詩人:どるとる | [投票][編集] |
随分と開けてない引き出しを開ける
あなたの笑顔をまだ この心は覚えてて
変わらずに優しく僕に笑いかける
空が残す 足跡を 追いかけたら
たどり着けるかな君のいる場所まで
レンズ越し映ってた 少しずれたアングル
ぼやけたままよみがえる 回想場面
君の影が背伸びして同じ背丈になる
手をつないだ温もりだけで満たされてく
この幸せだけは いつまでも僕の宝物
君の話を集めたら一冊の本の物語になる
ページをめくる風が 急かすように
はやる気持ちのまま駆け出すよ
よくできた幻が 水面に映って揺れる
きれいだね。
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徒然なるままに 日々はただ流れ行き
落ちてゆく砂時計 時間のエンドロール
小説の前書きのような前菜を称する
味気ない退屈の 箇条書き つらつらと
誰かの死を 報じるニュースも
もはや珍しくもなく寧ろ毎日のように
終わらない 不幸の連鎖の足跡を残す
こんな汚れきった世界でも見上げれば
そこに夜があって 輝く星の一粒が
いくつも闇に 浮かんで銀河も渦を巻く
愛を忘れた心が 優しさを 思い出す
心は がらんどう 余計なものはない
今なら君を 愛せる気がする
シャッター商店街も夜は 幻想的だ
隙間に落ちる光が 青白く 尾を引いて
そこに物語が あらすじを刻んでく
風が記す 命のいとなみ
こんな汚れきった世界でも見上げれば
そこに夜があって 輝く星の一粒が
いくつも闇に 浮かんで銀河も渦を巻く
愛を忘れた心が 優しさを 思い出す
心は がらんどう 余計なものはない。
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イメージが 羽根をはえそろわせて
この背中に 描くご立派な つばさ
ひらひらと風に舞う花びら
夏の片隅で 笑った
路地裏の静けさ
あくびする猫
昨日の夢の続きで
振り出しから
歩き出す筋書きのないストーリー
レールから外れてく
片手で持つ 悲しみを
僕も持つよって
蝉時雨の中に 落ちた 五月雨の最初の一滴が
真っ白な僕の空白を色づけて
そこから始まる
物語に 期待を隠せない。
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夜をキャンパスにして闇に描く光
延長数回戦の 見えない勝負の行方とか
見守るように そっと見送るまなざし
かいぶつの腹の中にいつかおさまるだけ
時間は 生物腐るのも早い
だから、切なさは明日も変わらない
あとに残される痛みは誰の名を呼ぶの
ゆるやかな波がさざれ石をけずる
記された手紙は 心に何を 伝えるだろう。
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少しだけふるえた声に寂しさが見えたよ
離さないようにぎゅっと握った手と手
まばたきだけで 目を開けたら 昨日のまでの世界とは
まるで違う 世界がそこにあって
小さな発見も未来を照らす光になる
今や月を歩くような時代さ
笑われるかな こんな行き遅れたような僕を
計算された何かより宛もない想像を 大切にしたいよ
夜は どこまで行っても夜だけど
つながっているのは電波なんかじゃなく
心に結ばれた 目には見えない つながりだと信じたい
あなたが思うことは誰かも思うこと
僕らは離れてるようで気づかないところで
ちゃんとみんな つながっているんだ
窓の外を過ぎてく景色に ネオンが反射する
まぶしくて目を伏せた 瞬間の隙をついて
僕にとりついた 悲しみがやけに 僕をセンチにする
待ちくたびれた 長い長い 待ち合わせ
時計はもう一周余計に回ってるよ
少し 曲がりくねった 地下鉄に乗って
ひたすら地下を くぐってゆく
メトロの闇に消えたため息の先を
目で追って 名前もない感情にもの思う
誰かの温もりに寄りかかっていたい
弱い部分もちゃんと見せてね 強がりはここらへんにして
冷めていても 涙を流せるだけマシかな
あとはひたすら落ちるだけの 毎日
ならば簡単 落ちてゆこう
そして一番 底にある光に出会おう
夜は どこまで行っても夜だけど
つながっているのは電波なんかじゃなく
心に結ばれた 目には見えない つながりだと信じたい
あなたが思うことは誰かも思うこと
僕らは離れてるようで気づかないところで
ちゃんとみんな つながっているんだ。
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振り子のように 行ったり来たりを
繰り返すだけの 毎日に辟易してる
声だけでもつながっていたくて
電話越しに近くにあなたを感じる
すぐそこにいるような気持ちになれる
でも遠く離れてる ふれられないジレンマ
こっちは雨が降っているけれど
そっちはどうだい?
