詩人:どるとる | [投票][編集] |
不注意の結果でつまらない岩場に座礁してしまった舟
ずっとずっとあこがれてきた遠い日の夢ももう叶わないとわかったらただの幻だ
時々は思い出す
その夢を叶えるために燃えていた若き日の情熱をその熱苦しさを
背負ってきた夢なんてもうどうでもいいやなんて
くだらない言葉を吐き捨てて
真っ赤な夕陽に今日も僕は泣く
意味もなくただ泣くのさ
ひとりぼっちのこのぼくを照らす月の光
町は安らかな眠りに落ちて
やがて 目覚めるまで時を惜しみ命を惜しみ絶望的な現実に死ねずにいる僕は宙ぶらりんなこうもり状態
そして空は夕闇に包まれて
そしてぼくの心も日が暮れるように暗闇に包まれて
ありもしない答をただ
探している旅の途中で
ぼくが出した
答はぼくの手づくり
すっかり日が落ちて真っ暗になった町が窓の向こう側できらびやかに輝くネオンでとてもまぶしい
あんな世界はぼくには似合わない
だから今日も光のない夜に逃げて
今 暗闇の中
そして空は夕闇に包まれて
死んだような顔でただ死ぬのを待つ
そんなぼくがここにいるさ
ねえ もしも生きることが何より素晴らしいというならば
ぼくは素晴らしい人間だろう?
当たり前と笑わないで
懸命に日々涙するぼくを知らないくせに
座礁してしまった舟はやがて暗礁を乗り越えまた海原を突き進む
穴のあいたところは
また楽しい嘘で塞いで
ぼくはまた平気な顔で日々の流れに舞い戻るさ
夜が明けたら
目覚めたその世界に
おはようを言う
昨日と何ひとつ変わらないその世界に
あいさつをする
今日もほどほどに頑張りたい
これは願いであって誓いじゃないのさ
そんなににらまないでくれよ
痛む良心を押し込めてたまには自分を裏切ってやらなければいけない事も投げ出すくらいするさ
怒れる心をかき乱す
平静と情熱の間に
ある何かしらの思い
その境目に降る雨。
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心を揺さぶるメロディ
この町に腐るほどあふれている
全てに答を出そうと思ったらそれは無理なこと
だから僕が君を愛してるという方程式さえわかっていればそれでいい
君を愛し続けて
狂うほど愛し続けて
このまま 死ぬまで
僕はひとりぼっちだ
重ならない愛は重なれない愛だから
僕らは同様にひとりぼっちだ。
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嘘をつくのは自分を守るためだとかなんとか言ったわりには拍手が欲しい
嘘をつくたび鼻が高くなるピノキオみたいにつきたくもない嘘をついては鼻が高くなるのを見る
天狗みたいだと笑っている僕だが本当は悲しいのさ
これでも悲しいのさ
ピノキオのような
精巧な人形にはなれそうもないや
嘘もくだらない嘘ばかりだから
僕の中でいつでもこんな馬鹿げた人生など終わりにしたいと思ってる心がありとあらゆる理由や言い訳を持ち出して生きようとしている僕をつくりだす
生きたいと思ってる心だけは嘘じゃないからね
嘘吐きな僕だけれど
それだけは嘘にできなかった
それだけは嘘に変えたくなかった
嘘吐きな僕だけど
完全には嘘吐きにはなれなかった
中途半端なピノキオもどきだ
天狗になったのもただ見栄張りなだけ
嘘吐きピノッキオ
今日も嘘と本音の境界線をまたいで本当でもなく嘘でもない曖昧な言葉を吐き続ける
見かけ倒しのピノキオ。
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いくら書いてみても満たされることはない詩人の心
どうすればいいのかもわからないまま
