詩人:どるとる | [投票][編集] |
夕日が 空を オレンジ色に染めたら
そろそろ帰り仕度をすますんだ
今夜の献立は何かなあなんて考えながら来たのと同じ距離をまたさかのぼる
電車の窓から落ちる夕日が見えるのは
あとひとつ駅を過ぎたら 降りる頃
君がくれる ただいまが 一番僕の中では
しっくりくるんだよ なぜだろう 不思議だ
そうして誰もが 大切な家族や恋人のもとへ帰ることを
願いながら 祈りながら
小さな鞄さえ 重たく感じるほど
疲れた体を引きずって
ただいまが待つ場所へ 走ってく
なんて へなちょこな足取りなんだろう
落書きだらけの高架下に たどり着いた
読む気もないのに 目に入る
およそ言葉というには汚い字が並ぶ
背中を向けて必死に目をそらした
あんなにきれいな景色がある中で
何故に人はその均衡を乱すのだろう
喧嘩してしばらく口を利かない日もある
それなのに何度でも仲直りするのは なぜだろう 不思議だ
雨の日も 晴れの日も 風が強い日も
あなたを思わない日はないし
あなたに思われない日などごめんさ
喧嘩しても 心配してしまうのは
どうしようもないほどに 好きだから
なんて 言葉にはしないよ 恥ずかしいから
煙草もやめよう
お酒は控えよう 君ともっと仲良くなるために
ちょっと 思わせ振りだけど
単細胞な僕にはそのくらいが いいと思うんだよ
そうして誰もが 大切な家族や恋人のもとへ帰ることを
願いながら 祈りながら
小さな鞄さえ 重たく感じるほど
疲れた体を引きずって
ただいまが待つ場所へ 走ってく
なんて へなちょこな足取りなんだろう
でもそれもふくめて僕らしいって思うのはおかしいかな。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
夏が春を 追い越してしまったような
少しだけ汗ばむ陽気には 風が心地いい
並木通りを 春色に染める 花々
ファインダーを覗き込んでも
見えない いくつもの 景色があるよ
悲しみも 幸せを 手にするために
意味があるなら 無意味な すれ違いなんて
あるはずもないと思う
少しだけ僕らは大人になっただけ
そう 言ったあとに泣いた君から
目をそらしたことが君の 心には悲しく映ったんだね
いくつもの言葉が 霞んでは消える
日記に綴った思い出も数ある写真も
永遠の時間を 生きることはかなわない
愛しているだけで つながっていられた
時間は遠い昔に 過ぎてしまったよ
甘い優しさだけを分けあえたなら
それは素敵だけど 痛みも分けあえてこそ
人は人を愛する本当の意味を知るって
知ったのは つい最近のことなんだ
確かめあう愛もいい
だけど 言葉を使わずに伝えあう 愛もまた素敵だろう
月明かり 宵闇 昨日降った雨のにおい
どうせ咲くなら 美しく蕾を ふとらせて
悲しみも 幸せを 手にするために
意味があるなら 無意味な すれ違いなんて
あるはずもないと思う
少しだけ僕らは大人になっただけ
そう 言ったあとに泣いた君から
目をそらしたことが君の 心には悲しく映ったんだね。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
夜の逆さまの 上に立って
空の 地中から 背伸びする
鳥たちの羽ばたきは光になって
舞い上がるように降り注ぐ 空の上に
回る世界で 止まっている景色が走って見える
夜を 巡回する 姿なきモンスターが
見届けたすべてが 片っ端から物語になる
いかさま ナイトウォッチング
耳にもなる 目にもなる 感情。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
機械の体を 手に入れても きっと
僕らは 心から幸せになれない
働く喜びを その辛さを見失ってしまう
生きる 糧を 流れる血潮を感じれなくなる
レントゲンは いつもむき出しの鉄の骨
皮は柔らかく伸縮性のある素材
絵に描いても写真を撮っても 型通りの笑顔しか 浮かべられない
機械の言葉は プログラムをなぞるだけ
僕の中に百万通りのバリエーション
感情を読み取るよりもバーコード
繊細な感情を捨ててしまった脳髄が
頑なに人間だった頃の記憶を守るのは
命のあり方を心が否定するから
自分という存在が間違いであるために
機械の心臓が 高らかに脈動するたびに
「ジブンハナンノタメニイキテイル」と問いかけては
油の涙を 手のひらに溢れるほどにこぼすだろう。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
いつの間にか 出来上がった世界なのに
手放しで 進むあらすじ
運任せの 天候
サイコロの出た目で今日も雨なのかも知れない
3なら雨 6なら晴れ
それ以外は適当
そんな イメージを手のひらの上にのせる
遥かなる果てへ 招かざる命が さまよい出でて
新しい朝の扉を開ける
その音に 耳をかす気があるなら
とっくに世界は
争いもなく
平和になるのに
邪魔なそれらが
ないと生まれない
大切な光に
照らされたいと願ってしまう僕らは
似て非なる二つを天秤にかけた。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
