がる
暗闇はスクリーンになって
意識の死と共に始まる シネマ
いくつもの 記憶の中
たくさんの思い出が
引き出しのようにしまわれている
雨に降られた 今日があって
陽射しにめぐまれた今日もあって
死にたくなった 今日があって
生きてて良かった今日もあって
そして今ここに今日がある
地平線に沈んでく夕日
空が瞼を閉じるように見えたよ
さよならを言うなら今だ
泣いてる人の前で
笑えるわけないよ
だからまずは人の幸せを願う
誰かを愛した 今日があって
誰かに愛された今日もあって
憎み憎まれた今日があって仲直りするために今日があって
今日があるから 明日がある
幸せそうに笑う明日の為に 涙流す今日があるなら
僕は今日は泣いてもいい
明日笑えるなら
ずぶ濡れになって 今日を生きよう
泣きながら明日に行こう
今日の涙は明日の笑顔を何倍も 輝かせてくれる
雨に降られた 今日があって
陽射しにめぐまれた今日もあって
死にたくなった 今日があって
生きてて良かった今日もあって
そして今ここに今日がある。
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背中合わせのストーリー
どこまで続いていくんだろうかこの退屈は
地図なんて 持たせてもらえなかった
答えもないままに ただ生きろと言われ
神様もいない世界では本当の意味では誰も
主人公にはなれない
何もかも混ざり合ったような街で
今日も 誰かが おざなりの夢語ってる
ふっと吐き出した
煙草の煙が 風に流され
僕より先にあてどもない旅に出る
行方知れずの 風来坊
僕を 置き去りにどこに行くのか
僕が読み始めた物語ではないのに いつの間にか宿題が出来た
足りな過ぎるヒントだけを与えられ
つまらない誰かの押しつけがましい
人生のハウツー本に助けを求めたばかりに
遠回りな人生です
節操のない この街のカラー
人も 流行りも いつかの焼き増し 使い回し
半袖では少し寒い
零時を回った新宿の夜
数日前あっけなく死を選んだ友人
叶わぬ夢に疲れたって
メールに 一言だけ 添えられてた
人が一人死んだって東京の街は
嘘の涙さえ流さない
何のために生きてるのか
理由なんてきっと なんだっていいのに
生きがいがないだけでこんなにも 生きるのが辛い
ふっと吐き出した
煙草の煙が 風に流され
僕より先にあてどもない旅に出る
行方知れずの 風来坊
僕を 置き去りにどこに行くのか
僕も連れて行ってよ。
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僕の時計が動き出してから どれくらい経ったのかな
あの時はまだ小さくて 世の中を知らなかった
僕の瞳に映る世界は大きすぎた
命を刻む時計の針があと少しで その時を指す
思い出の向こう側
二人は今も 刻まれる一分一秒の中で生きる
カチカチと秒針が二人の中で動けば
少しずつ少しずつ 終わりは見えてくる
いつの日か止まるだろう 二人の時計は
あの日の産声を抱いたまま 脈打っていく
年老いた白い時計は少しガタがきて鈍い音がしてる
だけれども坂道を確かにのぼっていくよ
世の中を知ったような知らないような僕らは
何もかもわかった顔で それぞれの今を時の向こう側で生きる
ただなんとなく続くとこまで動けば
少しずつ少しずつ 受け入れられるよ
いつの日も一緒だった 二人の時計は
幾つもの物語を抱いて ラストスパートを走ってく
ああ 君のあの声や表情の細部まで
描いたようなビデオや写真の中だけで
続く幸せなら 心に刻まれた思い出にはいつまでも勝てやしない
だから特別何も残さない 大切なものは
いつでもこの瞳の奥にたぎらせてる
カチカチと秒針が二人の中で動けば
少しずつ少しずつ 終わりは見えてくる
いつの日か止まるだろう 二人の時計は
あの日の産声を抱いたまま 脈打っていく
ただなんとなく続くとこまで動けば
少しずつ少しずつ 受け入れられるよ
いつの日も一緒だった 二人の時計は
幾つもの物語を抱いて ラストスパートを走ってく
そしてやがて坂道の終わりが見えたなら
その場所で最後の口づけをしよう
ありがとう あなたと出会って良かった
そんな言葉を永遠に消えないように
心の中に その瞬間を深く刻み込んで。