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どるとるの部屋


[1162] 夢から覚めれば
詩人:どるとる [投票][編集]


はるかな未来を指で指し示して
あれがぼくの夢なんだって語るぼくの姿は今ではただただ懐かしいばかり
あの頃とは何ひとつ
重ならない ちぐはぐな未来の中にぼくはいる
方位磁石も
地図も何も
役に立たない
ぼくだけが頼りだから

涙の数だけ悲しみが
笑顔の数だけ喜びが
絶え間なく
繰り返されるこの世界で雨のち晴れを行き交う空の下を歩く

長い長い夢から覚めれば
そこはいつもと同じ世界
真っ白な光に包まれた朝
雲はゆっくりただよい
ぼくはしばらく目を開けたまま天井を見ていた

何億個もの数えきれない星々がそれぞれ輝いている
何ひとつ同じ光り方のない小さな星たちが
輝いている

そして夢から覚めれば
全てはまた始まりに戻り
時間さえも戻ったように昨日聞いたのと同じ目覚ましの音が鳴る

昨日と何ひとつ同じ世界
そこはいつもと同じ世界
このぼくも昨日と変わらない
欠けた茶碗も高すぎる理想も全ては昨日抱いた夢

ほらまた夜が来れば
ぼくは夢に沈み
朝が引き揚げてくれるのを待つのさ
海底で釣られる運命の魚みたいに
何もしなくても
餌を撒かれたように
ほら 知らないあいだに ぼくは現実に引き戻されて またここにいる。

2010/03/12 (Fri)

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