詩人:どるとる | [投票][編集] |
ねえ お母さん
ねえ お父さん
僕のこのからだにはあなた達の血潮が流れている
それってとても素晴らしくてとても奇跡的なことだって気づいたんだ
何を改まってって思われるかもしれないけど今日という日をむかえて 言うのさ
踏み倒してきたありがとうの数々を
ささやかな歌に込めて
覚えているかな
昔の話だよ
お母さんとお父さんの両方に手を繋がれ 歩いたどこかからの帰り道
一人っ子の僕はいつまでもあなた達の注目を集めてさ
少しずつ僕はそのぬくもりになれすぎてたびたび あなた達を困らせて ひどい言葉もたくさん言ってきた
でもわかってほしいのさ
家族だから心のうちを素直に話せることの真実を
他人だったら 気兼ねして言えないことさえ打ち明けられる
素直さを
ありがとう
ありがとう
何度、言葉にしてみてもいつも足りないんだよ
割に合うわけがないよね
言葉などあなた達からもらったたくさんの愛には代えられないから
でも、今日という日があるのはあなた達のおかげ
でもお父さんは言った
おまえがいることが俺たちのいちばんの幸せだと お母さんはそのとなりで深くうなずいた
僕が思うよりずっと愛されていたんだね
涙でにじむ夕焼け空はとてもきれいだった
阻むものもなにもない空っぽの一日の大半が過ぎ去った時刻に
僕はまたかけがえのない時間と気持ちをあなた達からもらったよ
またかしがひとつできたね
賄いきれないありがとうは増えていく
そしてそれといっしょにあなた達への思いが一層深くなる
あなた達といつまでもいれるじゃない
わかってるよ
わかってるからこそ
限られた時間をともに過ごしたい気持ちなんだ
そばにいたい
あなた達が好きだから
花束でもお金でもない言葉というなんの価値もない見えない贈り物を受け取ったあなた達は言った
ありがとうをありがとうで返すよと優しく微笑んで。