詩人:どるとる | [投票][編集] |
落ちてくる太陽を両腕で 受け止めて
大きな心で 抱き抱えてしまおう
やたらカラフルで目が眩むような 色した翼を持っている
どこまでも行ける 打たれ弱い心さえどうにかすれば
窓の外にある 真っ白な空に描いた
世界はただ どこまでも難解だ
数字の海に溺れながら岸に這い上がる
夜はとっくに過ぎて
明け方の 光と交差するように潜む影
二つの思いを重ね合わせて作るのは
今日を生き抜くための小さな勇気
気ままなベクトルと溺愛してるパスカル
僕にはどうやらこの服は似合わない。
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校舎に落ちる影と 避雷針に突き刺さる太陽
校庭のデイドリーム 図書室のシェイクスピア
いにしえのプライドと
死神の好きな音楽
ゆらゆら夢の中をさまよい歩く
日曜日の 死にたくなる程の退屈よ
たとえば路地裏に渦巻く闇と
残されたいくつかの痛み
ただなんとなく
逆らっていたいのさ
ただ それとなく
浮いていたいのさ
あともう少し足りない言葉を
つなぎあわせて 切り刻んで
ただ いつになく
遊んでいたいのさ
ただ どことなく
冷めていたいのさ
この世界の都合に振り回されるなら
僕は誰かの足元に座る影になる。
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鏡に映る 僕の姿が
魔物に見えた日に
世界は 変わったよ
時計は 音もなく
ただ回り続ける
神様の手のひらで
春が笑った 朝
言葉は ただの空気になる
壊れた 玩具を捨てられない心が覚えたのは
死の匂いがするさよならだ
花が咲く街に 涙の雨が降る。
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旅ゆくあなたがどうか幸せであるように
祈る僕の言葉はさざ波
遠くから押し寄せる小さな 贈り物
何も あげられるものはないけれど
餞の代わりに ぬくもりをひとつ
心に植えた種は
やがて芽を出して
色とりどりの花が咲く
その日を今は 待ちながら暮らすよ
他愛もない日々を。
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宛のない道のりだ コンパスも役には立ちそうもない
ビルばかりの 街をナビ通りに潜り抜けてく
風に乗って 逃げようぜ世界の果てまで
自販機の売り切れの ジュース
いくら押しても出てこないんだ
青い空に雲が流れ 窓越しに見る 行き交う ワイパー
音沙汰もない 友人の死を数年経って 知ったときの落胆
それによく似た気持ちだ どうか願わくば
明日、世界に爆弾が落ちてきますように
このあくびが止まらないほど平和を むごく脅かしてよ
小説の 前書きにあるような 苦節何十年のあれやこれや
並べ立てた なんとか賞のベストセラー
飽きるくらい 変わらない街と同じだ
雨に濡れてよれよれの雑誌のグラビア
何人の男を 彼女は興奮させたのか
数年付き合った彼女の薬指に光る ダイアの指輪
来月結婚するのって彼女は 笑ってあの日を回想する
下のほうが下手くそな 話ばかりする
時が経てば人も汚れて変わってしまう
良くも悪くも 清楚だった筈の彼女はどこに行ったんだろう
独身最後の 過ちを
僕は彼女に 吹っ掛けた
彼女はイチもニもなく 了承した
僕は悲しくなったよ
青い空に雲が流れ 窓越しに見る 行き交う ワイパー
音沙汰もない 友人の死を数年経って 知ったときの落胆
それによく似た気持ちだ どうか願わくば
明日、世界に爆弾が落ちてきますように
このあくびが止まらないほど平和を むごく脅かしてよ
戦争もない刺激のない毎日で平和ボケしてる僕らの目を覚まさせてよ
真っ黒い夢から。
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きっと あの恋は僕の人生で一番ってくらい 素敵な恋だった
だけど同じくらい悲しい恋だったよ
お互い 忙しくて会えない
離れてる時間が 二人を遠ざけた
ただ好きなだけでは
どうにもならないことがある
出会った頃は きっとどんな恋も楽しい
手をつなぐことに慣れてしまって
なんだかそれが次第につまらなくなって
互いの体の味をしめてしまった僕らは
いつの間にか君じゃない違う人に愛を求めていた
でも、君を愛した証にさよならの日
君に手渡した 銀の指輪。
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票を入れないことを誰かは忙しさを理由にする
誰かはコンタクトをとらなければ挨拶さえしない
しこりのような癌がひとつ
この部屋の空気を澱ませる
ネットという名の暗い社会の縮図のように
