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どるとるの部屋


[1246] はじまりの季節
詩人:どるとる [投票][編集]


スタートラインに僕はまた立っている
どうしたことか
枯れたはずの桜がまたつぼみをつける
この間、雪が降っていたと思ったら
今年もまたはじまりの季節が来た

あの並木道にはもうすぐ桜が咲くだろう
あっちではさよならの声と
涙の落ちる音が
そしてそちらでははじめましての声と
楽しそうな笑い声が聞こえている
同じ世界の出来事

花が咲いて 次の世代に種を残すように
はじまりは終わりを呼ぶけれど
終わりもまたはじまりを呼ぶから
何か終われば何かがはじまってきっとまた新しい花が咲くから
悲しみの涙に暮れるわずかな時間を乗り越えたら
涙をぬぐって
新しい明日の扉開けよう
ほら季節だっていつまでも寒くはないしいつまでもあたたかくはないんだ
それはただ絶え間なく時が流れてるから

君の声が明日を呼ぶ
誰かの声が新しい季節を呼ぶ
少しずつ大人になるたび 何かが僕の中で変わるのを感じるよ
同じ花はまたとない
だけれど花は必ず咲く
君の中にも色は違ってもきっと素敵な花が咲くんだよ

坂道は のぼるためにあるんだということを知りなさい
人生には引き返す道などないんだから
どうせ進むならば
太陽に近い方へ
のぼってゆけばいい

花が咲いて 次の世代に夢を託すように
喜びは悲しみを呼ぶけれど
悲しみもまた喜びを呼ぶから
色あせても何かがはじまればきっとまた新しく生まれ変われる
悲しみの闇に打ち勝つつよい光放てたら
唇かみしめ
投げしたオールを拾い漕ごう
ほら季節は毎年同じ顔じゃなくてよく見れば様々な表情でその美しさの奥行きの深さを僕らに見せる
それが思い出を遠ざけさせても僕らには
悲しみに打ち勝つ光があるから雨などに負けないんだ

繰り返し繰り返し時はめぐり
生死は繰り返され
はじまりは何度でも訪れる

心に春は来る
桜の香りをつれながら
そしてまたとない美しさに何度でも見とれる。

2010/03/28 (Sun)

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