詩人:どるとる | [投票][編集] |
旅人が長い旅路を歩いていた
旅人は疲れきり今にもたおれそうだ
やがて旅人はついに行きだおれてしまった
そこにあらわれた神様が旅人の前に小さなリンゴの樹を生やした
神様はリンゴを食べなさいと言うと旅人は首を振り
「リンゴは食べられません」と言った
「なぜだ?リンゴは嫌いなのか?」と問うと
旅人はまたも首を振り「大きなリンゴの横には小さなリンゴが2つ生っている。私にはそのリンゴが大きなリンゴの子供に思えて仕方ない。リンゴを食べてしまったら小さなリンゴは2つきりになってしまう。私にはそのリンゴたちを引き離す資格はありませぬ」
それを聞いた神様が悩んでるうちにそう言ってやがて旅人は息絶えてしまう
だがこんなにやさしい人間を死なせたとあってはあまりに不憫
神様は旅人を転生させた。旅人は神様の計らいで金持ちの王様に生まれ変わったが、旅人は王位を振るうことはなく貧しい民に無償で食料や薬を与えるような心優しき王様になった。
その王様は死んだあとも後世にまで語り継がれるような偉大な王様になりました。
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ここはとある国。名をクリーンランドという。
クリーンランドにはきれいな人間しか暮らせない。
人を憎まない。人を傷つけないことは勿論、争いの引き金になるような思想の持ち主はこの国では死刑の対象になり大人子供に関わらず罰せられる。
一年に一度(清浄測定診断)がある。
測定器のメーターが一定の数値以上を越えると死刑が確定する。
ある女と黄色いタグをぶら下げた男が測定器の前に並ばされる。
黄色いタグはギリギリのラインにいるいわば危険な要因を持った者につけられる。
女と男が交互に診断される。
測定器は機械的な音声で言った
「右の女はアウト」
「左の男はセーフ」
アウトと診断された女は逆上し、なぜだと言うと測定器はまた機械的な音声で答える。
「あな…たは確かに清らかな心の持ち主だ。まるで絵に描いたような。教会に毎日足しげく通い身なりもきちんとし、処女を守りも健全な数値を示している。だが、心が汚れている。どんなにきれいな自分を装おってもそれは仮面で隠したあなたの素顔ではない。よって偽りのクリーンさは十分死刑に値する」
それを聞いた女は泣き崩れた。男はそんな女にこう言った。
「あんたは可哀想だ。俺みたいな穀潰しは死刑になってもいいが、あんたみたいなきれいな人は死刑になったら可哀想だ」
それを聞いた女はポロポロと涙を流し心の底から反省した。
そして測定器は女に近づくと青いタグを渡した。
「今ならあなたは生まれ変われる。自分の犯した行いに反省できる人間は清浄だ」
タグを受け取った女はありがとうという言葉を何度も何度も繰り返し呟きその場に泣き崩れた。
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いつからだろうこの国で戦争がなくなったのは。
戦争で人が無惨に死ぬのが馬鹿馬鹿しいとやっと気づいた政府が戦争を放棄し銃や刃物の一切をこの国から完全になくした。
銃や刃物はリサイクルされどろどろに溶かされ固められ町のオブジェや机や椅子などに生まれ変わった。
平和は約束されたのである。
だが、その代わりに少しでも政府に逆らったり平和に異を唱えるものがあらわれた場合には容赦なく射殺された。
なかには子を身ごもった女や学生などもいた。
平和と引き換えに人は戦争よりもおぞましい間違った何かで平和そのものを取り違えて
人々の自由な思想や命の尊厳を平和という名目で奪った。
戦争がなくなってそれからまもなく国家は何年もしないうちに滅びた。
戦争はその後続いたが、人々はそれでも前の国家よりは平和だと心穏やかに新しい国で毎日を健やかに暮らしたという。
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王様が変わってからというものおかしな法律ができはじめた。
その中でも一番おかしな法律は色彩識別という法律だ。
極端な王様は国に争いが起こらないよう徹底した平和活動と銘打ちその法律を作ったようたが、
まず、色分けされたプレートを名札のように胸につけられる。
そのプレートは濃淡の濃い青から徐々に薄くなり最後は透明に近い青がある。
濃い順から国に逆らわぬ国民にふさわしい健全な人間という基準らしいが、それはかなり微妙なものでありたまに色を間違えて処罰されるということもあった。
だが、王様はそれでもその識別法をやめなかった。
