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ある図書館で貸し出された本の中にひときわ大きなもくじだけの本がある。何百ページと続く本すべてがもくじで埋め尽くされている。
肝心の中身がないのだ。
なぜこんな本があるのかと図書館の司書に問うと司書は双眼鏡を取り出した。
ばかでかいプレパラートに本を裏表紙にして置くとのぞけと促した。
覗いてみるとたくさんの活字が第一章から最終章まで分子レベルの細かい字で書かれていた。
ただ、そのすべてがある人物の人生における失敗談をまとめたもので内容はひどくつまらないものだった。
ただの黒い裏表紙だ と思っていたのはすべて本の中身だったのだ。
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六畳ほどの部屋に男が寝ている。蚊が頬にとまるとパンと頬を叩き蚊を落とした。
別の日、蚊の親子が昆虫専用のマーケットで新発売の人間用と書かれた線香を買っていった。
「ママ、これで僕らは人間に殺されなくてすむね。人間なんてこれでイチコロだよ。」
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ある眼鏡屋に新商品の眼鏡が発売されていた。
その眼鏡をかけると全然見えない。
それどころか真っ暗な真っ黒な闇が視界を覆う。
これはなんのための眼鏡なのかと店主に聞くと
「ああ、これは目が節穴の人用の眼鏡です。節穴じゃない人がかけても何も見えませんよ」
入れ違いに来店してきた客がその眼鏡をかけて
「これはよく見える。私の節穴の目にぴったりだ。これで私もおまえの目は節穴かなんて言われないですむ。大事なことをもう見逃さないでいられるね」
それを聞いていたが、節穴の目を持っていない彼にはさっぱりその良さがわからなかった。
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長い休みが終わるとやれどこに行っただのと旅行の自慢話でクラスは盛り上がる。
Kくんは家にいたというが、町内にいながらにして世界一周をしたというのだが、どういうことかを聞いたクラス一同は大爆笑した。
「パリという喫茶店に行ったりスリランカというカレー屋に行ったり南極というパチンコ屋に行ったりしたよ。まあ次の休みにはベルギーっていうケーキ屋に行くけどね」
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少しつま先立って
上昇気流に 乗って
何処へ行こうか
物語は宛もなく 風が吹く方へ
泡になって消えたマーメイド
輪廻があるのなら
もう一度 生まれ変わって
変わらないあの笑顔で
波間を跳び跳ねてみせて
ウィンクひとつで悩殺
僕はもうあなたの虜
飛び魚の ジャンプ
きれいな半円を描いて
まっ逆さまに落ちてく
夢の果てへ 奇跡の真ん中へ
物語の盛り上がり場へ
しぶきを上げて あっという間にもう見えない
さよなら マーメイド。
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君のすべてに イエスと答えたい
僕なのに そうできない僕だよ
ごめんね 君を思うと辛くあたってしまうのも愛の裏返し
世界中 どこを探してもいないような君だから
君には僕の足りない部分を 知っていてほしい
あとひとつ 何かが欠けているような 思いを残して
お互いにダメだなあなんて笑いながら 気付くんだよ同じ光に。
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お互い様なんだよ ダメなとこ数えたら
きりがないこともわかっているはずだよ
気づいたときにはもう一緒にいるのが
当たり前になっていたみたいだ
こうして 笑ったり泣いたりして
気づけば 何気ないくらいあっという間に過ぎてく毎日がある
手をつないで キスを重ねて ぬくもりをたしかめて
忘れられないくらいの思い出に 溺れたい
喧嘩した数だけたくさんの傷を 負っても
おなじだけ 仲直りできたなら
多少不恰好でも 二人は二人のまま
誰かが引いた愛の道を 迷わずに歩いていける。
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僕の中の僕が叫んだ 言葉は僕を殺す
今日の僕は明日の僕ではないことを
明日の僕はもはや今日の僕とは
かけ離れた僕であることを知っている
僕が僕であるあかしはどこにもない
だから僕は僕であって誰でもない
僕は他の誰でもない僕なのに
僕からはみ出せもしないのに
僕であるために僕以上でも僕以下でもない僕だ。
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いつでも代弁者たちの声を肩代わりする
そんな歌を歌いたいよ 妥協なんかしないで
アンサーソングのように 期待を裏切らない
悩みを断ち切るような答えを出したい
あなたの為に この歌があるなら
世界中の悩める人たちの足掛かりになればいい
棒切れだって 杖くらいにはなる
たとえ聞きあきたような言葉でも
そこから 見える景色は違うだろう?
この歌はあなたにとっての答えのヒントになる
世界中の待ち焦がれてるアンサーソングさ。
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アウトローな暮らしにあこがれて旅に出る
ボロボロのバイクで風を切る 風を切る
物語のあらすじは宛もなく蛇行して
ふらふら 落ち着ける場所を探すように
もうしばらく 気まぐれな旅は続く
このままもう少し僕のわがままにお付き合いを
レールから外れた旅の行方は風のみぞ知る
アウトライダー 風の残した 足跡を追え
奇跡が落としたパンくずを拾う旅。