詩人:どるとる | [投票][編集] |
神様の指先が指し示す真実は
答えというには些か合理的です
よって却下
譜面にきれいに並んだ 音符を
たどって 鳴らすメロディ
遠い昔に 消えた星の光を
遅れて見てる
その解釈は何万通りからなるだろう?
ノートに書き付けた決意表明は
言いたいことだけを叫んで黙った
真っ白な大地に落ちた星のひとつを
適当につかんで それがすべてだと
言いたげな 僕らは
埋まらない隙間を 何かで塞いでいたいだけ
空き地の裏手に作った秘密基地
お菓子を持ち寄り 元よりお遊び
外装段ボール
知らず知らずに 刻んでいた足跡を
物語のように 華々しく飾ってた
ここに咲いていた 花は泣き虫で
でも笑った顔が とても愛らしいんだ
一週間という短い蝉の一生に
似ている君の命は きれいな花火になった
思い出ばかりが散らかるな
写真の中では 幸せそうに笑う君も
今では幻と同じだ
今も 変わらずあの場所に 咲いているのに
ひとつひとつ 丁寧にアスファルトに
染み渡ってゆく雨音を聴きながら
片付かないままの 楽しすぎる日々を
引き出しから 出し入れを繰り返す
ああ 僕も君と同じになれたなら
こんなに 明日を拒んだりしないかな
ノートに書き付けた決意表明は
言いたいことだけを叫んで黙った
真っ白な大地に落ちた星のひとつを
適当につかんで それがすべてだと
言いたげな 僕らは
埋まらない隙間を 何かで塞いでいたいだけ
面影だけでも 頼りない僕のそばにいてほしい
そう強がるだけの弱いままの僕だ。
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ベランダから見える空が虹を描いて
目覚めたばかりの僕に素敵な朝をくれる
雨上がりの街 人いきれの中を走る
白い息を まとわせて
たとえばシャツの裾に にじんだ青を
悲しみと呼ぶにはまだおおげさだ
でも、それだけで人は命を絶つ理由にしてしまうんだよ
よそ行きの服で つきなれない嘘などを
唇がふるえた調子で話すのを見てた
昨日の僕とにらめっこ
掌の上に空をのせる
たったひとつの矛盾に気付いたら最後
もうただでは信じることは出来ない
それでも愛されていたいと願う僕は孤独を嫌うんだ
言葉にならない気持ちに 蝕まれてゆく
あんなにきれいだったはずの心も黒ずむ
たとえばシャツの裾に にじんだ青を
悲しみと呼ぶにはまだおおげさだ
でも、それだけで人は命を絶つ理由にしてしまうんだよ。
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土星の輪に引っかけた数行のレクイエム
常に心は字余り 輪投げは得意なのになあ
なぜなぜ坊やになってしまうよ
それぞれの朝に光を届ける
夜と朝のギリギリの境目 その瞬間の
曖昧なラインに 僕は立っていたい
飛んだり跳ねたり繰り返してきたよ
今の今まで わかりきった答え合わせだ
それでも 時間通りに散歩に出る猫の
瞳に映るまっさらな空を眺めていたいよ
何度でも 振り出しに戻っては
またそこから せっせと歩き出す
すべての終わりがすべてのはじまり
今から生まれ変わるよ昨日より少しだけ新しい世界に。
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大人になるつれてただでは人を信じれなくなった
思春期といえば聞こえはいいが 所詮わがままの亜種だろう
許され続けてきた 罪がやがて
子供を脱した僕らを待ってましたとばかりに
責めの体勢に入る
子供の頃は 当然のように 許されてきた
でも今は責任という言葉から逃げるだけ
様々なしがらみ 様々な運命
色までついた鮮やかな レッドカード。
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言葉の角が尖って大切な人たちを傷つける
僕の言葉は言葉というには甚だしい
そうやって 重ねてきた過ちを
今さら悔やんでる
負債に追われて
受け流す 傘もなく
よるべもなく
眠れない真夜中
月にさえ背を向けて
ちっとも笑えないや
よくある ドラマの最後を飾るラストシーン
ハッピーエンドにもつれ込む
わかりきった あらすじは滑稽だ
退屈であくびが出る
でも涙も流れる
くだけ散った星の
かけらが胸に刺さって
街を涙に沈める
月にさえそっぽ向かれて 寂しいや
たよりの明かり ひとつないから
ちょっとだけ ずるをしたいなあ
でも あんなに月に輝かれちゃ
悪さなんて 出来ないや
受け流す 傘もなく
よるべもなく
眠れない真夜中
月にさえ背を向けて
ちっとも笑えないや
この 行き場のない思いを 運ぶ船になって
さよならの街まで 涙と手をつないで旅に出る。
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走り出した道の上 あんなに遠くに
雲は浮かび実に気持ち良さそうだなあ
大きな口を開けて開口一番まず何を叫ぼうかな
バケモノのふりして柄じゃないのに君の名を呼んでみる
折角ここに生まれてきたんだ
誰かを愛したっていいだろう
生まれもった傷跡ごと愛してくれよ
もっと高く 飛びたいっていうなら肩車してあげよう
世界でたったひとつの展望台の完成だ
「そこからの眺めはどうだい?」
独断と偏見で世界を見渡したら
随分、不必要なものを抱えすぎている
大袈裟な 夢を語って
思いを 声にしようか
正しくもない 間違ってもない どっちつかずの半端な存在
折角の血肉体をどう使おうかなあ
誰かを 愛するために使えたなら
流れる涙も温かい灯火になる
