詩人:どるとる | [投票][編集] |
影は幻と踊り
光は夢と踊る
まぶたの裏に
浮かぶ世界が
もしも現実なら
目が覚めたあとの
世界は偽物なのか
光と影が混ざり合ったような不思議な昼下がり どこまでも流れる川が光の加減でときおりきらめく
幻影が魅せる美しい景色に溺れながら
沈みながら
僕は見えた景色そのままを写し取るようにキャンバスに描く
鉄柱は鉛色に連なり
灰色の雲は等間隔で空に並び
表情のない人が非道な行いを繰り返す
誰もが生きる屍
いつかは棺桶の中
弔いの鎮魂歌を綿の詰められた耳で聴くだろう
この街の日常は創られたものだから
ほんとうは誰もいない街
ほんとうはなにもない街
見えているすべては偽物にも似た偶像
実像なのは 純粋な心だけだから
この街の住民は人じゃなく心だけなのさ
時計台の時計が
ある一定の時刻を
通過すると鳴りだす
甘美なる 聖者の調べ。