無垢なる心を歪ませる。
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僕らの七日間戦争を読んでいた頃に
世界のすべてはラジコンみたいに
手のひらで自由に動かせたよ
特撮怪獣映画のパンフレット
学研の地球儀
お菓子のおまけ
数ある宝物 今ではどこにあるのかもわからない
あの日探してた 明日なんて来ないくらい 長い長い夏休み
追いかけたよ流れ雲のあとを
カゴいっぱいのかぶと虫
逃げ込んだ日陰の中で
広げた 僕らの未来の設計図
間違いなどなかったのに
いつの間にかそれよりも大切なものを 見つけてしまったよ
長い神社の急な十何段ある階段を
軽々上れた日に 雷と雨から逃げ出して
雨宿りした 蝉時雨聞きながら
絵日記に描いた 下手くそな絵
海と地面の境目の曖昧なラインを
気にさせずにいたのは フラッシュバックする思い出
田んぼばかりが続く畦道を 駆けずり回って
自転車転がして どこにでも行った
急な雨に濡れる ことも気にも止めず
笑い倒した 夜の庭で
みんなでやった花火
線香花火が落ちて闇がまた広がる
その時いつもそばにあった夏が少しだけ僕から遠ざかった
瞼の裏の真っ白な スクリーンに
あの日を映し出してみよう
おぼろ気でモノクロな記憶に
あざやかな色を 取り戻してくれるのは
この街の変わらない風の匂い
あの日探してた 僕らは長い長い 夏休み
追いかけたよ流れ雲のあとを
カゴいっぱいのかぶと虫
逃げ込んだ日陰の中で
広げた 僕らの未来の設計図
間違いなどなかったのに
いつの間にかそれよりも大切なものを 見つけてしまったよ
大人になった とたんに見えなくなったものができたよ
思い出の中に心ひとつ忘れ物をしてきてしまったよ。
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風に散る花びらを見た午後に
なぜか僕の心から 大切なものが
風にさらわれた気がした
春の終わりは 桜色の絨毯
道に敷き詰められて
空を あおいだ眼差しが飛行機雲を
ゆっくりと なぞるように 見届けて
いつの間にか 引き出しの中にしまわれた
思い出の顔をした 小さな恋の押し花
絵手紙をポストに 出した朝
遠い街に住む君に届くかな
そちらはおかわりございませんか?
望遠鏡越し 覗きこんだ
丸い 地球の外側
少しだけ恋の幸せと悲しさを知った唇は
赤く染まって もう僕の知ってる君じゃない
この街を出てゆくときは 重ねた思い出を 惜しまぬよう置いて行こう
旅立ちと別れの季節に吹く風は
誰かを遠く 見送っている
そしてまた ひとつなにかが始まって
静かに終わる いくつもの命を 弔う
空を あおいだ眼差しが飛行機雲を
ゆっくりと なぞるように 見届けて
いつの間にか 引き出しの中にしまわれた
思い出の顔をした 小さな恋の押し花。
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終わりのない レールをなぞってく指先
夜の闇を撫でていくのは光と風
発射台から ロケットが打ち上げられる
カウントダウンを待たずに旅立つ心
メルトダウン起こしそうな
熱くたぎる 心のままに 恋をした
僕は君がどうやら好きなようで
とどのつまりは 一度くらいの
デートの誘いをお受けできますか
回りくどくて遠回りで 要領を得ない
僕の下手くそな 言葉は 君にどんなふうに伝わってるのかな
ふいに 笑った君
青い空に 目線を逃がした僕の気持ちをさらってく
天を突き上げるように火を吐いて飛んだ
スペースシャトル 広い意味ではロケット
宇宙飛行士は言ったよ 「地球を直にこの目で見たいんだ」
天気図に渦巻く 台風 威嚇するように
都内へ向かって その勢力を拡大
僕は君の目にどんなふうに映ってるの?
聞きたいけれど こわいんだよ
でも 聞きたいんだよ
アスファルト突き刺さってく陽射しの雨
30度を越える猛暑の中で視界がぼやけてく
景色が二重に見える
雷雨の中を屋根を探して逃げながら 走る
手をつないでる 君のほほが火照ってる
二人は今、宇宙飛行士だ 二人だけの世界を遊泳してる
行きつ戻りつを繰り返すエンドレスループ
そして本題はまたそれていつの間にやら振り出しから
僕は君がどうやら好きなようで
とどのつまりは 一度くらいの
デートの誘いをお受けできますか
回りくどくて遠回りで 要領を得ない
僕の下手くそな 言葉は 君にどんなふうに伝わってるのかな
ふいに 笑った君
青い空に 目線を逃がした僕の気持ちをさらってく
天を突き上げるように火を吐いて飛んだ
スペースシャトル 広い意味ではロケット
宇宙飛行士は言ったよ 「地球を直にこの目で見たいんだ」
ふいに生まれた気持ちに名前をつけた 八月のロケット。