詩人:どるとる | [投票][編集] |
会いたい人ほど
遠い人
憧れの人ほど
身近な人
あの子は有名人でもなんでもないのに
いつも話しかけられずにいる
タイミングなんて見計らわなくてもいくらでもあるのに
言えないのは
こわいから
女の子みたいに
恥じらいを隠せずに
黙り込む 思春期
制服が似合わない
背の低い僕だけど
一端に恋をする年頃
言葉には出せないけどわかっていたのさ
この気持ちの正体
それは初恋という名の降りるべき駅
他人のふりして
降りられなかった駅
ドアは当たり前に閉まり 僕はだいぶ先の駅で降りた
君を追いかけても
いくら追いかけても
気持ちを打ち明けられなくては何も始まらないのに
花はつぼみのまま
春を迎えることもなく
散った はかなく
切なく 初恋は
女の子みたいに
恥じらいを隠せずに
黙り込む 思春期
制服が似合わない
背の低い僕だけど
一端に恋をする年頃
言葉には出せないけどわかっていたのさ
この気持ちの正体
それは初恋という名の降りるべき駅
君が誰より好きで
君は何より好きで
恥じらいさえなければ言えるのにと何度も吐き出したため息と言い訳
降り積もる思い
膨らむ思い
はちきれそうなほどの恋心
卒業アルバム
握りしめながら
君を遠く眺めてた
あの夕暮れを今も
思い出せる
記憶に残る
傷跡は
もしも打ち明けてたらなかった傷跡なのか
恥じらいは今も何ひとつ変わらずに胸を締め付ける
会いたい人ほど
近くにいた
憧れの人ほど
同じクラスだった
それなのに言えなかった
ただひとつ残るのはそんな後悔だった
そして君はあの頃よりずっと遠くなった
有名人よりもきっと
恥じらいはやがて
燃えきった
マッチのように
かすかな
焦げ付きを
残したまま
跡形もなく
僕の中から
消えていた
そして今
僕は大切な人と
いえる人と
肩をならべ
毎日
生きる。