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どるとるの部屋


[1185] 夢の弔い
詩人:どるとる [投票][編集]


まぶたをぎゅっと閉じてみても
いつまでもいつまでも眠れやしない
そんな夜はムリに寝ようとしないで
静かにギターを胸に抱え
やさしいうたでもうたおう

なんのために
だれのために
今日までぼくは生きてきたのか
まばゆく輝く夢さえ まともな生きがいさえないままで今までよく生きてきたものだね

子供の時もよくこうして眠れなくって
窓の向こうの闇が晴れて明るくなるまで
夜通し 眺めていた
弟と妹のキャンバスになってる落書きだらけのもとは白かった壁にもたれて

今日も眠れそうにないから寝ないで
明日、仕事でも 関係ないよと

月に照らされても
あたたかみさえ感じなくなったのは
ぼくが優しくなくなったからじゃないさ
ただ少し現実的になっただけ

月よ ゆるしたまえ
ぼくの愚かな思考を
細部にまで行き届いた 精巧な 人生の設計図は 単に幸せになるため 描いたわけじゃないんだ
ただぼくはひとしきり 何かを未来に見ていた
遠いあの星を見ていたように
あの日のぼくには今という未来が輝いて見えていたんだよ
でもたどり着いた未来で 思いもしなかった悲しみに出会い
食い違って
もう修正できない
過ちにも気づいた

ああ 今、叶わなかった夢の弔いをしよう
燃え盛る火はないけど
ああ さよならいうくらいはできるからね
罪と罰を抱いたままで

平凡すぎた現実に
夢など入り込む隙などないことを
ぼくが誰より知ってるのにまだロマンス捨てきれないから
ぼくは たまにね
とんでもなく壮大な夢を見るのさ

『宇宙は果てしなく
大地はかぎりなく
大海は青ざめて』

そんな世界の片隅で
ぼくは何ひとつロマンチックじゃない
ありふれた生活の中にいるのです
関係などあるはずもない

ぼくには夢などつかの間の癒やしや安らぎに過ぎず
けっして 掴みたい
あすではなかったよ

今、それを思い出した。

2010/03/14 (Sun)

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