詩人:どるとる | [投票][編集] |
さよならも言わずに
さよならも言われずに
ただ日が暮れて
ただ夜がやって来た
窓から見える
横断歩道の信号が青に変わっても通る車どころか人影さえ見えない夜さ
なんだか切なさあふれる夜さ
世界にひとり
ただひとり
僕だけ置き去りにされたような気持ちで
僕は広く果てしない宇宙のような闇の中で
話し方さえ忘れていた
太陽が沈んでいけば
月が輝く
夜が来るように
それは繰り返されることなんだろう
だけど僕がいつも思うこともわかる気がしないだろうか?
この悲しさ
言葉になんかならないから 何が悲しいとか言えないけど
言葉さえこえた悲しみがあるとしたなら
それもわかる気がしないかい?
街の灯は今日もただそばにいるだけで
無愛想な顔して
揺れているだけ
君のせいじゃないし
君のせいにしようとも思わないけど
街の灯よ 聞いてくれ
僕は今 とても悲しいんだぜ
言葉なんてもはや役にも立たないくらい悲しみは膨れ上がったんだ
ほらね はるかな
時間の そのあとに
そして明日もさよならの交わされない
さよならの時が来て
夜はいつの間にか
知らんふりしてここに来て いつもの悲しみを置いてゆくのさ
そしてね
街の灯はあいかわらず
優しいけれど
どこかつめたい
ぬくもりを
心にともすよ
瞳の中で揺れるよ
それはたとえるなら
自販機で買う
缶コーヒーみたいな味の出来すぎたブレンド
そんなものさ
わかるかい?