詩人:どるとる | [投票][編集] |
夜を飛び越えて
孤独を忘れて
今だけは涙も
優しく 優しく流れる
そばにある全てを憎んでも何も始まらない
悲しくなるだけだよ
だから
走って 走って
この夜を
超えて 超えて
全ての夜を。
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逆さまの月の光に照らされ 浮かぶ君の顔
水面にうつる月を見ている僕はひとり立っている
少しまだ寒い風に吹かれている
僕の心は今色でたとえたら群青色
ああ 戻らない時を惜しみ やり残したこと思い出し水面の鏡に己をうつしそこに見えた自分に語りかける言の葉はいつも角のない優しい響きをもつ
久しぶりに真面目なことを思ったけど
思っただけで何も実行できずにいた
だけれどそれでも僕はそんな自分さえゆるしたよ
やさしく やさしく
いることは 案外難しいことだけど
やさしく やさしく
なるべくいたいから僕は滅多なこと以外は自分をゆるしたいのさ
たとえ 夢みる明日を遠ざけたとしても
輝く月を 栄えある未来を 壊しても
僕はやさしくしか生きられないから
やさしく やさしく
時の川を流れる 小石のように 丸みを帯びた僕でいるよ
やさしく やさしく
そして またやさしくいることは思うより難しいだろう
だから僕は やさしくなりたかった
そうしてたどり着いた答がこのザマだよ
でも トゲトゲした気持ちでいるより何倍もマシだろう
そんなふうに思う
人にやさしくできるなら自分も人だからやさしくできるはず
他人よりもまず自分にやさしくできなくちゃ他人など愛せない
だから やさしく やさしく いるのだ僕よ
世界の終わりまで
やさしく 僕よいろ
それだけが僕の長所のようなものだから。
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はりつけたにされた蝶が 小さな箱の中で美しさそのままに生かされる
夢の中を飛び回りながら
コレクションという名目の思い上がった人間の遊び
標本から 飛び出してみればそこは現実の世界
でも蝶は死んだ
美しいまま
真四角の世界に閉じこめられて 眺められて飽きられて
命を 粗末にされて
それでも美しく
僕らの目の中で
いつ飛んでもおかしくないくらいの生き生きした姿でうつる
幻のように
僕ら魅せる
愚かな事だ
でも、蝶は美しい
標本の中でも
自然の中にいても
蝶は蝶だから。
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脳髄を刺激されたような感覚が貫くよ
全身を 落雷が落ちたような 眩しさが目の前の僕を包むよ
それはまるで一瞬の出来事
だけれどそれは夢じゃないよ
リアリティを求め続けた世界は こんな色かな ほら 眺めれば広がる街並み
こんなところから
世界を見渡す 僕
大したことはないな
世界を見渡せる街
ここから見たところじゃ大したことはない
僕の求めてる絵図はここにはない
街を見渡しただけで世界を知ったような顔をした僕がここにいるのさ
世界を見渡せる街みたいに。
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三丁目の猫は今日も日が暮れてくると
路地裏にあらわれて
昼寝する
おまんまも欲しがらず
三丁目の猫にはこれといった名前はないから僕が勝手につけたのさ
君は黒いからクロだ
なんてありふれた名前だろう 自分でつけておいて 自分で笑ってる僕さ
路地裏の猫は毎日
日が暮れると
路地裏にあらわれて
少し鳴いて
また どこかに消えてゆく
首輪についた鈴を鳴らしながら今日も日が暮れるとオレンジ色の空のぞく路地裏のブロック塀の上に座って昼寝する
ただそれだけの光景を見ているだけで和んでしまう僕は
悲しいことなんて忘れていた
何が話したいのかもわからなくなってしまうほどばかばかしい日常の片隅に光る特別な出来事に微笑む
路地裏の猫は今日も子供連れて あらわれるよ
日が暮れたら
オレンジ色の空にふっと浮き上がってくるようにほら ブロック塀を歩いてくる
路地裏の猫
名前は黒いからクロ
仏頂面だけれど
僕はお前に癒される
また明日も会おう
無視されるけれど
手を振るよ バイバイ
夕闇の中 お前が立ち去るまで近くのベンチに座って 見てるよ。
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大切なことを考えるとき
大切なことはここになくて
大切なことはここにある
そう思う 僕は見渡す全てがひとつすら欠けずに大切なことだって思うよ
日が暮れたら もう少し優しくなれるかな
時計ばかり気にしているけれど
悲しいことや切ない気持ちを無視できないことすら 大切なこと
忘れない
僕は忘れない
こんな思い 気持ち
大切なことだと胸に秘め 歩いてゆくから見守ってて
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大切なものはありふれた生活の中にあるもの