東京の暮らしには慣れたかい?
今すぐに 会いたいよって言おうとした
その気持ちを引っ込めてしまうんだ
本当は笑ってる場合じゃないのにね
素直になれないのはどうしてだろう
心が探してるのは君の声よりあの笑顔
一秒たりとも遅れないで約束だよ
はげしく窓をたたく雨の東京駅
こんなときだけ外れる天気予報
今か今かと そわそわしている
待ち合わせの時間まであと何分だろう?
会ってもしてあげられることなんかは
たかが知れてるけど それがどうした
少し勝手になって寂しさを埋めてやる
弱い僕を許してねでも君が悪いんだよ
こんなに僕を寂しがらせて 悪いやつだ
思う存分 甘えたいなあ
渋滞を抜けて 君の待つあの場所まで
時計ばかり気にしてる さっきから
吐息は 少しだけ 白く雲って消えた
夜は 冷えるから暖房を入れよう
いくつか用意してた話題を何度も
練習して いざというとき出せるように
ごまかすようにかけたCD ますます
はげしくなる雨さえも愛しい夜
どこにゆこうか?やっと口を開いた僕の
勇気に敬意を評しまして ガッツポーズ
「ちょっとだけ 二人になれるところまで」
かしこまりましたとばかりに 頷く
抜けてゆく渋滞の先を 目で追いかけて
言葉は いつもよりちょっと饒舌になる
同じタイミングで声が重なる
どうぞどうぞと譲り合い
いつまでも 話が進まないね
でもそんな時間もまた素敵だ
いつの間にか 雨は止んで 夜空を星が飾る。
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ゆらゆらと さまよう 影ひとつ
視界の隅に置き去りのララバイ
ピアノが奏でる不協和音
悲しみとあと一文字のエトセトラ
夢心地で目が覚める
覗きこむ レンズ
その向こうのまぼろ乱気流のワルツ
それは見紛うことのない真相心理
立ち眩みを起こしそうな カラフルな
世界に取り残されて僕は上手に死ねない
命をもて余している
地球が闇に 浮かぶだけの途方もないでっち上げ
蜃気楼であればいい。
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扇状の軌道を描いて上手投げ
ボールは君の ミットの中に着地した
下手くそな僕のフォームは
いつか 君の 見てる世界を
塗り替えることができるかなあ
一人ぼっちの キャッチボール
返らない返事はいつまでも
壁に向かって 声を投げても
何度でも僕の手に 戻るだけ
虹が竜の谷を渡り 七色に染まって
見事ストライク 絶妙なタイミング
いつか描いた 夢のあとしまつ
明日の明日くらいにまた出会おう
下手くそな口笛を道連れにして
夜の真ん中で 夜明けを待つふりして
誰を思い胸を焦がしているんだろう
気まぐれな天気に迷わされる
何度でも 咲いては散る花を 見送る
目を閉じた その瞬間のわずかな光
消さないように 逃さぬように
つかまえてごらん イメージでもいいから
一人ぼっちの キャッチボール
返らない返事はいつまでも
壁に向かって 声を投げても
何度でも僕の手に 戻るだけ。
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押し寄せる波を 押し戻して
あふれる涙を 見ないふりした
空は晴れて 青い色が海と空の境を曖昧にするんだ
目を閉じて広がる 静けさだけは
誰も邪魔することはできない
僕がもしも 画家なら今の気持ちを絵にするだろう
僕がもしも 詩人なら今の気持ちを言葉にするだろう
だけど僕には きっと 絵にも言葉にもすることはできない
この気持ちには形なんてないから。
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歩道橋の上 お母さんと娘さんかな
今にも沈みそうな夕日眺めながら
幸せそうに笑いながら何か話をしてる
多分娘さんは今晩の献立を聞いて
お母さんがこたえているんだろう
嫌いな野菜も食べるのよなんて 言ってるのかな
夕暮れの町は 誰かの帰りを待っているかな
商店街の一個80円のコロッケ
ひとつ買って 食べながら帰ろう
夕暮れの町は みんなの帰りを待っているんだ
普段は言えない素直な気持ち ただいまに込めて言ってみよう
カラスも 帰るから僕も帰ろう
さよなら 手を振り別れる帰り道
だんだん遠くなる背中が消えてゆく
見えなくなるまで手を振っていた
夜の空に 星がひとつ 輝いて
水銀灯の明かりの下で少し泣いた
夕暮れの町は すっかり夜に包まれて
開けた窓から 吹き込む夜風が
優しく髪を撫でてくれる
夕暮れの町で 見た赤い夕日がまだまぶたの奥
焼き付いている ゴハンよと僕を呼ぶあたたかな声がする。