詩人:どるとる | [投票][編集] |
言葉にしただけで 雨が降り出すような
そんな気持ちに夕暮れを染めて
走り出すように 雨足は強くなって
傘を役立たずのお荷物に変えたよ
ああ 行き交う いくつもの七色の光が夜を飾る
イメージだけならば空も飛べる
どんな悲しみも忘れたふりをしてしまえばいい
通り過ぎてくだけの景色を
思い出と名付けたら行こう
融通の利かない時計は 目覚めたように
また 限りある 時間を刻んでいく
少しずつ 輪郭がぼやけていく
スローモーションで壊れゆく世界。
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僕は 自転車で 駆け出して行く
雨風に さらされ 洗濯物がびしょ濡れ
頼りの 傘も 役立たずのお荷物さ
春も嵐も 重ねた思い出も 台風何とか号に
僕らはなすすべもなく 負ける 負けた
とぼとぼと 帰るはめになるさきっと
僕は 偏ったプライドをぶら下げて
台風東日本上陸 天気予報を無視した
無謀な 挑戦を やってのけた
飛んでゆく ゴミ箱の蓋 色褪せた手配写真
自然の驚異の前じゃ 僕らはちっぽけだ
川が氾濫して マングローブみたいだ。
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遠い昔は誰もが 鳥だった
自由の翼で 空を飛んだよ
夢見ることなら 誰にも負けなかった
知らない世界に 心を旅させた
本の向こうへ 魔法の扉よ ひらけごま
イメージが 羽根のかわりになる
悲しみさえも 彼方に飛んでゆく
ライトの羽根は 自由に翼があることを僕に教えてくれた
夢の中では 誰もがヒーローだった
欲しいものはなんだって手に入ったよ
叶えてしまった夢は夢ではなくて
きっと追いかけるから夢は意味がある
夢の架け橋 渡って虹の向こうへ小旅行
あらすじは この指先が道を広げてゆく
晴れ渡る空に雲の翼 白く 羽ばたいて
見えないもののありかを 言葉を使わずに教えてくれた
国境や海やトンネルなんかで
区切られた世界は 視野を狭くする
だから そんなつまらない ありもしない物差しは 折っちゃうの
イメージが 羽根のかわりになる
悲しみさえも 彼方に飛んでゆく
ライトの羽根は 自由に翼があることを僕に教えてくれた
教えてくれるよ今も僕の心に
見えない翼をくれる
その羽根で どこまでも行くよ行ける。
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何色でもない 僕らは 自分ってものを探してる
なりたい自分に なりたくて 道に迷ってる途中です
わからない自分が なんなのかも
とりあえず 人と差をつけてみた
他人と自分を区分すれば 僕と君の隙間に見えない壁がそびえ立つ
心が 気持ちを伝えようとするのを 邪魔するよ
何色にも染まりたくない 僕らはきっと
自分って色に 染まりたくて仕方がない
色がない自分に ため息が 出るのは
自分には色がないことを知ってるから
とりあえず 身の回りにある 適当な色に染まってみる
悪だったり 正義だったりいろんな色に 見境もなく
絵に描いた 自分の姿には顔がないんだ
笑っても泣いても生きてる顔にはなれない
型通りの生き方では先が思いやられる
だから いつでも使いなれた常識に迷わされる
痛みを知らない傷ついたことのない心
何色でもいいんだ 唯一無二の自分ならば
真似できない 自分だけのオリジナルで
この世界に 雄々しく立つ柱でありたい
カッコ悪くてもいいから誇らしく咲くよ
模索してる 自問自答の毎日 空や花にさえ色があるのに僕には 色がない
ただそれだけが 僕の好きになれない ところ
どんなに 賢かろうと 頭の良さでは 心には追い着かない
何色にも染まりたくない 僕らはきっと
自分って色に 染まりたくて仕方がない
色がない自分に ため息が 出るのは
自分には色がないことを知ってるから
色がないからこそどんな色にも染まれる。
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空を見上げる小さな瞳に
あの頃の世界は 広すぎた
見るもの 聞くものすべて はじめてで
恐々だったよ何をするにも
少年の 一歩はとてもちっぽけで
期待より不安の色がにじんでいた
愛されることが 苦手で 素直になれない 何かっていうといつも
あまのじゃくで へそ曲がりで強がっていたよ
だけど 中身は空っぽだったよ
いろんなものに手を出しては
中途半端に 嫌いなものみたいに残した
食わず嫌いしていただけ わがままを言う子供のように 聞く耳なんて持てなかった
少年の心は 鋼のようだったけど 脆かったよ
愛されることが 苦手で 素直になれない 何かっていうといつも
あまのじゃくで へそ曲がりで強がっていたよ
だけど 中身は空っぽだったよ
でも 飲み干した カップの底に
残された水滴のように 揺るぎない光を秘めていた。
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つないだ手から 伝わるあなたの温もりが
生きていることを 教えてくれる
あなたの愛してるの言葉はこの世界を あざやかに染める絵の具
しるしを 持っている あなたと同じ血が
この身体中を 巡りめぐってる ただそれだけのことが幸せ。
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僕をときめかせる
このドキドキワクワクの向こうへ
足踏みしながら待っているその時
夜明けは 今静かに街に色と光を降らす
立ち止まってる時間が勿体ない
迷い悩む 時間が もどかしい
ならば行こう たとえば今よりもっと深い水底へ
魚のふりして飛び込むのさ
駆け出す夜のスピードで雨をよけ進む
つかみかけた スペードのエースのカード
笑わないで 聞いてくれ夢見がちな僕には
まだまだ こんなもんじゃ心は膨れないよ。
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ひどく透明なその体躯には
悲しみも喜びも例外なく映す
だから、優しい君は悲しみから
目をそらすこともできないんだね
それが とても悲しい
腰をおろすための 受け止めるための器もない君は
いつも 風の中に立っている。
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色のない日々 どことなく 曖昧なわく線
途切れ途切れに 繋がってゆく
宛もなく 世界の始まりから続いてる
どことなくとか なんとなくとか
形容しがたい あやふやな感情に付随する
花の色は 声も絶え絶えに季節の美しさを叫んだよ
それでも 濁ったような心は 捨てきれず
きつねとたぬきの間でどっちつかずのぼやけた輪郭線
その程度の迷いならいっそ誰かにくれてやればいいのに
その中途半端さがいつの間にか僕のすべてになっていた。
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僕はただ雨の音を聞きながら目を閉じた
聞こえるもののすべて
見えるもののすべて
それが世界と 思い込ませる色や形を
一体何が 正しいと決めつけるんだろう
人の命も 動植物のかすかな息づかいも
僕には同じに聴こえるのに 誰かがそれを 卑しくも否定する
うすべに色に 染まった 夕暮れに
長く 伸びた影を 見つけるだけで
どうして 切なさは この心を たずねてくるんだろう
土足で踏み荒らすような 悲しみは
この頬に 雨のカーテンを描くよ
さよならと 言葉にするたび 美しいはずのすべては とたんに悲しい色に染まる
たとえば瞳に寄り添うように片隅に映る花の色さえも
僕の世界を 水彩絵の具みたいに淡くする。