だから 生きている中で 探していくのさ
花が咲いて 散ってゆくように 限りある定められた時間の中で何が僕にはできるかな
いつも考えてはいる
無駄に長い時間に助けられて 平和ボケしてしまいそうになるほどまだ何ひとつ咲かせられてないや
ほら 目をとじて
たまには息をひそめて
見えない闇の向こうに意識を集めて
イメージの旅へ行こう
大切なものはきっとそこに
求めてるものがきっとそこにあるはずだ
育てるのだ
いつか
夢に見たような花を
未来という花壇に
努力や頑張りという水や肥料をあげて
咲かせるのだ
いつか
夢の花を
まだ間に合う筈さ
あきらめるにはまだ若すぎる
そうだろう?僕よ。
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絵本から飛び出したような世界
僕はそんな未来を夢見ていた
だけどそれも遠い遠い 昔話だよ
たとえば夜空を流れる星みたいに
ずっと前の光景を
たった今 見ている光景のように見えてしまうように
僕の情熱はもはや風前の灯火で 消えているのさ
昔はそれはそれはバカみたいに夢ばかり見ていたけれど
僕は大人になるにつれ 変わっていった
今も時々 思うのさ
眠れない夜にとか
飛び出す絵本は期待を裏切り飛び出さなかったよ
思い出の中で跡形もなく 燃えて 灰になったのかな
あんなに夢見ていた未来は死んだ
切なさの雨は降る
見えない 触れられないけど 僕にはわかるのさなんとなく
不釣り合いな現実と夢の狭間で抱える痛みと迷いが僕の目を曇らした
飛び出す絵本は飛び出さず ずっと胸の奥底にしまわれたまま
今もずっと ホコリにまみれて
時間だけが 風のように流れてゆくだけで
日に日に切なさが膨らむだけで 僕は何でもないように悲しくないふりをして 笑っている
飛び出さなかったら意味はない 夢を見た分 損をしたも同じ
飛び出す絵本は飛び出さない絵本だから
ただのつまらない絵本だ どこにでも現実に負けた 夢の食べ残し
残飯のように 味気ない未来が手渡されただけ
悲しいよなそうでもないよなこの微妙な感じが若い僕の胸にドストライク
地味に 後から
襲う もどかしさ
それに苛まれているのが今なんだよ
わかるかい?
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ひとりぼっち 夕暮れ
不意になんとなく
口をとがらせて吹いていた 口笛
曲はでたらめ
切なさの雰囲気が
ほら 揃い踏み
僕は涙を流す
涙を流すのに理由はつきものだけれど
今はただ 切なさに理由も意味もにじんでどうでもよくなってしまう 明日も右に同じ
口笛が 胸に 染み渡り約束の時刻がくれば鳴り響く おきまりのチャイム
胸を焦がしてゆく
ああ、思いが一気にあふれたんだ
涙は止まらない
もろに僕を突き刺す
切なさ
夕闇よ待ってくれ
まだもう少し
この夕暮れを
見ていたいんだよ
聞き入れてくれるわけもないが願ってみた
ああ、僕はひとりぼっちだから気が楽だよ
だけれどいつも思う
ひとりぼっちはひとりぼっちで楽は楽だ
だけれど 切なさは誰にでも変わらず切ないもんだ
だから 傷つきやすい僕の心をむやみやたら傷つけないでね
僕はこぼした
手のひらに そっと浮かべた言の葉
ふーっと息を吹きかけ 飛ばした 空へ
そんな幻 なぜか今日はあざやかにうつる
口笛を吹くたび 思い出す 優しいあの人
ただの愛の歌じゃつまらないから
君は黙ってて
今はひとりぼっちがいい
センチメンタルな気持ちになって どこまでもひとりよがりな世界に沈みたいんだ
それくらい許せ
カラスが二、三度鳴いて僕を小馬鹿にする
口笛が 胸に 染み渡り約束の時刻がくれば鳴り響く おきまりのチャイム
胸を焦がしてゆく
ああ、思いが一気にあふれたんだ
涙は止まらない
もろに僕を突き刺す
切なさ
ありふれたことだ
だけれどそれだけに悲しいのさ
わかるかな?わかるかな?
口笛センチメンタル
男のロマンっていえば言い過ぎだけれど
そんな感じだ
少しはわかってほしいのさ 君には
たまらず アドレス帳から君の番号を選び通話ボタンを押す
僕の気持ちとは裏腹に綺麗な夜だな。
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地図上から消えた
君の いる街
君とさよならした
あの夜も
僕の記憶から消したいな
でも 消えないな
君のあの涙も
数え切れない思い出
僕と君のストーリー
段落ごとに分けるなら 光と影の二つかな
よく見れば かわいい君の顔立ちは まるで世界三大美人のようさ
なんてよく言ったジョーダンも
全て さよならの一言が 思い出までも流した
地図からも消えた
君のいる街にはもう僕は立ち入れない
君の涙が落ちた瞬間に世界は凍りついて
その時 僕は 思った
僕は君を傷つけたんだな
君の中でその記憶はずっと消えないんだな
それでも選んだ結末はさよなら
今でもなぜそうしたかわからないんだ
でも、ひとつだけわかるのは君は僕が世界でいちばん愛した最初で最後の人だってことだよ。