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どるとるの部屋


[1528] 君にアイラブユーと言いたくて
詩人:どるとる [投票][編集]


物語は時間の概念に縛られたまま
いつか終わりを迎える
夕刻 橙に染まる空
20回も見てきた景色なのに幼い日の記憶はあまりにも薄ぼんやりしすぎててわからない
でも僕は今まで20回もこの景色を見てきた
そして今日20回目の夕陽が沈む

さよならというなんの力もない言葉で
みんなが一様に手を振り それぞれの家に向かって別れる道の上

切なさや悲しさがこみ上げるんだ
さよなら以外 言ってしまえば簡単にそれは涙になってしまう

だから僕もみんなと同じようにさよならだけ言ったらあとはよけいな言葉は言わないで ただ家に向かうよ

誰かの影と誰かの影が仲良く手なんか繋いでるアスファルトに影を刻んで
途中から ひとつになってしまうようなさびしさはしょっちゅうだから
今さら泣きゃしないけど

君の影が恋しくなってしまう
僕の影もどこかさびしそうにうつむいてる

夕闇せまる頃
僕は間違わないように確かめていつもの曲がり角を右に曲がる

空き缶蹴飛ばして
苛立ちを隠せなくても
明日になればまた君に会える
その気持ちだけで僕はまたひとりのさびしさを飲み込み
くだらないことでも笑えるんだ

今頃 君は何をしているのかな
夜空に浮かんだ雲がかかった三日月が 綺麗だ
君も見ているのかな
なんてこと考えながら 布団を押し入れから出して 寝る準備する僕は君への恋しさあまり眠れないよ

ああ 君にアイラブユーと言いたくて言いたくて 仕方ないよ。

2010/06/25 (Fri)

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