詩人:どるとる | [投票][編集] |
ちっちゃなころからこの心に記されてきたたくさんの思い出さえ
いつかうたかたのようにひとつも残らずぜんぶ消えちゃうのかな
自転車に乗れたのは
思えば結構時間がかかりました
それでも父さんは少しも怒らずに優しくゆっくりでいいからと言いました
母さんは僕の頭を終始ナデナデしながら
やっぱり優しく
僕の後ろでいつも
見守っててくれました
人生は自転車の練習のように 何度もつまずきながら 少しずつ生きていくコツだったり歩いてくコツを知っていって
人を変えるのは拳じゃなく やっぱり愛や優しさだったりなんだね
気づいたよ うたかたの時間でも積み重ねる思い出は後々の人生に素晴らしい足跡を残すってこと
だから僕は与えられたこの時間の中で母さんや父さんが僕に優しくしてくれたように僕も誰かに優しくできたら
それは素晴らしいことでしょう
人の命はうたかたです
だから父さんも母さんもいつか僕の目の前からいなくなってしまうけど
うたかただから
僕らは精一杯
きめられた
時間の中で
生きること
楽しめるんだな
ねえ 自転車に乗れたあの日からかぞえて僕は少しは大人ってものに近づけたかな
嘘でもいいから
声だけでいいから
僕にまたあの優しい声でうんとうなずいてよ
自転車には当然もう乗れるけど
乗れないふりしたら
また教えに来てくれるかな
来てくれるわけないよね
でもあなたに会いたい
うたかたに消えた
命ふたつ
タイヤのように
すり減る時間の中を
さまようように
朝が来ればせっせと働いて
夜になればさっさと眠って
そんな日々をどう思うのかな
僕もうたかたに消えたあとでそれはわかることなのかな
ねえ そっちの暮らしはどうだい?
なんだか大人なのにねみょうにしんみりしちゃうね
全然 たばこも吸いたくならないや
思い出に心奪われ。