ある日、王様より上の位の王々様にあなたの識別がまだ済んでおりませんと言われたので王様は識別するための機械に自分のデータを読み込ませ結果を待った
すると機械がこう告げた。
「アナタノココロハケガレテイル。タミノカナシミニモキヅケナイヨウデハトウテイイキテルシカクナシ。ヨッテオウイハクダツオヨビシケイヲメイジル」
それを聞いた王々様は王様を断頭台で死刑にした。
死ぬ直前、助けを懇願した王様に王々様が冷ややかに言った言葉が国民を凍らせた
「オマエガジブンデキメタホウリツダロサイゴマデセキニンヲモテ」
民たちは口をそろえて言った。
「なぜ王様は自ら死んだのだろうか」
その後王様以外に王々様を見た人、あるいは知っている人はいない。
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ヒーローがながったらしく
前口上をやっている間は怪人や怪獣は手を出さない
律儀に前口上が終わるのを待ってから攻撃するから場合によってはヒーローより礼儀正しい
ヒーローはなぜか素顔を知られてはならない
以外に顔は普通だったりするし職業も自由な無職やフリーターだったりする
しかもただ働きが多い
的組織側の戦闘員はいくらでも補充可能で次の戦いのときにはさんざん苦労して倒したはずの戦闘員がバカみたいに復活している
なぜかどの特撮も最後感動巨編にしたがるから簡単にヒーローが死んだりする
あれだけやられてもヒーローの服やスーツはやぶれないし焦げあとさえもない。傷ついたりやぶれたりしてもほんの少し。
制作費を削るためにヒーローの中身はおっさんとかがやることが多い
CGを使ってもやたら光っててとにかく何が行われてるんだかよく見えない
ヒーローの決め台詞はそれほどかっこよくないし、ヒロインはそれほどきれいでもない
さらわれたり人質にされるのはいつも子供か女で男はせいぜい怪人にされるか気絶させられるかのどちらか。
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生きていることが時々曖昧になってしまう
それは誰のせいでもなくて誰も悪くない
明日に届けと 叫んだ声はすぐに風に消えた
望むなら この世界で誰もが笑うような
幸せな未来を僕は願います。
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雨は止むことを拒むように降る
それは命が踏ん張るように見える
最後の滴が落ちて涙が降りやんでも
心にはさっきまでの悲しみが残ってる
無理してみんな笑ってるんだろうか
生きる辛さを我慢してまで笑ってるのかなあ
もうこれ以上歩けそうもないよ
足がもつれて前に進めない
それでも生きたいと願うのは
気まぐれなんかじゃなくて
強くなろうとする心が覚悟を決めた
歯を食い縛るたくましい勇気だ
今にも花開きそうなつぼみが
必死に今を生きようとする勇気だ。
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六畳一間 ベランダでは家庭菜園 自給自足の家庭的なヒーロー
月5日のアルバイト 時給千円の高収入 貧しいながらも幸せです
ママチャリで近所を一周 パトロール
挨拶を忘れずに おはよう こんにちは
おまけにこんばんは
今日も あなたの住む町を ひそかに見守るヒーロー
誰も知らない覆面の下の素顔 感謝されなくてもかまわない
一人でも多くの人が笑ってくれたならそれが感謝の代わりだ
夕暮れの町 寂しくなる 人気のない町は
なんだか 切なくて涙が覆面を濡らす
明日も 明後日も この町を守るよ
心に正義の証 誰もが誰かのヒーロー
今日も あなたの住む町を ひそかに見守るヒーロー
誰も知らない覆面の下の素顔 感謝されなくてもかまわない
一人でも多くの人が笑ってくれたならそれが感謝の代わりだ。
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「おかえり ただいま」
何気なく 言葉にしているけれど
あとどれだけ言えるかな
あなたにいつまで言えるかな
エプロン姿のお母さんがドア開けて
あなたの帰りを待ちわびてたように
笑顔で今日も出迎えてくれる
そんなことも知らずに
ちゃんとまともにただいま言えなかった
家に帰ってもお母さんはもう
出迎えてはくれないよ
だってもうお母さんはいないから
もっと もっと 困らせたい
まだまだあなたの世話になりたい
でもそれもかなわない願いになってしまったんだね
ああ ただいまを言えないままの
絡まった気持ちだけが残ったまま
あなたにもらったおかえりの声だけ
いつまでも僕の胸につかえたまま。