ただ狂ったように毎日書き続けているよ
誰かとか世の中に認められるために書いているんじゃない
ただ人知れず自分の中で始まっていつか完結すればいいと思ってるんだ
詩人は今日も机に向かい 携帯とにらめっこしている
詩人は明日も机に向かい 纏まらない思いに悪戦苦闘してる
イメージした思いを具現化した時に
イメージと表現の違いに現実をまのあたりにしてしまう僕がいる
僕がいるんだ
イメージの中では楽に書けると思っていた詩でさえほら表現するとなったら表現の壁を越えられず
諦めてしまう僕さ
机に並んだいくつもの失敗作
書いては気に入らず
ゴミになって山積みになる
完全なものを求めても完全な形にたどり着けず座礁してしまう思いだ
イメージは壊れて
指先は小刻みに震え 自信は粉々になり暗礁に乗り上げる気持ちさ
そうなったらもう書く気すら無くなる
途方もない闇に閉ざされた
鍵を内側から掛けて他人との干渉を避けてしまう
だけれど イメージは生まれるから 書きたい気持ちは消えない
くだらなくてもイメージは尽きない
ああ その狭間で苦しんでいるよ
少しずつ少しずつ
纏まってきてはいる
だけれど日々が積み重なるとともに完成度にばかり気がいってしまう
詩人は今日も机に向かい 携帯とにらめっこしている
詩人は明日も机に向かい 纏まらない思いに悪戦苦闘してる
イメージの中では楽に書けると思っていた詩でさえほら表現するとなったら表現の壁を越えられず
諦めてしまう僕さ
僕とイメージと表現のあいだには大きな壁が今も目の前に
ありもしない壁なのに僕は打ちひしがれて
イメージはできても
表現するというだけで行き詰まる
言葉はパズルのようにバラバラになって無数に増えて次々に分散するよ。
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泣くのも笑うのも何かと気を遣うものですから
いつでもどこでもできるわけじゃないし精神すり減らしてしまうから ずっとはできない
気持ちよく笑えたり泣けたりすることがいちばんいいに決まってる
だけれど難しいことさ
泣いて 笑って
また 泣いて
繰り返すあたりまえな毎日がやがて一冊の本を読み終えるようにはかなく終わってしまうから
人はなるべく一生懸命に物事に立ち向かい賢く生きようとするのさ
懸命な努力も実らないまま失敗は次々に咲き乱れ
それでも舵をとる僕
大したもんだろう
たまには褒め称えてやれ
泣いて笑ってまた泣いて
手持ち無沙汰になったその時に。
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優秀すぎる彼の人生はまるで作り物のように確かに精巧な出来ではある だが、あまりに精巧であるために生き生きとしたものが何ひとつないのだ
まるで完璧すぎる歌劇のように台本通りすぎて全くつまらない
アドリブも何もない
引かれた路線の上を走る列車のようになんの面白味もなく平行に流れるだけの
迷いのない人生だ
それはそれで素晴らしい
だが あまりにも彼の人生は劇じみている
すると彼は平然とわたしに言う
天才は真っ直ぐにしか歩けないのだ、と
わたしは言葉を失った
あなたは人間であるいぜんに天才だったんだとその時はじめて思わせられた
現代に生きるシェイクスピアよ
歌え ありのまま
台本通りの現実を
描け ありのまま
あなたは間違えるということはない
あなたには過ちというものがそもそもない
だが、人間ではない
あなたはあくまでも『天才』であなたにとっては『ただの天才』だから
わたしの言葉などはじめからあなたには別次元の定理だったのだろう?
