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どるとるの部屋


[1668] ドライフラワー
詩人:どるとる [投票][得票][編集]


座り心地の悪い椅子でも
とにかく座れればそれでいいのです
本物の花じゃなくても
見るだけならばドライフラワーでもすんでしまうような適当な性格です
だから幸せなんて
それなりの大きさなら
多少人より小さくてもかまわないとそう思うのです

こんなに大きな世界なのに行く場所なんて腐るほどあるのに僕の行動範囲はアリのように
狭く小さくそのくせ妄想の国では一国の王様気分です
一歩一歩は無駄に大きくても 人ごみを嫌うそんな性分です

あの日産声あげ
生まれたその日から
僕は渇いた何かを
心に受け継いだのさ
一筋縄ではいかない
わがままな何かを
心に宿したまま
生まれたのです

悪魔と天使の翼を
持った堕天使のような心を持つから
悪いことも
良いことも
やり出せば
どちらも
中途半端に終わる
だから
悪くもなくて
良くもなくて
普通の人です
ただ人の輪に
入るのが
嫌いなだけで

誰かの愚痴を
肴に酒を呑む夜
月はおぼろに
雲は散り散りに
出来合いの短歌を詠めば何か解るかな
渇いた気持ちを
冷めた心に
重ねれば
風もないのに
心のカーテンが
ハタハタと揺れ
自嘲気味に
頭かきむしる
答の見えぬ明日を
抱いたまま

束の間の夢に沈むさみしいばかりの晩餐のあと

座り心地の悪い椅子も
渇いたようなカサカサの花も
すべて慣れてしまえば何よりの幸せになる

部屋の隅でハエとりグモが笑えば
おかしな夢の始まり
窓の外の景色が
ざわざわと騒ぎ出し
太陽が顔がだしたら
さあ 外界への入り口を出口に変えて
光の中へと 光の中へと 我は勇まん。

2010/07/25 (Sun)

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