蛙の合唱と風鈴のちりん
入道雲がうわっと 迫る青空に
開けた窓から こんにちはの銃声
ロマンというロマンを連れてこい
やるなら徹底的に それがお約束
水風呂で冷えた手を陽射しがあたためる
アスファルトで目玉焼きが焼けそうな
絵日記の中から呼んでる声
昼下がりの白昼夢
幻でもいいから
また会いたいよ スタートのあの子
夏の窓から やって来て
夏の窓から 消えていく
名前も知らない 長い髪のあの子。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
まっ逆さまに落ちてきて
スライドするように 低空飛行
からかうように水面を撫でる 海鳥は
レコードのような甘い音色で鳴く
今がどんな季節でもかまわない関係ない
幸せだわって 歌うだけ
幻ならばそれもいい
言葉にすれば幻もふれられるんだ
絵日記の中にあるような
思い出のひとつが
ただの世界を あざやかに染めている
僕は ずいぶん 恵まれた 場所にいる
ありがとうなんて言葉がすぐに形になる
だから つぶやくのは 愛より手前。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
過ぎてく車窓の風景を 刻むポラ
まばたきのシャッターが降りる
形にはならない思い出だから
思い出してもぼんやりとかすむ
だけどそれがまた味があっていいね
笑うあなたを 風がそっと包んでる
手のひらに上手くのせた声を泳がせて
今日という日は特別なんかじゃない
でも特別な日よりずっと覚えてる
夜の真ん中めがけて走らせる
くぼんだ 気持ちに涙がたまる
カレンダーに つけた意味深な丸印
消しようのない愛の形が 残されて
涙をいくら流しても埋められないことを教えるように残酷
笑うあなたを 風がそっと包んでる
手のひらに上手くのせた声を泳がせて
今日という日は特別なんかじゃない
でも特別な日よりずっと覚えてる
傷痕の 底に残ってるたしかな 幸せを
打ち寄せる波が 運んでくる
「一人の人が一人の人を命懸けで愛した証」です。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
痛みは 残るだろう 傷痕の消えた 道の上にも
忘れなきゃと願うたび 鳴き声がする
寂しさは昼飯同様 一人ぶん
お茶碗 ひとつですんでしまう
ああ この寂しさは いつから 僕だけのものに また 変わったのだろう
美しいものは 美しいままに 消えたのに
老いた姿も 写せぬままに 見かけ倒しの幸せ
声も出さずに 泣いた夜
覚えているのは 最後の口づけ冷ややかに
罪悪の種類で 選ぶなら僕に裁きは下るだろうか
満ち足りた時間に 突然訪れたエピローグ
名付けるならば ひどく単純なもので
いくつもの言葉を知っている筈なのに
ああ この 喜びは いつからこんなに味気なくなったのだろう
世界には 何度でも君がいなくても 朝は来るのに
もう何が幸せなのかも 今では判別がつかない
やめたはずの煙草を吸う夜
すがれるものならなんだっていいんだ
押し寄せる 波が 止まって見える
街も人も まるでスローモーションさ
心も体も仕事をしようとしない
美しいものは 美しいままに 消えたのに
老いた姿も 写せぬままに 見かけ倒しの幸せ
声も出さずに 泣いた夜
覚えているのは 最後の口づけ冷ややかに
レコードの針を落とす 指先に
見覚えがある いつかの面影夢に見る
ありし日の ビューティフルデイ
それでも物語は先を急ぐように続いてく。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
流れ去る 流星を ひとつ つかまえて
君にくれてやる 今夜くれてやる
お好きな席に 腰掛けて
時にラブロマンス
時にアクション
泣ける 感動巨編
様々な シチュエーションを用意して待ってるよ
画面の中へ入っておいで
君もまたこの映画の出演者さ
踊り明かす夜もあれば
涙 抱えて泣く夜もある
今夜はどんな夜かな
知りたいから 今日がある
スクリーンの向こうはもう 真っ白な朝だ
悲しみなんか 影も形もないんだぜ
逃げ去る 怪盗のマントを引きちぎって
君にくれてやる 拒まれてもくれてやる
席の取り合いなんかしないでいい
君には君にふさわしい席がある
喜劇のような今日
悲劇のような今日
劇的な人生が君を 待っている
客観的なんて つまらない
当事者になってみないかこの物語の
どしゃ降りの夜もあれば
星のきれいな夜もある
今夜はどんな夜かな
飛び越えて たどり着く夜明け
スクリーンの向こうはきっとお祭り騒ぎだ
ハンカチなんかの 厄介にはならないんだぜ
まばたきするのももったいないくらいの毎日が
君の手に落ちたら
そのちょっとだけでもいいからさ
僕にも 見せてさわらせて
その笑顔の理由を知りたいんだ
踊り明かす夜もあれば
涙 抱えて泣く夜もある
今夜はどんな夜かな
知りたいから 今日がある
スクリーンの向こうはもう 真っ白な朝だ
悲しみなんか 影も形もないんだぜ
腹を抱えて笑う 理由になるんだぜ。