長い長い夜が明けてゆく また振り出しからのスタートだ
繋いだ手は嫌がったって離さない
「君は僕の命を分けた存在だから」
醜く毛羽だったような 二の腕を持った僕が
大粒の涙をこぼすとき
優しい光が 心の闇を消してゆく
やっと気づいたんだ あなたが僕を 今まで愛してくれたその意味に
折角ここに生まれてきたんだ
誰かを愛したっていいだろう
生まれもった傷跡ごと愛してくれよ
もっと高く 飛びたいっていうなら肩車してあげよう
世界でたったひとつの展望台の完成だ
「そこからの眺めはどうだい?」
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子供の頃に読んだ 図鑑の中にあった
星の名前と形を覚えた
今ではそんなことは記憶の底に沈んで思い出すこともないや
手にしただけの知識で賢くなった
でも本当に知りたいことだけは
いつも空欄のままなんだ
夜空の遠くに打ち上がる夏の日の
色とりどりの花火がただの火薬でも
正体なんてきっとどうでもいい
僕らはその美しさに見惚れてるんだ
夜空に大輪の花がパッと咲く
今だけは素直になれそうな気がする
好きな気持ちを言葉にすること
単純なことなのに難しい
どうしても自分に自信が持てなくて畏まってしまうよ
他の人にはない自分だけの特別を
僕は持っているだろうか
目を閉じて考えているんだ
喧騒の中を 縫うように歩く
君の手を引いて 人混みをかいくぐる
やっと人混みを抜けると手を離した
言葉はなくても 言いたいことがわかる
幸せそうに君は笑っていた
ふいに最後の花火が上がる
首筋に伝う汗も 二人で分けあって
代わる代わる飲んだラムネも
容赦なく注がれる陽射しにぼやかされ
すべてが思い出になる
夜空の遠くに打ち上がる夏の日の
色とりどりの花火がただの火薬でも
正体なんてきっとどうでもいい
僕らはその美しさに見惚れてるんだ
夜空に大輪の花がパッと咲く
今だけは素直になれそうな気がする
好きと言えないかわりに
小さく 笑って見せたよ。
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宛のない 毎日の中に灯る明かりがわずかでもあるなら
尤もらしい言葉で今にも消えそうな輪郭を象って
花のように咲いて 雲のように流れて
海のように凪いで 星のように輝いて
そんな想像を膨らましたところで
何の意味もないことはわかってるんだ
長い夢から目を覚ましたように生まれた僕らは
百年あまりの時間を見返りなく与えられ
時にその仕打ちを 嘆き憎み悲しむ
僕という存在は 一体なんだろう
それさえもわからないままで
遂に僕は死んでいくのだろうか。
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いつか君と行ったあの水族館
水槽の中にいろんな魚が泳いでいる
子供みたいにはしゃいでは笑う君を
ちょっと離れたところから盗み撮り
海月が好きな君は 丸い覗き窓から
鼻がつくくらい近くでずっと見てた
閉館まで 二人で何度も見て回った
あの日、またひとつ思い出が増えた
ねえ君は覚えているだろうか
僕ばかりが 昨日のことのように
思い出すのはなぜだろう
吹いていた風まで同じなのに
春はどこかよそよそしく
悲しい色をして 今年もまた桜が散る
言葉では多分 伝えきれない
無理やりしてもいいけれどやめとくよ
桜祭りは 賑わって人がたくさん集まって
綿菓子をひとつ買いました
あの日の空は少しだけ雲ってた
だけど不思議に心は青空だったよ
つばめが低空飛行してる もうすぐ雨が
降ってくるかな 傘を持って行こう
ねえ君は幸せだっただろうか
僕は君を幸せにできただろうか
笑ってた 君のあの笑顔の意味とか
その向こうの悲しみを知るすべもない
言い過ぎたあの日のことを謝ることも
出来ない僕は君の笑顔を思い出せない
涙ににじんだ思い出を 下手くそな強がりで 埋め合わせた
すぐに 笑えなくなってまた 泣き顔になる
永遠だと思ってた でも あまりに
短い命は 桜と一緒に散った
ねえ君は覚えているだろうか
僕ばかりが 昨日のことのように
思い出すのはなぜだろう
吹いていた風まで同じなのに
春はどこかよそよそしく
悲しい色をして 今年もまた桜が散る
夏の訪れとともに夢か幻のように。
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繰り返す日々は 流れ作業のように
何処までも終わらない
結果の見えない日々だ
僕らはきっかけを 作るだけ
これが 幸せなのだとしたら
きっと僕らの抱く この迷いや悩みなんかも
贅沢の内に入るのだろうか
空は相変わらず 愛想もなく笑顔ひとつ見せない
鈴を鳴らして猫が 隙をついて 僕の膝を枕にする
仕方ないよなあ 毎度の口癖も変わらず
フェードアウトするように 手を振る
本音重視の 嘘の吐けない不器用な人
裏表のない 単純な人
よくいえば素直 悪くいえば融通の利かない人
雨上がり水たまりに映った逆さまの空
飛び越えて行く 君を 見ていた
君が僕より 遠くに見える
なんでもない ありふれた 悲しみのせいで
涙なんか流してしまう
どうしてくれるんだ 愛を知って 弱くなったよ
だけど幸せなんだ 不思議なんだけど
時計が 二人分の時を刻んでる
真っ白だった スニーカー
今ではすっかり泥だらけの傷だらけ
その傷の一つ一つにある思い出
空は相変わらず 愛想もなく笑顔ひとつ見せない
鈴を鳴らして猫が 隙をついて 僕の膝を枕にする
仕方ないよなあ 毎度の口癖も変わらず
フェードアウトするように 手を振る。