などと言い交わしただけで天才との夜は更けた
昨夜あなたが言った
あの言葉が脳裏を掠める
『天才は真っ直ぐにしか歩けない』
まさにその言葉が本当ならばまさにあなたのことだ 本物の天才とはいかなるものかと疑うのなら
あなたしか該当しないだろう
だってあなたは少なくともわたしの中では群を抜く天才だから。
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描かれた笑顔だからこそモナリザはあんなに微笑めるのだろう
口が裂けるほどに笑えるのだろう
モナリザは笑わない
そう描かれなければ
モナリザも笑えない
絵の中だけの笑顔だ
モナリザだって
大げさだって
思ってるって
モナリザの仏頂面
隠すように
絵の中のモナリザは
これでもかってくらい笑う ありえない笑顔が不気味に白い歯を剥き出しにして世の中を笑う
そんな夢をいつか見たんだ
素直に笑えない僕の笑顔をモナリザは笑ってたんだろう
全てを笑ってたんだろう。
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いつものように
目いっぱい笑えたなら
いつものように
我慢せず泣けたなら…
今日はなんて素敵な1日なんだろう
心が躍ってる
ガタゴトいつもの帰りの電車に揺られ
あらゆる気持ち抱いて
大きな窓の外に描く夢
これからの設計図
幸せの定理などわからないけれどたぶん今日1日幸せだなって曖昧でもなんとなくでも思えたならそれは幸せな1日だったんだろう
終わりよければ全てよし
最良なるハッピーエンドだと思うのさ
窓の外には今まさに沈む夕陽
振り向けば ほら…
明日も頑張ろう…
帰りの道 ひとり思う
そんなぼくを照らす月はいつもながらとてもきれいでなぜかこんな毎日がいつにも増して幸せに思えた
そんな単純な思いひとつでハッピーエンドと相成る
ちょこっとスキップしながら坂を下るのさ 羽織ったコートを揺らしながら
月明かりの下でかますステップ&ステップ
終わりよければ全てよし
グッドエンドオーライト? 異議なし
これにて閉幕と相成る
今日はなんて なんていい1日なんだろう
いいスタート切れなくても終わりよければ全てはいいのさ
それだけありゃ
どんなに悪いスタートでもいい終わりならば最良なるハッピーエンドになるんだぜ
マズい夕飯も笑って食えるってもんさ。
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まだ今年は姿をあらわしてない雪が降る去年の今ごろ
僕らは別れた
時が二人を分かつまでもなく僕らは終わった
つないでた手を離した
君にもらったいくつもの言葉
クリスマスプレゼントにって編んでもらった白い雪みたいなマフラー
そのひとつひとつがまるでほつれていくように僕の記憶からも消えてゆく
そう思うと悲しかった
あの日は今よりもっと
今とあの日が重なって 雪が降るあの景色がまるでよみがえったように心に写った君との最後の夜
最後くらいは一緒にいようと優しい君は言ったんだ
それでも君との時間は手のひらに舞い落ちる雪のようにはかない手触りを残しながら溶けてすぐ消える
君とのさよならの時間が近づくほど切なさはつのる
どうしてさよならしなきゃいけないのかも忘れてしまう
そして雪に埋もれた白い記憶は今まさによみがえってくる
でもまたすぐに忘れてしまう
本当に悲しい記憶は雪とおなじだから
そうさ、さよならは雪のように僕の中で溶けてはまた冬になれば不思議によみがえる
はじめての恋で
はじめての失恋をした
一度で二度マズい記憶
今年もはかない雪が降りそうだ
そしたらまた悲しくなって忘れていた記憶に涙が止まらなくなる
ああ、忘れたいんだ
忘れたいんだけれど
君との日々があまりにも幸せすぎてね
忘れたいという気持ちより忘れたくないという気持ちが先に立ってしまうんだ
いつもいつもいつも
冬が来るたびグッと胸がズキリ痛んで君がもう恋しくなって。
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春の扉を開けてみれば悲しい切ないことだってあたたかい風に飛ばされて すぐに笑い飛ばせるさ
たんぽぽ揺れる
春の午後
土手沿い
緑の中
風の中
僕はそっと見開いた
瞳に映った春の午後
あたたかな日差しが全てを照らす
悲しみも切なさも
春は扉を開けて
僕を何ヶ月も前から待っていた
待っていたんだ。